2016年

3月20日

世界を唸らせた傑作『タケコート』
誕生までには…

“錆びないボルト”で世界シェア、なんと7割!
株式会社竹中製作所の会長・竹中弘忠さんが今週のゲスト。


その名を世界に轟かせる株式会社竹中製作所ですが、“錆びないボルト”とはどんなものなのでしょうか。
「うちの会社は、よそが作らないものを作るというのがひとつのテーマでしてね。
鉄にもいろいろ種類があって、特殊鋼と言われるものなんです。
例えば明石海峡大橋などの国家規模の建造物などに使われているボルトはうちの製品です。
特殊なネジメーカーですね」

もともとはネジやボルトを大量生産していたという株式会社竹中製作所。
その多くのメーカーの中から生き残るべく試みたこととはなんだったのでしょうか…。


「アメリカのヒューストンに事務所があったんです。
1年に1回に新製品の展覧会がありましてね。
そこで見たものが海中から鉱物などを採掘するための櫓でした。
海にあるものだから海水の影響を受けますよね。
でもそれに屈しないようにフッ素コーティングがしてあったんです。
私は“コレだ!”と思いましたね」


ネジにフッ素コーティングをするアイデアを思い付いた竹中会長。
開発に進みました。
「コーティングはできる…でもネジを締めるとフッ素が剥がれてしまう。
これではダメでしたね」


しかし会長は諦めませんでした。
技術が追いつくまでに特許だけでも申請。
アイデアを守ります。
「京都大学化学研究所の稲垣博教授(後に所長)を紹介してもらいましてね。
宇治にあった研究所に何回も通ったが、先生は多忙のため会ってくれなかったんです(笑)。
でもある時、想いが通じて話を聞いてくれることになりました。
先生が仰ってくださいました。
“中小企業なのに難しいテーマに取り組んでいるな”と」

『タケコート』と名付けられたこの製品。
即座に販売、ヒットとなったのでしょうか?
「機能を説明して会社の上層部に認められるまで数年…日本ではなかなか認められない。
それならば、と最後の賭けで石油メジャー当時最大手のエクソンのある米アメリカのヒューストンへ行きました。
そこで改めて性能を売り込むと、なんと半年間でその技術を認めてもらえました」
製品完成に5年、販売に4年半。長い歳月をかけて生まれた傑作がついに世界に認められる瞬間がやってきたのでした。


ここから株式会社竹中製作所の快進撃が始まるのです。

竹原編集長のひとこと

自分のアイデアへの自信、そしてそこへ注ぐ情熱。
商売に大切ですよね。
あと諦めないこと。
ヒット商品の要因だと思います!