2016年

5月29日

うどんから広がるブランド力

今週のゲストは大阪でうどんを中心とした飲食チェーンを展開する株式会社太鼓亭の代表取締役社長・水上泰輔さん。
豊中市を発祥として、北摂を中心にうどん、そばなどのお店を45店舗展開されています。

「先代の方針もあって、あまりテリトリーを増やさずに地域に根差した仕事をさせていただいています」
先代であるお父様の時代は12、3店舗だったそうです。
「店舗数が広がったのは私になってからですね。
とはいえ、実は父の方が好奇心旺盛でしてね。
その昔の時代にとんかつやしゃぶしゃぶなどの店を展開していましたから」

そう語る水上社長は原点回帰ともいえる方針を打ち出します。
「やっぱり麺とダシちゃうか、ということになりましてね。
経営資源を集中させようと、去年『だし蔵』という“だし”にこだわったブランドを誕生させました」
うどんは、だしがうまくてなんぼ。
やさしい麺をすすりながら、だしを飲み干す。
麺とだしが一体となったのが大阪の、太鼓亭のうどんなのです。
「だしのブランドを立ち上げたきっかけの一番はお客様からのお声があったことですね。
あと800人の従業員が会社のいいところを知ってくれていました。
“やっぱり、おだしでしょう”と。
うれしいことですね」
そんなうどんとだしにこだわった太鼓亭。
太鼓亭オリジナルの『煮出し師』という仕事を生み出したことをはじめ、麺は27年度の『ナニワの名工』のひとつにも選ばれています。 
うどんの麺が認められたことは大阪で前例がないそうです。

うどんとだしは更なる広がりも。
「親子で手打ちうどんを体験していただく『うどん学校』を実施しています。
粉から打って、最後は自分で食べるまで。
キットもお渡しして、自宅で作って、ご家族にも食べてもらう。
食べることで材料の小麦を知る、作った喜びを知る。
うどんを通じた食育ですね」

だしからはこんなアイデアも生まれました。
「食品を扱う会社ですからどうしても賞味期限をすぎたものが出てしまいます。
あと、うどん店ならではですが、だしをとった後の鰹節もなんとかしたい。
そこで木材チップと残渣をまぜてたい肥を作って、 それで野菜を育てています」
なんという有効活用。
無駄がありませんね。
「『太鼓亭ファーム』といってサツマイモや大根などを生育しているんです。
社員の家族で芋掘りなども楽しんでもらっています。
実は父の代からの地元と協力したアイデアなんですよ」

多くの声を取り入れ、それを店づくり、商品作りに活かされています。
「うちは屋号に太鼓とあるだけに、“どんどん”意見をもらうようにしています。
『元気玉キャンペーン』として従業員から色んな意見をいただいています」
さらには従業員の皆さんの声からできた『太鼓亭ベーシックハンドブック』なるものもあるとか。
しかもそれは毎年改善されていくというから、まさしく生の声が活かされた賜物です。

太鼓のように打てば響き、その広がる波紋は様々なビジネスを生み出しています。

竹原編集長のひとこと

先代から培ったアイデアと想いを引き継ぎ、
今に合ったビジネスをされています。
仕事は人と時と共にありですね。