2017年

7月23日

船のお医者さんは検査と整備、そして新製品の開発まで

今週のゲストは、マリンエンジンの販売・修理・メンテナンスと救命艇の株式会社ミズノマリン代表取締役社長・水野茂さん。
具体的にはどんなお仕事なのでしょうか?
「船のお医者さんというイメージなんです。
救命ボートの検査と整備。
これが我が社の二本柱なんです」

マリンエンジンは、車のエンジンとどう違うのでしょうか?
「当たり前なのですが、エンジンは燃料を燃やしています。
燃えると熱を発するので、冷やさなければならない。
マリンエンジンは海水で冷やしているんです。
金属の中に海水を入れるわけですし、しかもあの水の抵抗の中を進む力ですから。
車のエンジン以上に整備が必要なんです」

車のエンジン以上に過酷な条件のもと働くマリンエンジン。
海外のマリンエンジンがたくさん日本で活躍していて、それを整備しているのだそうです。
「私はもともと車の整備をしていました。
独立して28期目。
1年に1人、メカニックマンが増えたらいいなと思っていたのですが、ありがたいことに現在28人が頑張ってくれています」とニッコリ。

しかし、なぜ海、マリンに特化したのでしょうか?
「自動車整備の時代に感じたんですよね。
成熟した車のマーケットの中よりも自分しかできないことがないか…。
そこでマリンに特化しました。
実は駆け出しの頃、あるお仕事をいただいたんです。
その依頼主さんはどこにお願いしても直らなかった。
でも私がするとたった1時間。
しかも一つの部品を替えるとすぐ直ったんです。
時間も手間もかからなかったので、修理代を5,000円というとお客様から言われたんです。
“どこに行っても直らなかったのに今こうやって直してもらった。
技術の安売りをしてはいけない”」と3万円いただいたんです。
ありがたかったですね。
おかげさまで口コミで広がった情報で仕事につながりました。
船のエンジンは私たちが直さなければという使命感も持てましたね」

マリンエンジンの整備に続き、大型船には欠かせない救命ボートの整備も11年前から。
さらに新たな試みが。
「実は悲惨な津波の映像を見てから、うちの会社に出来ることを考えました。
大型船に乗っている救命ボートを使って何かできないかと思ったんですね。
“救命艇シェルター”を開発しました。
ひっくり返っても元に戻って、天地逆にならない。
仮に何かがぶつかって穴が開いても沈まない不沈構造。
乗り心地は正直、快適ではないです。
でも、命は守ります」と力強く語る水野社長。

1週間はその中で生活が可能で、エンジン付きで自走できるものもあるそうです。
価格は25人乗りで900万円。
「現在6人乗りを開発中なんです。
100万円前後で作りたいですね。
みなさんに対策をしていただきたいです」

マリンエンジンの検査と整備をする、船のお医者さんは災害予防、対策にも余念がありません。

竹原編集長のひとこと

自分たちの技術が活かせる現場があって、その技術を求める人たちがいる。
そこから新しい発想も生まれていますね。