2017年

7月30日

技術は海を越え、そして人を守る 

先週に引き続き、マリンエンジンの販売・修理・メンテナンスと救命艇の株式会社ミズノマリン代表取締役社長・水野茂さん。
救命ボートの検査と整備、そして救命艇のお話まで伺いました。
もともと車の整備の仕事をされていたそうですが、さらに遡ると…。
「父もディーゼルエンジンの噴射ポンプの仕事をしていました。
背中を見ていたんでしょうね。
子どもの頃からエンジンが好きだったんです。
小学校の時にお年玉を貯めてラジコンのエンジンを買ったんです。
そのエンジンをラジコンに積むのではなくて、分解するために買ったんですよね(笑)
小さな頃からエンジンが好きだったんです」

車は500万台売れる時代に船のエンジンはわずか2000機しか売れないと仰る水野社長。
バブルの名残がある1989年に会社を立ち上げました。
その2年後には法人設立。
「商売の先輩に色々と教えていただきました。
今は法律でいけませんが16時間働けとも言われましたね(笑)。
残りの8時間が自分の時間だと。
がむしゃらに働くことを教えてもらった。
人の集まるところに行けとも教えられました。
元々職人はそんなことはしないんですが、人から得られる情報は大切です。
本当は行きたくなかったけど、行くようにしました。
あと“小さな約束ほど守りなさい”とも」

会社設立後、お仕事は順調だったのでしょうか?
「失敗談をあげるとキリがないですよ(笑)
2011年にボートオブザイヤーをいただいたんです。
イタリアのオシャレなボートに自分たちのエンジンを積んだものだったんですけど、エンジン屋がボート屋さんの仕事を取ってしまったらいけませんよね。
受賞に身内は喜んだんですけど、販売はしませんでした。
領域、専門外をすると良くないです。
周りの方々に嫌な顔をされるのはいけない。
そのボートは会社に飾ってあります(笑)」

先輩の教え、そして失敗も…。
水野社長はどのような想いを持って仕事に取り組んでいるのでしょうか。
「当然ですが、船の仕事は海の上です。
動力であるエンジンの整備をすることで船を安全に保つことです。
最近では官庁のお仕事もさせていただいているのですが、皆さんは海の安全を守っていらっしゃいます。
国を守る船なので、絶対に壊れてはいけない船ですよね。
私たちはその壊れてはいけない船を必ず守る。
修理屋ではなく整備屋。
予防なんですよね。
完全に整備すると壊れるものではないですから」
技術に裏付けられた言葉です。

その技術は海外にまで。
「日本国内は当たり前ですが、遠方ではアフリカ北東部のジプチまで行ったことがあります。

ソマリアの海賊事件の時ですね。
ちなみに飛行機で28時間でしたけどね。
日本の船を守るためには日本の整備士がいいということで、お声がけいただきました。
わざわざ遠方から呼んでいただけるのはメカニック冥利に尽きますね」

今後、ミズノマリンはどのように進んでいくのでしょうか?
「救命艇シェルターの事業は前向きに進めていきます。
船のエンジンも同じ、予防することで助かる命、予防することで守れる命があります。
私も4年前、一度、タイで大きな地震に遭遇しました。
命からがら山へ逃げ込んだ、そんな怖さも私は体験しています。
これから努力してお手頃のものを開発して、皆さんのお役に立てればと思います」

技術と信念を積み込み、ミズノマリンはビジネスの大海原を進みます。

竹原編集長のひとこと

人と同じことをしていては勝てない。
車のエンジンではなく、船の整備に目をつけたところが先見の明でした。

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