大和川 亀の瀬と初瀬ダム PART【1】
亀の瀬渓谷から大和川上流部の初瀬ダムまで行きます。
大阪府と奈良県の府県境の大和川流域にある亀の瀬渓谷は地すべり地帯といわれ、約4万年前からたびたび地すべりが発生してきました。「亀の瀬地すべり対策資料室」で地すべり対策事業についてお聞きします。さらに上流にある初瀬ダムも訪ねます。

亀の瀬地すべり対策事業 細川さん: 昭和37年から亀の瀬地すべり対策事業を行っていますが、地すべりのメカニズムや過去の被害状況、現在実施されている対策事業について、パネルや模型の展示などで学ぶことができる資料室です。 ― 亀の瀬の地すべりについて詳しく教えていただけますか? 細川さん: 亀の瀬は生駒山地と金剛山地に挟まれた渓谷にあり、大和川は奈良県からこの亀の瀬渓谷を通り大阪湾に注ぎ込んでいます。ひとたび亀の瀬で地すべりが発生すると、奈良県で降った雨がすべて大和川に流れ込み、地すべりで大和川が堰き止められているので浸水被害が周辺地域に発生します。そして大和川を堰き止めていた場所もやがて決壊し、浸水被害が大阪の方に拡がります。 ― ということはいったん地すべりが発生すると、奈良県と大阪府の両方に浸水の被害が拡がることになりますね。 細川さん: そのとおりです。 ― 地すべりの被害の写真パネルを見ると地面に大きなひび割れが発生していますね。 細川さん: 一瞬にして多くの亀裂が起こったわけではないのですが、時間をかけて亀裂が拡がり、そして地面に段差が生じます。 ― 地すべりというのはどういうメカニズムで発生するのですか? 細川さん: よく崖崩れと比べられるのですが、崖崩れというのは土地の傾斜の角度がきつい場所、傾斜角が30度よりきつい所で、一気に土砂が崩れてしまいます。地すべりは傾斜角が緩やかなところ、30度よりも緩やかなところで土地が一定の形を保ったままゆっくりと滑っていきます。 ― どうして地すべりは起こってしまうのですか? 細川さん: 大きな要因のひとつが地層内の水です。地すべりは粘土層の地層ですべり面というのが形成され、そこが水によってぬるぬるした状態になり、そのすべり面の上の土地が動きだしてしまうということです。 |
![]() 大和川河川事務所調査課専門調査員の細川さん(右) ![]() 亀の瀬地すべり資料室 ![]() 亀の瀬地すべり資料室 館内 ![]() 大和川 亀の瀬渓谷 |
― どれくらいの時間をかけて動いていくのですか? 細川さん: 1日あたり、何ミリとか何センチとかいう単位の動き方です。 ― 目にみえるわけではないのですね。 細川さん: そうですね。じわじわ動いていきます。 ― 現在行われている地すべりの具体的な対策をお話ください。 細川さん: 地すべり対策は大きくわけて2つあります。抑制工と抑止工です。抑制工はすべり面よりも上の土地、地盤の土をとってしまい土地の形状を変えてしまおうとするものです。さきほど水が原因といいましたが、その土地の地下水を抜き、地すべりの被害を軽減するようにします。もう一つの抑止工というのは力で地すべりを止めてしまおうというものです。例えば2枚の板が斜めに重なっている状態ですと上の板がゆっくり滑っていきます。そこにクギを打つと上の板は止まります。そういったイメージですね。実際に滑ろうとしている土地に杭を打ち込んで力で止めてしまうのが抑止工です。 ― 抑止工で地すべりを止めるために打つ杭はかなりの大きさになるのですか? 細川さん: 直径約4メートルから6.5メートル、深さは約100メートルですね。 ― あまりにも大きすぎてイメージが湧かないですね。 細川さん: 地中に埋めてしまうので、出来上がってしまうと当然見えません。どんなことをやっているのかがちょっと分かりづらいですね。 ― 対策工事はどれくらい進んでいますか? 細川さん: 地すべりの地形を止める対策工事は終盤に向かってきています。これからしばらく観測を続けて対策工事の効果がきちっと発揮できているかどうか、再度災害が起こらないように地盤の状況をずっと見ていかなければなりません。 ― 私たちの生活を守っていただくための工事ですからよろしくお願いします。 |
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