美山で自転車に乗る本当のたのしみとは?

今回お伺いしたのは、南丹市美山町。
大阪市の梅田から1時間半ほど、京都市内からは1時間ちょっとで来られる場所です。
ほんとにのどかな場所で、山々が周りを取り囲んでいて、 きれいな緑が周りに広がっています。

取材の日はとっても天気がよく、田んぼの横を歩く本上も、 いつになく楽しそう。

田んぼにはもう水が張られていて、田植えもそろそろかなぁ、といった感じです。




見渡せば緑! の景色に上機嫌な本上。あぜ道ではタンポポやカラスノエンドウなどたくさんの草花が元気な姿で迎えてくれました。

周りを見渡すと、美山というだけあって、美しい山々の風景。 その中に茅葺き屋根の家が並んでいるのも、とても印象に残ります。 ということで私は今、一件の茅葺き屋根の家の前にやってきました。

見事な茅葺き屋根! 築年数もかなりのようです。

「築100年から150年くらい経っていますね」 というのは、こちらの民家の所有者で、茅葺き職人の屋根晴さん。

目の前にある民家は屋根だけでなく、 入り口の扉も大きくて、昔ながらの感じがしますけれど、 屋根も大きいですね〜。 茅で葺いてあり、苔も生えているようですけど、 屋根自体はどれくらい前に葺かれたものなのでしょう?

「これは僕がちょこちょこ手を入れているもので、 もう20年くらい前になりますね。 修繕する方法もあるので、修繕しながら長持ちさせて、 葺き替え自体は20年くらいでやるんですよ」

しかしよ〜く見ると、 茅葺きだけではなくて、ひさしや瓦の部分もあります。

すっかり苔に覆われた屋歌舞伎の屋根。
日本昔話に出てきそうな雰囲気です。

「昔はこのひさしもなくて下まで茅葺きだったんですけれど、 昭和50年くらいにこういうのがはやって、 ほとんどこんな風になってしまいました」 と屋根晴さん。 ひとことで茅葺きと言っても、 その時々のはやりみたいなものが、 屋根にも家にも取り入れられているということなんですね。

ところでここは、屋根晴さんが暮らしている場所?

「ここは今、宿泊施設にしていて、「美山FUTON & Breakfast」という名前で、 一棟貸しで1組のお客様にお使いいただいています」


京都市内に暮らし、すごく魅力的な美山に 「来たいな〜」と思っていろいろ調べているという本上。 旅館とか民宿を探している中で一棟貸しを見つけ、 ずっと興味津々でした。 その建物を今回は中を見せてもらえるとのこと、 ウキウキです。

しかしその前に、気になっていることを 屋根晴さんに聞いてみました。 それは、茅葺き屋根は一度葺いたら 葺き替えまでそのままでいいのか?ということ。

もちろん、途中で修繕をするのだと屋根晴さん。

「部分的にやったり、 50センチくらいに切った茅を差し込んで、 これを“差し茅”というんですけど、 それでちょっと寿命を延ばしたりとか。 この建物は、正面は私が5年ほど前にやりましたし、 草が生えているところは私の弟子が昨年やりました。 本当は葺き替えなければならないんですけど、 なかなか自分のところまでは手が回らなくて、 修繕しながら寿命をちょっとだけ 延ばして持たせているんですよ」

とにかくフォトジェニックな茅葺きを前に
本上はいろんな質問を屋根晴さんにぶつけます。

細かな手が何度も加えられながら、 この屋根は生き続けているんですね〜。 しかしその修繕の場所というのは、 どうやって決めるのでしょう。 家の内側から「あ、この辺危ないな」とわかるのか、 それとも外から見て、例えば目の前の屋根には ところどころ凹凸があったりするのですが、 そういうのを見て判断するのでしょうか?

「茅を止めている竹が見えてきたら 葺き替えなくてはならないんですけどね、 しかしこの屋根はそのレベルも通り過ぎているんですけど(笑)」

それも通り越している! じゃあちょっとそわそわしているってことですね。

本当は今年やりたかったんですけど、今年もできなくて…。 竹は、本当は屋根の中に入っているんですけど、 茅は1年に1センチくらい茅が減っていくんです。 20年で20センチほど減っていきますから、 中に入っている竹が出てくるんですよ」

茅葺きというのは茅を積んでいき、それを竹で押さえて、中の下地と縄でくくってあるそう。つまり竹は重要な役割を果たしているんですね。

「茅を押さえている竹が見えているということは、 竹がとれたら茅がずり落ちてくるので、 もう葺き替えなければならないんです」 と言う屋根晴さん。

素人目には苔が生えていたり、 趣があるなぁなんて思ってしまうんですけど、 プロの目から見ると、もう葺き替えなきゃ、となるんですね〜。

「訪れる方は絶好のフォトスポットだと思われるんですが、 所有者からすれば、気が気でないんです(笑)」


<ミニコラム> 今週の風景


これは今回お邪魔した茅葺き民家の入り口。
本編ではふれませんでしたが、 昔の家って、こういう細やかなディティールが とってもチャーミングなんです。 京都って、こういうものが町の中心でも、 美山町のような郊外でも見ることができるんです。

<美山町の茅葺き職人> 屋根晴さん

美山町をはじめ、全国各地で活躍している茅葺き職人の屋根晴さん。 美山町では古民家を改装した「かやぶき一棟貸しの宿 美山FUTON & Breakfast」も運営し、茅葺きの魅力を多くの人に感じてもらっている。 美山町内では今回取材で訪れた茅葺き民家のほか、3棟の宿泊施設を展開。
http://www.miyamafandb.com/

■今回の訪問地

日本でも数が少なくなっている茅葺き民家が残る町・美山町。 その中心部を流れる由良川上流の集落を訪ねました。

のどかな田園風景の中に建つ「かやぶき一棟貸しの宿 美山FUTON & Breakfast」は、 国の登録有形文化財でもあるんですよ。