梅雨が明けました、の巻。
 私は昔から木登りが大好き。良い枝振りの一本を見つけると、ぐるぐると木の周りを回ってどこから登ってどこまで行けそうか、まずシミュレーションすることにしています。好みのタイプは大きく横に広がっているような形の木。高いところまで上がらずとも、二メートルくらいの高さの枝に跨がって足をぶらぶらさせているだけで良い気分なのです。

 闇雲にどれにでも登るわけではなく、桜や椿など毛虫がいそうな木、それからもろいと言われている柿の木などは選びません。このあたりの見極めは大事、というか基本中の基本ですね。

 昨今、木に登ったら「危ない」「だめ」「子どもが真似する」と叱られてしまうかと思って気の小さい、しかも一応見た目は大人の私はびくびくしているのですが、実際に公園などでは禁止されていたりするのでしょうか。

 どこへ行っても木登りする子どもって見かけないんですよね。登り棒とか登るよりも、ずっと楽しいはずなんだけどなあ。木にロープとか適当にぶら下げておけば、子どもたちはきっとミノムシみたいにぶら下がるだろう。一緒にいる父さんや母さんたちもそれ見たら「自分も」ってぶら下がりたくなるはずです。小さな子でも袋状のハンモックとかなら、ゆらゆらいい気持ち!って笑ってくれそう。

 推奨はされていないのだろうけれど、ここは木登りしても怒られないっぽいよ、という場所が私の家の近所にあります。休日に行くとおちびの先客たちが思い思いに立派なクスノキによじ登っている。みんなちっちゃい手をくぼみに引っかけてうんしょうんしょ、と真剣な顔で挑んでいます。最初の二股にたどり着くと枝分かれしている二本の隙間に挟まりながらぴかぴかの笑顔で「わー!」って言うの。

 みんなかわいいんだよね。やったね! って、見ているだけでこちらも嬉しくなるのです。

 この間行った南の島では、連日のように木登りをしていました。最初に私がするする登ったのを見て、10歳の娘はこわごわ後に続いて登ってきましたが、3歳の息子は怖がっていくら誘っても、来ず。

 でもお姉ちゃんが「ここに足掛けて、はいこっちの手はここ掴むんだよ」と手取り足取り教えて弟のお尻を支えてやると……あれれ、頑張ってるではないか。木の幹に必死にしがみつく息子はころころしてコガネムシみたい。それを支える娘はナナフシみたいにヒョロヒョロで、変な姉弟です。そばで見守っているだけで笑えてきます。

 わあ、登れた! ほっぺた赤くして喜ぶ息子。娘も先輩としての任務を全うできて誇らしげ。普段ちょっとしたことで言い合いになり、怒ったり泣いたりしているふたりの、珍しい表情が見られました。

 二度、三度と練習するうちにすっかりコツも身につけたようで降りるときも慎重に後ろ向きでずりずりと、登りはひょいひょい。最初の腰がひけた様子が嘘みたいな成長ぶりです。ふたりで上におやつやお茶を運び上げ、地上二メートルほどの位置で楽しそうにピクニックを始めました。

「おーいそろそろ帰ろうか」声をかけてもちっとも降りてこなくなっちゃった。

 こんな木が家にあったらねえ、と口々に言う子どもたちを見てにんまり。木登りに夢中になってくれて、母さんも大満足の旅となりました。