僕ら芸人はしゃべってなんぼですから、現場まで体を運んで行かないと行けません。
結構、新幹線での移動も結構多いんですが、主催者側の歓迎度合い、
呼んでくれた人がどれだけ来て欲しいと思ってるかは、
どのクラスの席を取ってくれるかでなんとなく、分かります。
例えば、自由席の場合は、あんまり歓迎されてなく、
「取り合えず、予算余ったし、芸人でも呼んでおけ」みたいな扱いが多いわけです。
逆にグリーン席を取ってくれた時は、駅のホームまで主催者が迎えにきてくれたり、
『歓迎!桂かい枝師匠』っていう、のぼりを作ってくれていたりします。
落語家になって11年。
入門して3年間は師匠の付き人として、日本全国あちこちに付いて行きました。
うちの師匠桂文枝は上方落語界の四天王と言われてましたから、
移動はほぼ100%グリーン車でした。
付き人の弟子として、一番困るのが、主催者が気を利かせて、師匠の横の席、
つまり師匠の隣の横並びのグリーン席を弟子のために押さえてしまうというパターン。
主催者は、「お弟子さんの分もグリーンで押さえましたんで、
お弟子さんもどうぞゆっくりしてきてください!」って自慢げにいうんですが、
実は全然ゆっくり出来なかったりします。
なんぼグリーンでも師匠の隣やと、全然楽しくないです。
まず、師匠がシートを倒しても、弟子は倒せないし、居眠りも出来ません。
グリーン車でシートシートを直角にしたまま、身動き一つ取れず、
苦痛な顔をして乗って、何のためのグリーンやねんと思いたくなります。
席はグリーンなのに、気分はブルー。
師匠に『何か買って来てくれ』と言われて、自由席車両を通るわけです。
みんな席を自由に倒して、3人がけに一人で横になりながらすわっています。
ああ、自由席何て、幸せそうなんだ。何て自由なんだと恨めしそうに眺めながら、
グリーン車に戻って、シートまっすぐのまま、
東京まで2時間半我慢したこともありました。
このあいだの日曜。
茨城県の水戸に仕事で行った。新幹線を利用したんですが、
主催者からは普通席のチケット送って来たんです。
朝7時に大阪を出て、昼過ぎに水戸に着き、1時間落語をして、夜7時に大阪着。
丸一日仕事。翌日の月曜は、朝からはやみみラジオ今週は水野さんの留守番やし、
夜は年に一度の独演会もあります。
体調のため、奮発して帰りの東京⇒大阪を自腹でグリーンにすることにしました。
差額5000円なり!痛いと思いましたが、シートを倒してゆっくりしよう。
そして、自分でグリーンに乗れた喜びを味わおうと思っていました。
東京駅の売店で、缶ビールと柿の種、かつサンドを購入し、グリーンに乗り込みます。
座ろうとして、僕の席の後ろの席を見てびっくりしました。
2人がけの席、右側左側2席づつあるが、4人ともいわゆる、怖い人、
ダブルのスーツ着たこっわーい人だったのだ。
東京で集まりがあったみたいで、たくさん乗っていました。
僕の真後ろに親分風の人、その横に弟子みたいな人たち。
横一列に怖い人、怖い人の見本市。シートを倒そうと、思って何回も試みたけど、
結局根性なくて倒せないまま、新大阪に着きました。
自腹でグリーン乗ったのに。
結局グリーンはまだまだ身分不相応なのかもしれませんね。
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