夏休みも本当に残りわずか。
夏は、夏休みで賑やかな一方、里へ帰ってお墓参りしたり、
亡くなった人のことも思い出したり、もの悲しい時期でもありますね。
うちの師匠桂文枝、去年の3月に亡くなりましたが、
その形見分けがこの間の月曜日にありました。
うちの一門は筆頭弟子の桂三枝さんから、きん枝、文珍…と
直接の弟子だけで20人という大所帯。
ですから、形見分けも大変!二日間に分けて行われました。
お家にお邪魔すると師匠が実際に高座でお使いになっていた、
高座用着物、袴、長じゅばん、帯、羽織の紐、足袋などが並んでいます。
自分が付き人をさせてもらっていたとき、よく着てはった着物を見つけて
色んなことを思い出しました。
師匠の背後から、師匠の肩に着物をサラッとかけないといけないのに、
緊張のあまり、思いっきり頭からかぶせてしまって、
「ワシは獅子舞かい!」と突っ込まれたり、
着物をたたむ時上手くたためず、グチャグチャにしてる僕に腹を立てて師匠が
「ワシがたたむ」といって、イライラして手が震えて、
グッチャグチャになったこととか、体は僕らよりずっと小さいのに、
妙に大きく見えた師匠の背中とか、師匠との色んな思い出が蘇ってきました。
普通は、入った者順に兄弟子が偉い世界ですが、
今回の形見分けは師匠の奥さんが「弟子としての時間はそれこそ、
40年という先輩から数年と言う後輩まで色々いるけど、
同じお父ちゃんの弟子やから、平等に。」というご配慮から、
選ぶ順番はあみだくじで決めました。
なんと、大先輩を差し置いて、僕が一番になったんです。
師匠の身につけてはったモノ、帯でも足袋でも何でも嬉しいし有難いですけど、
いやらしい話、やっぱり値段の高そうなモノがいいじゃないですか?
とりあえず、「ほんならこれを頂きます。」と
師匠のお家の大型テレビを持ち上げるボケをかまして、
「あんたは盗人か!」と奥さんに突っ込まれてから、
10月21日に独演会やりますので、そこで着れるように、
一番高そうな袷の上品な緑色の着物を選びました。
師匠と体のサイズがピッタリ同じの兄弟子からは、
「お前そんな着物もらってもサイズが合わへんやろ?この足袋にしとき。
この足袋上等やで。」と下心見え見えのアドバイスも出ましたけど、
これにめげず、一番狙っていた着物をゲット出来たんです。
着物のサイズは師匠と全然違うので、着物としては着れないけど、
着物を仕立て直して、羽織にしたら着れるんです!
紋付だったので、これを羽織にして、同じような色目の着物を新たに作ってやれば、
ただで独演会の衣装上下が出来るなあと思ったんです。
いつも僕衣装は着物の生地では最高級の、ポリエステル100%と決めてるんですが、
今回は呉服屋さんに持って行って、「これに合う、色紋付の着物を作って下さい。」
「どうしたん?これ!ええもんやねえ。
これに合う様な着物やったら、かなりの値段になるで。」
洗い張りが2万5千円、羽織に仕立て直すのに3万円、
新たに着物用に生地を染めて、作るのに何と、ウン十万円…。
それって、僕の持ってる着物全部合わせた位の値段です。
とりあえず、考えますわと、そのまま持って帰って来ました。
ちょっと、肩身の狭い思いをしました。 |