マイ・ストーリー
12月24日放送
ルミナリエの夜景
 
35歳 女性
わたしは新婚です。
結婚の挨拶状を出すのに、写真つきにしようということになったのですが、
「結婚式の写真使うのは、ありきたりだなあ」
と主人が言うのです。
「ふたりで写ってる写真だったら、なんでもいいんじゃないか? 
ほら、去年いっしょにルミナリエ行っただろ、あのときの写真、
きれいに撮れてたよなあ。俺のパソコンにデータ入ってるから」
「わかった。じゃあ、探しとく」
というわけで翌日、主人のパソコンの中身を探していると、いろんなデータが入っています。主人、写真撮るの好きみたいです。
どれだろ、とあれこれ探して、
「あ、これ!」
ルミナリエの夜景が写ったデータが見つかりました。
そうそう、こんな夜景だったわあ。キレイだったなあ。
だけど、なにか違和感があるのです。
写真の構図もいっしょ。背景も同じ。だけど、どこかヘンなのです。
よくよく見ると、主人の隣にいる女がわたしじゃない。
へえ、ふうーん。これが前の彼女かあ…。
なかなかかわいらしい子です。わたしより若そうだし、スタイルも良い。
(でも、ちょっとバカっぽいんじゃない?)
などと心のなかで難癖つけてしまうのは嫉妬からでしょうか。
男ってなんで昔の女の写真、いつまでも大事に取ってるんでしょう。
ちょうどそのとき、ラジオから、
『「調べてわかった大変なこと」というテーマでお便りを募集してます』
と聞こえてきました。
よっしゃ、この写真のことネタにして投稿しよ。
早速わたしはメールで、いまの出来事を書いて送ったのです。
すると、さすがメールは届くのが早い。ものの十分くらいで、
「えー、次のメールは。匿名匿住所です……」
ラジオのパーソナリティが、わたしのメールを読み始めました。
うわあ、採用されたの、初めてだわ。
自分の文章がラジオで読まれるって、おもしろいものですね。
うれしさと興奮で、ケラケラ笑いながら聴いていると、
「いや、でもこれ、だいじょうぶですか?」
パーソナリティのおじちゃんが、ものすごく心配そうにいうのです。
「こんなこと言ったら何だけども、ルミナリエって毎年飾りつけ変えてるはずなんですよ。だから、背景がまったく同じ写真だったということは…」
えっ、そうなの?
「ということは、えーっ、じゃあ、同じ年のルミナリエを別の女の子と行った写真ってことですか!」
アシスタントのおねえさんも、気の毒そうに言うのです。
「うわ、新婚さんですよね、この人? それなのに、そんなことって…」
「ホントですねえ、どうしましょう!」
どうしましょうって…。
「これは、すごいもの見つけてしまいましたね」
「ホント、たいへんですね、これ!」
…そんな、たいへんな写真だったのか!
わたしは今さらながら、びっくりしたのでした。
だっててっきり、あの写真、わたしとつきあう前のものだと思っていたので。まさかそんな、二股だとか、同時進行だなんて……。
すると、今こうして、彼の妻になっているのは、もしかしたら、
わたしじゃなくて、写真の彼女だったかもしれないのでしょうか。
ほんとうに、大変なものを見つけてしまいました。

しかし、
「これ、何よ?」
と主人に聞く勇気もありません。
数日後、やっぱり気になって、もう一度例の写真を見ようとパソコンのデータを探しましたが、もうありませんでした。
主人が、自分で気づいて削除したようです。
男って、アホですね。見られてまずいと思うのなら、最初からちゃんと削除しとけばいいのに。
わたしが見てしまった、ということを知ってか知らずか、主人はこのことについて何も言いません。
わたしも何も言ってません。
さあ、この先、どうなるのかなあと思っている、新婚三ヶ月目なのでした。
 


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