マイ・ストーリー
1月7日放送
二ケツ
 
40歳 男性
中学校三年生の夏休みの思い出です。

六月か七月に、私は親に言われて、通っていた中学校へ高校に行くための奨学金の申し込みをしました。
後日、担任の先生より奨学金を受けるための面接の連絡があり、場所と日にちと時間を聞いた記憶があります。その際、
「学校でまとまって行くから」
と聞いたんです。確かに聞いたんです。

面接当日の朝、共働きだった母親に
「面接、ちゃんと遅れないように早めに行くんだよ」 と言われ、
「ん〜」と返事をしました。
そのあと、母親は仕事場へ。
面接開始がお昼の一時からだったので、早めに昼ごはんをとり十一時三十分ごろに学校へ行ったのです。
みんなでまとまって行くと聞いていたので、遅れてはいけないというのと、母親に早めに行くように言われていたからです。
家から学校まで徒歩でおよそ十分。
学校へつき、正門へ回り、職員室あたりに同じ奨学金の面接を受ける人がいないなぁとは思っていたのですが・・・・・・。
とりあえず先生を探しに職員室へ行きました。
近くにいた女の先生に担任を呼んでもらおうと声を掛けました。
すると、
「先生夏休みだし、当番じゃないから休みだよ」
なにを言っているのかわからなく、一瞬頭が真っ白になりました。
「あれっ、今日奨学金の面接を受けるのに、学校に集まって行くと聞いてたんですけど・・・・・」
「ん?なにも聞いてないけどなぁ」

あ〜面接が受けられない。場所も曖昧、電車では間に合わない。
車でしか恐らく間に合わない。
当時おこづかいもあまりもらってなかったのでタクシーでも行けず、ため息をつきながら、家の方へ。
でもなぜかそのまま真っ直ぐ戻らず、いつも一緒に学校へ行っていた友達の家へ行きピンポーンとインターホンを鳴らしました。
友達が短パンにTシャツ姿で出てきました。
「お〜っ、どうした?」
「・・・・・・・・・・・・。」
たぶん半泣きの顔だったと思います。かくかくしかじか.・・・・・。
すると友達が、 
「場所どこ、何時から」 
「えっ?」
「とにかく行くぞ。自転車で」
「俺、自転車、兄貴が乗っていって、ないよ」
「ニケツで行くぞ」
言われるがまま、自転車の後ろに乗りました。
のぼり道が多く、後ろに乗りながら
「間に合わないよ」 と僕。
「遅れるかもな。でも、先生ひどいなぁ〜」
と話をし、僕のために自転車を一生懸命こいでくれたのです。
途中、「代わるよ〜、俺がこぐよ」
「面接受けるのにダメだ」
と言ってとうとう面接会場まで代わってくれませんでした。
時間にして四十分ぐらいだったでしょうか。
そして、面接開始時間前に到着し、無事、面接が終了。

「どうだった?間に合った?」
「間に合ったよ、ありがとう」

帰りは、もちろん友達を後ろに乗せ、僕がこいでゆっくりと帰りました。
道中、何度も何度も「ありがとう」「ありがとう」と。
友達も「よかったなぁ」「あ〜よかった」と言ってくれました。
後日、奨学金を受け取れることとなりました。
このとき、学びました。
簡単にあきらめちゃいけないって。
友達ってすごいって。
 


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