| 1月14日放送 |
最後のわがまま |
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41歳 女性 |
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幼い頃から、いつも私のわがままを聞いてくれた父が四ヶ月前、脳腫瘍と宣告されて手術を受けた。
術後、「たとえ再発しても、もう手術はしない」と言っていた。
「我慢強い人なのに、よほど辛かったのかしら」
母は言っていたが、治療費の事や看病する母への気遣いを口にする父を見ていたら、私には手術を拒否すると言った理由が、辛かったからだけとは思えなかった。
しかし・・
三ヶ月経たないうちに再発が告げられた。
再手術をしなければ余命数ヶ月。
手術をすれば、寿命は若干延びるものの、左半身は麻痺してしまうだろうと言われた。
「わしは手術はしない。静かに見送ってくれ」
それが父の出した結論だった。
父の気持ちも痛いほどわかっていたけれど・・・。
いくら手術をしても再発してしまう腫瘍だと、わかっていたけれど・・・。
「もう一度手術を受けて。お願い」
・・・私は言ってしまった。
言った後も「言って良かったのだろうか?」と悩んだ。
母も兄も苦しみながら、父をそのまま見送る覚悟をしようとしていた。
けれど私にはできなかった。
数日後、戸惑った様子で母が言った。
「お父さん、手術、受けるそうよ。」
「え?」
罪悪感に似た感情が湧き上がってきた。
急を要するということで、すぐに手術日が決まったが、私は逡巡していた。
手術をすれば半身麻痺・・・。
高齢の父にそこまでさせて良いのか・・。
先生達も「医学には限界があります。あとは“生き方”の問題です」とおっしゃっていた。
その上で『手術をしない』と決めた父に『手術を受けて』と言ってしまった・・・。
手術を翌日に控えて、私の迷いはどんどん大きくなっていた。
「明日だね・・・」 付き添っていた私に、
「この手が動くのも今日までかな・・・」
右手で左手を撫でながら父が言った。
「良かったの?本当に?」 切なさに声が震えた・・・。
「おまえのわがままをきいてやれるのも、これで最後だろうからな」
今までと変わらぬ優しい笑顔だった・・・。
「ごめん・・ごめんね・・・」泣き崩れる私に父が言った。
「わしは死んでしまってもお前を守るよ。心配するな」
「うん・・・・うん・・・」
父の大きくて温かい両手が・・・私の手をしっかりと包んでくれていた。
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