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上野誠の万葉歌ごよみ
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歌ごよみ!
上野誠コラム
上野誠の万葉歌ごよみ
毎週土曜日 朝 5:30〜5:45

上野誠(奈良大学文学部教授)
上田悦子(MBSアナウンサー)
★上田悦子アナウンサーブログ
utagoyomi_p@mbs1179.com
上野先生に聞いてみたい事、番組の感想など何でもお寄せください。
〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」

【2017年7月15日 放送分】
【2017年7月8日 放送分】
【2017年7月1日 放送分】
【2017年6月24日 放送分】
【2017年6月17日 放送分】
【2017年6月10日 放送分】
【2017年6月3日 放送分】
【2017年5月27日 放送分】
【2017年5月20日 放送分】
【2017年5月13日 放送分】
上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2017年7月15日 放送分】
2017年7月15日
【巻】…7・1201

【歌】…大海の水底(みなそこ)とよみ立つ波の 寄らむと思(も)へる磯の清(さや)けさ

【訳】…大海原の水底をとどろかせて立つ波のように、私の船が寄りたいと思っている磯のなんと清らかなこと

【解】…「とよむ」とは、響かせるという意味で、現在では、「どよめく」「どよ
む」といいます。大きな海の海底の底を、どよめかせるくらいくすごい音を響かせて、船が寄ろうとしているけれど、波が磯にぶつかって波しぶきがたち、とても清らかだけども、そこに船をつけるのは難しいという様子。
波の音とそこから得られる景色と清涼感、気持ちよさを歌った歌です。
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上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2017年7月8日 放送分】
2017年7月8日
【巻】…15・3597

【歌】…わたつみの沖つ白波立ち来らし 海人(あま)をとめども島隠(がく)る見ゆ

【訳】…わたつみの沖つ白波が立って来たらしい。海人おとめ達が島に隠れてゆくのが見える

【解】…天平8年(736年)に新羅の国に遣わされた遣新羅使人が詠んだ歌が巻の15に多く残っていて、この歌はそのひとつです。西へと向かう船上で詠まれたもので、「沖つ白波」は、沖の波が白く泡立って飛沫があがっている様子。つまり、沖の方で風が強くなっていることを表しています。海人は、波の具合を見ながら漁をしますから、白波が立っているので漁を中止し、島陰に隠れて行ったのでしょう。途上の遣新羅使人が、こういう風景を歌に詠んだのは、それだけ心に余裕があったということで、この時点では、旅は比較的順調にいっていたものと思われます。
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上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2017年7月1日 放送分】
2017年7月1日
【巻】…12・3079

【歌】…海若(わたつみ)の沖つ玉藻の なびき寝む はや来ませ君待たば苦しも

【訳】…海若の沖の玉藻がなびくように、なびき合って寝たいものだなあ。早く来てください、あなた。待つのは苦しい、本当に苦しい

【解】…玉藻は、藻の中でも美しい藻のこと。沖の玉藻は長い藻に育つため、海流で美しくなびいている姿が浮かびます。そんな玉藻のように、なびき寝たいというのが、この歌の趣旨。作者の女性は「共寝をしたいので、早く来てください」と男性に呼びかけているのですが、それだけではストレートすぎるので、「なびき寝む」の言葉を玉藻を使って引き出しているのです。1300年前の女性の恋心が、そのまま熱く伝わってくる歌です。
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上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2017年6月24日 放送分】
2017年6月24日
【巻】…11・2819

【歌】…おし照る難波菅笠(すがかさ)置き古し 後は誰(た)が着む 笠ならなくに

【訳】…おし照る難波の菅笠を置き古しておいて誰が着るというのですか。そんな菅笠なんてありませんよ、私は一途な女ですから

【解】…前週にご紹介した歌への、女性からの返答です。「佐紀沼の菅で笠を縫って、それを着て行こうかと待っている間に時がたってしまった」と、ご無沙汰の言い訳をする男性に、女性は歌のキーワードになっている「笠」を使って歌を返しています。雨の日に女性の家にやって来た男性は、帰る時に雨が止んでいると笠をそのまま置いて行くことがしばしば。その状況を例えに用いて「別の男の人が来て雨が降ったなら、この置き笠を貸してよということになるでしょう。でも、私はそんなことはしませんよ」と歌に詠んでいるのです。つまり、私はあなたに不誠実になることはしませんから、あなたも誠実に私の家に来てくださいと・・。ちなみに、「笠」を、菅の本場である難波の菅で作った笠にしているのは、佐紀沼の菅笠を用いている男性への皮肉のニュアンスを含めているのかもしれません。
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上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2017年6月17日 放送分】
2017年6月17日
【巻】…11・2818

【歌】…杜若(かきつはた)佐紀沼(さきぬ)の菅(すげ)を笠に縫ひ着む日を待つに 年ぞ経にける

【訳】…カキツバタが咲く佐紀沼ではないけれど、佐紀沼の菅を笠に縫い、着る日を待っていた間に時が経ってしまった

【解】…巻11の問答の歌。作者の男性は、少々言い訳をしているようです。恋人の元に通わなくなって久しいことについて、「君のところへ行くために、カキツバタの咲く佐紀沼の菅を笠に縫って、それを着て行こうかと待っている間に時間がたってしまったんだ」とのこと。笠を着なくても、いつでも行こうと思えば行けるはずですから、この歌を受け取った女性は納得いくはずがありません。次の2819番の歌は、この作品への返答で、女性側の恨み節がこめられています。次回、番組で解説しますので是非お聴き下さい。
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