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上野誠の万葉歌ごよみ
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歌ごよみ!
上野誠コラム
上野誠の万葉歌ごよみ
毎週土曜日 朝 5:30〜5:45

上野誠(奈良大学文学部教授)
上田悦子(MBSアナウンサー)
★上田悦子アナウンサーブログ
utagoyomi_p@mbs1179.com
上野先生に聞いてみたい事、番組の感想など何でもお寄せください。
〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」

【2017年11月18日 放送分】
【2017年11月11日 放送分】
【2017年11月4日 放送分】
【2017年10月28日 放送分】
【2017年10月21日 放送分】
【2017年10月14日 放送分】
【2017年10月7日 放送分】
【2017年9月30日 放送分】
【2017年9月23日 放送分】
【2017年9月16日 放送分】
上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2017年11月18日 放送分】
2017年11月18日
【巻】…8・1513

【歌】…今朝の朝明(あさけ)雁(かり)が音(ね)聞きつ
    春日山(かすがやま)黄葉(もみち)にけらし わがこころ痛(いた)し

【訳】…今朝の明け方、雁の音を聞いた
    春日山が黄葉したにちがいない 私の胸は痛むいま

【解】…これは穂積皇子(ほずみのみこ)の歌です。
雁の音は秋の終わりと冬の始まりを表しています。
穂積皇子は、但馬皇女と道ならぬ恋をしていたことがわかっていて、
但馬皇女との恋が長引いているのか、もう終わってしまったかはわかりませんが、季節が冬になるとともに、この恋に悩んでいるという不安が表れています。
わがこころ痛しとは、心に何かが突き刺さっていたいという意味で、この言葉をいれるとなんでも歌になるのです。
季節の変わり目にに景色をみて、理由なく涙したりするなど、言葉では説明できないものもあるということが感じられる歌です。

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上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2017年11月11日 放送分】
2017年11月11日
【巻】…10・2277

【歌】…さ雄鹿の入野(いりの)のすすき初尾花(はつおばな)
    いつしか妹(いも)が手を枕(まくら)かむ

【訳】…雄鹿が野にいるではないけれど、入野のすすきの初尾花、
    その初尾花のようなあの子の手枕でいつになったら寝ることができるのだろうか

【解】…万葉集では鹿とのセットは萩かススキ。
初尾花とは、ススキの中でも穂が出たばかりの青いもので弓なりに形が整っているもの。恋人で例えると若い恋人という意味です。
いつしかとは、いつになったらとか早くという意味。
妹とは男性が女性を呼ぶ言い方で、恋人や恋人にしたい人のこと。
昔は、男の人が女の人の手枕で寝るのが一般的で、
いつになったら共に寝ることができるのかという気持ちが込められています。
現代では直接的すぎる言葉ですが、万葉集ではこのような具体的表現が好まれていたという特徴がわかる歌です。
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上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2017年11月4日 放送分】
2017年11月4日
【巻】…1・48

【歌】…東(ひむかし)の 野に炎(かぎろひ)の 立つ見えて
    かへり見すれば 月かたぶきぬ


【訳】…東の野に炎の立つ野が見えて 
    振り返ってみると月が傾いているではないか


【解】…これは万葉集で一番有名な歌で、皇子の成人用に柿本人麻呂が詠んだ短歌四首のうちの一つです。
炎とは、いろいろな説があり、有力なものとしては、朝になって気温と大地の温度差があるところにメラメラと立ち上がる空気が揺れているものをいいます。
また、狩りをするとき、一定方向に松明を持って進んでいくときの追い込み火ともいえます。
古代の時代では、狩りをする中で成人式を行っていて、
狩りは明け方にすることから、新しい時代がくることを示しています。
皇子の父は、即位を期待されながら亡くなったことから、
この歌には、父を思いながら、かつて父が狩りをした同じ場所で、
息子も成人になったという背景があるのです。
太陽が昇れば月が傾き、月が昇ると太陽が沈んでいくという、当たり前だけど、
雄大な自然の風景は地球そのものです。
皇子の成人という新しい時代が来ることと、朝の景色が重なっていることが感じられる歌です。





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上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2017年10月28日 放送分】
2017年10月28日
【巻】…10・2145

【歌】…秋萩の恋も尽きねば
    さ雄鹿の声い続ぎい続ぎ恋こそまされ

【訳】…秋萩への恋も尽きないうちに
    さお鹿の声が次々と次々とああ私の恋がつのっていく

【解】…万葉の時代、秋は宴会が多く、そこで歌を披露していました。
季節が良いので、春と秋は特に歌が多く、中でも、萩と鹿は定番の組み合わせ。
秋萩の恋とは、秋萩を愛おしく思い、可憐だなと思う心のことで、古代の人は恋に対する範囲が広かったことがうかがえます。
い続ぎの「い」は続ぎにつく接頭語。
恋こそまされとは、恋しさがつのってくる、大きくなっているという意味。
恋というものは、切れ目ないもの。1つの恋をすると続けざまに恋をするもので、萩を想うことと鹿を想うことは、恋人を想うことと同じということがわかります。
野遊びをしていたのに鹿の声も気になるという自分の心の移り変わりが歌に表されています。




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上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2017年10月21日 放送分】
2017年10月21日
【巻】…10・2107

【歌】…ことさらに 衣(ころも)は摺(す)らじ
    女郎花(をみなへし) 佐紀野の萩に にほひて居(を)らむ

【訳】…ことさらに着物を摺り染めにはしますまい
    女花郎が咲くではないけれど 佐紀の野の萩に染まってみよう

【解】…ことさらにとは、特別に・もうさらにという意味。
摺り染めは、花に押し当てて色を染めていく方法で、衣は摺らじとは、衣に色んな色をつけるのはやめましょうということ。
女花郎は、佐紀の野の枕ことばです。
にほひては色が照り輝く様子です。
萩の花の前に立てば、着物に摺られているのと同じだ、着物に摺られているように見えるということが描かれています。
にほひて居らむは、どんな服を着てても照り輝いて見えますよということ。
枕ことばの面白さを楽しむ歌です。



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