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上野誠の万葉歌ごよみ
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歌ごよみ!
上野誠コラム
上野誠の万葉歌ごよみ
毎週土曜日 朝 5:30〜5:45

上野誠(奈良大学文学部教授)
上田悦子(MBSアナウンサー)
★上田悦子アナウンサーブログ
utagoyomi_p@mbs1179.com
上野先生に聞いてみたい事、番組の感想など何でもお寄せください。
〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」

【2018年2月17日 放送分】
【2018年2月10日 放送分】
【2018年2月3日 放送分】
【2018年1月27日 放送分】
【2018年1月20日 放送分】
【2018年1月13日 放送分】
【2018年1月6日 放送分】
【2017年12月30日 放送分】
【2017年12月23日 放送分】
【2017年12月16日 放送分】
上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2018年2月17日 放送分】
2018年2月17日
【巻】…1・18

【歌】…三輪山をしかも隠すか
    雲だにもこころあらなも隠さふべしや

【訳】…三輪山をそんなにも隠して良いものか
    雲でさえも心があってほしい隠して良いものか、私は三輪山を見たいのだ

【解】…今回からラジオウォーク特集です。
これは、万葉集を代表する女性歌人の額田王の歌です。
額田王は天智天皇・大海人皇子(のちの天武天皇)の2人に愛された人で、壬申の乱という大戦争を生き抜いた女性で、歌がすっきりしているのが特徴です。
この歌は、都が近江国(大津)に移ることになり、白村江の戦いで日本が破れ、奈良の都が危険になるかもしれない可能性が高いことから、滋賀に遷都するときに額田王が三輪山を想って歌ったものです。
三輪から滋賀へ向かうときに、どんどん三輪山が見えなくなっていくのですが、奈良山のあたりから三輪山はかすかにしか見えないとわかっていても、それが雲で隠れて見えないと寂しい、辛いんだという気持ちが込められています。
人生の中で、誰にでもある忘れられない風景を想いながら詠んでみるとよいかもしれません。

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上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2018年2月10日 放送分】
2018年2月10日
【巻】…10・1838

【歌】…峰(を)の上に降り置ける雪し
    風のむた此処に散るらし 春にはあれども

【訳】…峰の上に降ってそこにある雪が
    風のまにまにここにふっているのだろうか、もう春なのにね

【解】…筑波山の峰に降った雪を歌ったものです。
降り置けるとは、雪が降ってそのままになっていること。
風のむたとは風と共にとか、まにまにという意味。
散るらしのらしは、根拠のある推定なので、散るらしい、散るに違いないということです。
峰の雪を見て、あれが風に吹かれていまここに降ってくるんだよという状況です。
自分のところに降ってくる雪が、どこから来るのかを考えるのは、山の雪に想いがあるときです。いったん降り積もった雪がさらに自分のところに舞い散ってくる様子は、春の兆しを感じさせてくれます。
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上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2018年2月3日 放送分】
2018年2月3日
【巻】…8・1451

【歌】…水鳥の鴨の羽色(はいろ)の春山の
    おほつかなくも思ほゆるかも

【訳】…水鳥の鴨の羽の色は青、青といえば春の山、
    春の山にかかる霞ではないけれど、
    ぼんやりしていてあなたの気持ちを見極めることができない

【解】…この歌は笠女郎が恋心を抱いていた大伴家持に贈った歌です。
鴨の羽色とは灰色にもグリーン、青にも見える。
春山とは春の山の緑のこと。
おほつかなくとは、ぼんやりとしてはっきりしないという意味です。
大伴家持は、笠女郎が自分に一方的に恋心を抱いていることを知り、笠女郎を避けるようになります。その後、笠女郎はその後お里へ返されてしまいます。
おほつかなくも思ほゆるかもとは、あなたは私を好きなのか嫌いなのか、はっきりしてくださいよ、あなたの今の状況は春の山にかかっている霞のようですよという意味です。
恋というものは気持ちにゆとりができないとできないものでもあり、一方で、ゆとりをなくすものでもあります。
相手の気持ちを知りたいという恋心を春山で例えるという古代の人の想像力の豊かさを感じさせてくれる歌です。

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上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2018年1月27日 放送分】
2018年1月27日
【巻】…8・1450

【歌】…こころぐきものにぞありける
    春霞たなびく時に恋のしげきは

【訳】…晴れ晴れしい気持ちだな
    春霞がたなびく時に恋心が膨れ上がるのは

【解】…こころぐきとは、こころぐしの形容詞でモヤモヤとした心が晴れないこと。
春霞たなびく時とは、春霞がたなびいている、みんながウキウキしている様子のことです。
しげきとはしげしの形容詞でたくさん、激しいなどを表します。
この歌での恋は、一人でいて苦しい状態のことで相手の存在がなく、特定の人に向けた歌ではないようです。
季節が良くなったのに誰からもお誘いがなく、みんな私を誘いに来なさいよという気持ちが込められています。
春の季節が良いときに家にいることを嘆いている春の憂いを感じられる歌です。

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上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2018年1月20日 放送分】
2018年1月20日
【巻】…10・1891

【歌】…冬ごもり春咲く花を手折(たお)り持ち
    千度(ちたび)の限り恋ひ渡るかも

【訳】…冬が終わって春咲く花を手折って持ち
    再現もなく、あなたのことを恋しく思う

【解】…冬ごもりとは冬がこもって春になること。
千度の限りとは無限にという意味です。
恋ひとは片思いのことで、恋ひ渡るかもとは、恋しく思い続けること。
花を手折り持ちとありますが、誰へ渡す花かはわかりません。
しかし、恋しく思い続けている、いつまで待って良いかわからない人への花なので、おそらく、こんなに恋しく思っても会えないならば、自分のために花を手折って持っておきたいということなのかもしれません。
誰に渡す花なのかがはっきりしない不思議な歌ですが、心の豊かさを求めて自分のために花を買って、誰かのことを想うのならば、
それはとても素敵なことです。

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