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上野誠の万葉歌ごよみ
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歌ごよみ!
上野誠コラム
上野誠の万葉歌ごよみ
毎週土曜日 朝 5:30〜5:45

上野誠(奈良大学文学部教授)
上田悦子(MBSアナウンサー)
★上田悦子アナウンサーブログ
utagoyomi_p@mbs1179.com
上野先生に聞いてみたい事、番組の感想など何でもお寄せください。
〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」

【2017年5月20日 放送分】
【2017年5月13日 放送分】
【2017年5月6日 放送分】
【2017年4月29日 放送分】
【2017年4月22日 放送分】
【2017年4月15日 放送分】
【2017年4月8日 放送分】
【2017年4月1日 放送分】
【2017年3月25日 放送分】
【2017年3月18日 放送分】
上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2017年5月20日 放送分】
2017年5月20日
【巻】…12・2850

【歌】…現(うつつ)には直(ただ)には会はね 夢(いめ)にだに会ふと見えこそわが恋ふらくに

【訳】…現実には直接会えないけれど、せめて夢の中だけでも姿を見せて下さいね。私は恋焦がれているのですから

【解】…前回に続いて、夢に関する歌です。作者は、大切な人と直接会えない境遇。理由は、相手が旅に出ているのか、ふられてしまったのか、それともスキャンダルで噂になっているからか・・。いずれにしても、会えない寂しさから、せめて夢で姿を見せて欲しいと、切ない気持ちを訴えています。でも、願いどおりの夢が見られるかどうか分からないのが夢。作者は思い通りの夢を見ることはできたのでしょうか。このように、コントロールできないからこそ夢は人々を惹き付け、文学にもなるのでしょう。

上野誠さんの新著2冊が出版されました!
◎ 「筑紫万葉恋ひごころ」(西日本新聞社)
◎ 「万葉集から古代を読みとく」(ちくま新書)

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上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2017年5月13日 放送分】
2017年5月13日
【巻】…4・744

【歌】…夕さらば屋戸(やど)開け設(ま)けてわれ待たむ 夢(いめ)に相見に来むとふ人を

【訳】…夕方となったら戸を開けて私は待つわ、夢の中でデートをする人を待つために

【解】…春は眠いとおっしゃる方が多く、夢と現実の境がおぼろげになりがちな季節です。この歌の作者は、大切な人を家の戸を開けて待っていると詠んでいますが、待っているのは夢の中で会いに来てくれる人。来る可能性が殆ど無いので、夢の中で・・と表現しているのでしょうが、現実に戸を開けて待っているのは、何とも切ない光景です。でも、この歌を相手の男性が目にしたら、「そこまで思ってくれているなら行こうか」ということになったかもしれません。
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上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2017年5月6日 放送分】
2017年5月6日
【巻】…10・2305

【歌】…旅にすら帯解くものを 言繁(ことしげ)み丸寝(まろね)わがする 長きこの夜を

【訳】…旅ですら帯を解くこともあるのに、噂がひどいので私は丸寝をする。長い長いこの夜を・・

【解】…古代の旅では野宿することが多く、そんな時は帯を解かずに衣服を着たまま寝るのですが、この状態が「丸寝」。大切な人に会えない寂しさと相まって、「丸寝」は古代の旅の苦しい場面の代表として挙げられます。今回の歌にも丸寝が詠まれていますが、その内容は、旅とは違ったもの。作者が辛い思いをしている原因は恋人がそばにいないことです。当時、恋人同士は共寝をする時、相手の帯を解き合うのが慣例でしたが、帯を解いてくれる人がいないので、寂しい丸寝をしなければならないようです。「苦しい旅でも、宿を見つける事ができた時には帯を解いて眠れるのに、今の自分は旅よりも辛い夜を過ごさなければならない」と嘆いているのです。ちなみに、恋人がそばにいないのは、噂がひどいからということですが、どのような噂だったのでしょうね。
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上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2017年4月29日 放送分】
2017年4月29日
【巻】…9・1727

【歌】…漁(あさり)する人とを見ませ 草枕旅行く人に わが名は告(の)らじ

【訳】…漁をする人だと思って下さいな。旅行く人に名前なんか教えられません

【解】…万葉の時代、男性は旅先で女性に声をかけるのが普通でした。しかも、いきなり結婚を申し込むのが慣例だったようです。女性は、結婚する相手にしか名前を明かさない原則があり、男性は「名前を教えて」と言って求婚していたのですが、この歌の作者は、「名前なんて教えられません」とお断りしています。ただ一方で、女性は、声をかけられた相手がどんなに素敵な人でも、1回は必ずお断りするという決まり事があったようで、作者が本気で断ったのかどうかは分かりません。もしかしたら、2回目の求婚は受け入れたのかも・・。いずれにしても、なぜこのような慣習があったのか、はっきり分かっていませんが、本気で結婚を申し込んでいたというより、女性と話をする糸口にするためだったのかもしれません。
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上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2017年4月22日 放送分】
2017年4月22日
【巻】…1・67

【歌】…旅にして物恋しきに 鶴(たづ)が音も聞えざりせば恋ひて死なまし

【訳】…旅にして人恋しさに鶴の音も聞こえてこなかったら、恋しくて恋しくて死んでしまう

【解】…万葉集で旅の歌を集めてみると、殆どが苦しいという内容になっています。それは、交通手段が未発達で常に危険が身近にあるということ、そして、今のように通信手段がないため、大切な人と長期間の別れを伴うから。この歌も、そんな旅の苦しさを詠んでいます。作者は高安大島。旅の途中で大変な静寂に包まれ、耐え難い孤独感が襲ってきたのでしょう。鶴の声でも聞こえないと、寂しくて死んでしまうとまで表現しています。でも、鶴の声が聞こえたら聞こえたで、やはり寂しさは募ったのではないでしょうか。現代と古代では、これだけ旅模様が違うのですね。
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