MBSラジオがパソコンで聴ける!インターネットラジオサービス「radiko.jp」
上野誠の万葉歌ごよみ
ポッドキャストの楽しみ方
ポッドキャストの受信ソフトに、このバナーを登録すると音声ファイルが自動的にダウンロードされます。
ポッドキャストの説明はコチラ
歌ごよみ!
上野誠コラム
上野誠の万葉歌ごよみ
毎週土曜日 朝 5:30〜5:45

上野誠(奈良大学文学部教授)
上田悦子(MBSアナウンサー)
★上田悦子アナウンサーブログ
utagoyomi_p@mbs1179.com
上野先生に聞いてみたい事、番組の感想など何でもお寄せください。
〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」

【2017年9月16日 放送分】
【2017年9月9日 放送分】
【2017年9月2日 放送分】
【2017年8月26日 放送分】
【2017年8月19日 放送分】
【2017年8月12日 放送分】
【2017年8月5日 放送分】
【2017年7月29日 放送分】
【2017年7月22日 放送分】
【2017年7月15日 放送分】
上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2017年9月16日 放送分】
2017年9月16日
【巻】…10・2111

【歌】…玉梓(たまづさ)の君が使の手折(てを)りける この秋萩は見れど飽かぬかも

【訳】…玉梓のあなたの使が手折ってきたこの秋萩は見ても見ても見飽きない

【解】…玉梓とはたまあずさという硬い木で、弓や杖などにしていた。 
恋人の家に行くときには突然行ってはいけないので、使を出して知らせていました。
この使は手紙または伝言を預かっていて、玉梓の杖だけではなく、秋萩の枝も一緒に持って行ったことがわかります。
見れど飽かぬかもとは、見ても見ても飽きないという意味です。
どんなに美しいものでも見飽きることがある中、見飽きないというのは最高の
ほめ言葉。花だから見ても見飽きないのではなく、あなたがくれた花だから飽きないという、愛のささやきが表れています。

停止

上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2017年9月9日 放送分】
2017年9月9日
【巻】…8・1595

【歌】…秋萩の枝もとををに置く露の 消(け)なば 消(け)ぬとも 色に出(い)でめやも

【訳】…秋萩の枝が重みでたわむほど置く露のように命が消えるならば消えてしまおうとも私は恋心を顔色に出さない

【解】…ををにとはたわませるのこと。
消なば消ぬともとは消えてしまったとしてもという意味。
色は顔色。
これは男性の歌で、男の人の恋心を歌っています。
自分の命ははかない露のようである。どんなことがあっても好きなんだから、自分の命が消えても顔に出さない。顔に出したらあなたに迷惑だし、私も不本意なので、想いを寄せていることを表には出しませんという、忍ぶ恋の美しさが感じられます。
萩は万葉集の中でも登場回数がもっとも多い植物。小さい花びらで、散ったとしても誰にも気付かれないくらい儚さがあります。
萩の花の可憐な様子と男性の秘めた恋心が、秋の夜長にぴったりの歌です。




停止

上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2017年9月2日 放送分】
2017年9月2日
【巻】…8・1523

【歌】…秋風の吹きにし日より いつしかとわが待ち恋ひし君ぞ来ませる

【訳】…秋風が吹いてきた日から 早く早くと待ちこがれていたあなたがやっと来た

【解】…新暦と旧暦では最大で2ヶ月ずれるので、七夕は秋の行事。
七夕は、7月7日の歌と限定するものではなく、秋を感じる歌として詠まれています。
秋風が吹きにし日よりとは秋風が吹いたときからという意味。
待ち恋ひしとは会いたいのに会えない時間を過ごしている様子。
この歌は、七夕歌として詠むと、秋風が吹いた日、立秋から七夕になってようやく待ちわびた人が来た という意味になります。
また、七夕と切り離して詠むと、女性は秋になったらどのように過ごしたいかと思っていて、ようやく秋になって、お便りを何回も送っていた男性がやっと来た という意味となります。




停止

上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2017年8月26日 放送分】
2017年8月26日
【巻】…4・548

【歌】…今夜(こよひ)の早く明けなば 術(すべ)を無み 秋の百夜(ももよ)を願ひつるかも

【訳】…今宵が早く明けてしまったならばどうしようもない だからだから秋の夜長が百夜も続くように願ってしまう

【解】…笠金村の歌です。
秋の百夜(ももよ)とは、百夜月、100日間の夜という意味。
古代の人は仕事でその土地に行き、現地で乙女に会いたい(恋いしたい)という憧れの気持ちが強かったようです。
この歌には、笠金村が、聖武天皇と一緒に天皇の離宮(別荘)に行った際に、
その土地で出会った乙女と一夜を過ごしたときの想いが込められています。
古代の人は、歌に日常でないこと・実現しない願望などを表しているのです。
秋の夜長が100日間続けば良いのにという万葉集の誇張表現のおもしろさが感じられる歌です。



停止

上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2017年8月19日 放送分】
2017年8月19日
【巻】…2・114

【歌】…秋の田の穂向(ほむき)の寄れる異寄りに 君に寄りなな言痛(こちた)かりとも

【訳】…秋の田の穂向きが一方に片寄るように 私はあなたになびいて生きていきたい、噂が心に突き刺さって痛くとも


【解】…但馬皇女(たじまのひめみこ)が、高市皇子(たけちのみこ)の宮にいたときに穂積皇子(ほづみのみこ)を想って作った歌で、稲穂を恋心に例えています。
高市皇子は今の時代でいう首相。但馬皇女は高市皇子に養育されている女性で、穂積皇子と恋仲になってしまい、夜抜け出して穂積皇子の元へ通ってしまうという大スキャンダルがありました。
異寄りには一方方向という意味。
水田の稲穂に風が吹いて一定の方向にさーっとなびくような様子。
言痛(こちた)しは、噂が胸に突き刺さって痛いということ。
君に寄りなな言痛かりとも とは、どんな噂にも私は耐えられるという意味です。
稲穂が一方方向にいくように私はあなたのことが好きなんですというのが歌の主旨。
人生に一度の恋の激しさを感じる情熱的な歌です。


停止