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〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
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【2016年5月7日 放送分】 |
2016年5月7日 |
【巻】…20・4420
【歌】…草枕旅の丸寝(まるね)の紐絶えば 吾(あ)が手とつけろ これの針持(はるも)し
【訳】…旅の丸寝の紐が絶えてしまったなら、私の手だと思ってつけて下さいね、この針を持って
【解】…防人として旅立つ夫に妻が贈った歌です。防人は、関東から大阪を経て遠く九州へと赴任してゆきます。交通機関が発達していない時代ですから、道中、多くの困難が待っていて、行き倒れる人も少なくありませんでした。無事に着いたとしても、防人の任期は3年〜5年、長くなると10年ということもあったようで、送り出す時の妻は、永久の別れに似た気持ちだったに違いありません。そんな心模様をこの歌では、夫の着物への心配りとして詠んでいます。普段の縫い物は妻の仕事ですが、道中の夫を世話することは出来ませんから、「草枕の独り寝で着物の紐が切れた時は、私の手だと思ってこの針で縫ってくださいね」と呼びかけているのです。言い換えれば、私の心はずっとあなたに寄り添っていますよというメッセージなのでしょう。
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