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〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
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【2016年6月11日 放送分】 |
2016年6月11日 |
【巻】…10・1878
【歌】…今行きて聞くものにもが 明日香川 春雨降りて激つ瀬の音を
【訳】…今行って聞けたらよいのにね、明日香川に春雨が降って煮え立つような瀬の音を
【解】…古代は、天気予報がなく、ましてや災害情報もないので、日常的に自然の様子を観察することが重要で、音の変化にも敏感でした。例えば川を渡る時にも、瀬音によって、水の深さはどれくらいか、雨による増水の具合はどんな感じかなどを予想していたと思われます。言い換えれば、気象の変化によって、それぞれの川がどんな瀬音になるかを熟知していたのでしょう。この歌の作者の場合は「この春雨で明日香川はきっと煮え立つような瀬音を立てているだろうなあ、聞きたかったなあ」と思いを馳せています。明日香川が見える場所にはいないものの、明日香の風景を川の瀬音とともに、しみじみ思い出す作者の表情が見えてきそうです。
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