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〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
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【2016年9月3日 放送分】 |
2016年9月3日 |
【巻】…7・1362
【歌】…秋さらば移しもせむとわが蒔きし韓藍(からあゐ)の花を誰か摘みけむ
【訳】…秋がやって来ると移し染めにしようと私が蒔いた韓藍の花、一体誰が摘んでいったのか・・悔しい
【解】…韓藍の花は秋の代表的な花のひとつ、今で言うところのケイトウです。作者は、秋になれば移し染めにしようと、種を蒔いて大切にケイトウを育てていたのに、やっと花が咲いたと思ったら誰かに摘み取られてしまった様子。その悔しさをこめて、この歌を詠んだのでしょう。一読しただけでは、作者が花泥棒に遭った内容ということで終わりそうですが、実はケイトウは、ある女性を例えたもの。作者は、その女性にいつか愛の告白をしようと、長い時間をかけて大切に接してきたのでしょう。しかし、いざ告白しようと思ったら、女性は他の誰かの元に行ってしまった・・そんな失恋体験を表現したのがこの作品です。万葉集には同じような花泥棒の歌が少なくありません。つまり、失恋の体験が、数多く万葉歌として綴られているのです。
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