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〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
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【2016年11月19日 放送分】 |
2016年11月19日 |
【巻】…10・2235
【歌】…秋田刈る旅の廬(いほり)に時雨降り わが袖濡れぬ 乾す人なしに
【訳】…秋の田を刈る旅のいおりに時雨が降って私の袖が濡れた、乾す人もいないのに
【解】…古代では、稲刈りの時期になると、自分の田の近くに仮の小屋を建てました。それが廬です。なぜそうするかというと、せっかく実った稲が動物に食べられたり、誰かに盗られたりすることが多かったためで、小屋に寝泊りして見張りながら稲刈りを行っていたのです。たった一人の小屋での生活がしばらく続くわけですから、寂しかったに違いありません。この歌の作者は、稲刈りの作業中に雨に降られて服が濡れたようですが、乾かしてくれる妻はそばにいません。当時は着替えの服もなく、濡れたままで一夜を過ごさなければならなかったでしょうから、孤独感は耐え難いものだったでしょう。その辛さがこの歌からにじみ出ています。
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