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「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
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【2017年8月5日 放送分】 |
2017年8月5日 |
【巻】…4・496
【歌】…み熊野の浦の浜木綿(はまゆふ)百重(ももへ)なす心は思(も)へど 直(ただ)に会はぬかも
【訳】…み熊野の浦の浜木綿のように 咲き重なって咲き重なって心には思うけれど直接会うことはできない 【解】…人の想いの深さをどう表現するのかということがポイントです。 万葉集では、相手を絶え間なく想うことを“波”で例えることが多く、波が絶えることのないようになどと表現するのですが、この歌では“花”で例えています。 花の状況がどのようなものかで、柿本人麻呂の表現の面白さを知ることができます。 み熊野とは、現在の和歌山県・熊野のことで、古代では地名に「み」をつける言い方をしていました。浦は湾曲している海岸線のことで、そこに浜木綿(はまゆふ)の花が咲いている。百重なすとは数字の百ではなく、白い花びらが次から次へとたくさん出てきて、折り重なるように咲いている様子を表しています。 直に会はぬかもとは、直接会うことができず、相手を遠くからしか想うことができないという状況です。 情景だけでなく、恋の想いの深さ、恋心の伝え方がわかる歌です。
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