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上野誠の万葉歌ごよみ
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歌ごよみ!
上野誠コラム
上野誠の万葉歌ごよみ
毎週土曜日 朝 5:30〜5:45

上野誠(奈良大学文学部教授)
上田悦子(MBSアナウンサー)
★上田悦子アナウンサーブログ
utagoyomi_p@mbs1179.com
上野先生に聞いてみたい事、番組の感想など何でもお寄せください。
〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」

【2017年11月25日 放送分】
【2017年3月25日 放送分】
【2017年3月18日 放送分】
【2017年3月11日 放送分】
【2017年3月4日 放送分】
【2017年2月25日 放送分】
【2017年2月11日 放送分】
【2017年2月4日 放送分】
【2017年1月28日 放送分】
【2017年1月21日 放送分】
上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【2017年11月25日 放送分】
2017年11月25日
【巻】…10・2194

【歌】…雁がねの 来(き)鳴きしなへに
    韓衣(からころも) 竜田(たつた)の山は もみちそめたり

【訳】…雁がねがやってきて鳴き始めると共に
    韓衣ではないけれど、竜田の山はもみじし始めた

【解】…雁がねとは雁の声がやってくること。
来鳴きしなへにとは、やって来て鳴くと同時にという意味。
韓衣は、竜田の山にかかる枕詞で、朝鮮半島や中国の物(衣)を染める技術は日本よりレベルが高かったようです。
竜田は奈良の西の地域のことで、もみじと言えば、竜田山といわれる場所です。
もみじし始めたような赤や黄色の糸を、韓衣の鮮やかな色と重ねて思っていて、もみじは赤や黄で山を照らし、そこに光があたって反射している情景が表されています。
人がどういう色の変化に心がひかれるのかをうたった歌です。

上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【2017年3月25日 放送分】
2017年3月25日
【巻】…2・132

【歌】…石見のや高角山(たかつのやま)の木の間より わが振る袖を妹見つらむか

【訳】…石見の高角山の木の陰から俺が振る袖を妻は見たであろうか、見たはずだ

【解】…石見相聞歌の第1反歌(2月11日に第2反歌をご紹介しています)。石見の国(現在の島根県西部)に赴任していた柿本人麻呂が、ある女性と出会って恋人関係になりますが、都に帰らなければなり、恋人と別れて大和に向かう途中に別離の哀しみを詠みました。高角山が二人を隔てる形になっていて、歌では「木の陰から振る袖が見えるだろうか」となっていますが、実際はすでに見えない状況になっていたでしょう。それでも、お互いに思いは伝わっていると信じて手を振っていたに違いありません。二度と会えない別れのつらさが、切なく伝わってくる歌です。

上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【2017年3月18日 放送分】
2017年3月18日
【巻】…15・3728

【歌】…あをによし奈良の大路は行きよけど この山道は行き悪しかりけり

【訳】…あをによし奈良の大路は行きよいけれど、この山道を行くのは実に歩きにくいなあ

【解】…この歌は、狭野弟上娘子(さののおとがみのをとめ)と恋愛関係になった罪で越前に流された、中臣朝臣宅守(なかとみのあしみやかもり)が詠んだもの。当時は、宮廷で働く女性は天皇の妻という位置づけで、彼女たちと恋愛をするのはご法度だったのです。狭野弟上娘子もそんな女性の一人でした。流罪で越前にやって来た中臣朝臣宅守は、歩く山道が平城京とは比べものにならない位に悪いことを嘆きつつ、都の道の素晴らしさを改めて思い起こしています。平城京では、道が碁盤の目状に整備され、中でも広い直線道路は、都のシンボルとして、人々の誇りでもあったのでしょう。
今回のラジオウォークで通過する東大寺の転害門(てがいもん)からは、平城宮につながる、まっすぐな道が延びていました。この道を、かつては、聖武天皇や光明皇后が歩いていたのでしょう。

上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【2017年3月11日 放送分】
2017年3月11日
【巻】…12・3011

【歌】…我妹子(わぎもこ)に衣春日(ころもかすが)の宜寸川(よしきがわ) 縁(よし)もあらぬか 妹が目を見む

【訳】…私の恋人に衣を貸すという訳ではないけれど、衣春日の宜寸川。その宜寸川の縁もないのかなあ、恋人の目を見る方法が

【解】…この歌が言いたいことは、最後の「恋人の目を見る方法はないのかなあ」の部分だけ。ですが、方法を表す単語「縁(よし)」を引き出すために、同じ音である宜寸川を持ってきて、その宜寸川がある春日と同じ「かす」を利用して衣を貸す
という表現も加えています。つまり、音で遊ぶ形で作られているのです。最後まで聞かないと歌の意味が分からないので、宴席などでも耳を傾けてもらえるよう、あえてこのような歌にしたのかもしれませんね。今回のラジオウォークでは、宜寸川(吉城川)を通過しますので、その時は、この歌を思い出してみて下さい。

上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【2017年3月4日 放送分】
2017年3月4日
【巻】…10・1879

【歌】…春日野に煙立つ見ゆ をとめらし春野のうはぎ摘みて煮らしも

【訳】…春日野に煙が立っているのが見える。乙女たちが、春の野のヨメナを煮て食べているらしい

【解】…古代の人々の年中行事のひとつとして、若菜摘みがありました。女性達が春の野に出て、ヨメナを摘んで煮て食べるというもので、春の芽吹きが持っている力を身体にとりこむという意味があったようです。古代では、春の野のあちこちで煙が立っているというのが、季節ならではの光景でした。一方で、その煙を目指して近づく男性たちも多かったようで、若菜摘みは出逢いの場でもありました。今回のラジオウォークの舞台は、そんな若菜摘みが行われていた春日野。古代の男女の光景を想像しながら歩くのも楽しいかもしれません。