第1169回「311メディアネット【1】~東日本大震災を伝え継ぐ」
電話:3.11メモリアルネットワーク共同代表 藤間千尋さん

MBSラジオは、全国の地方メディア11社が防災関連の記事を共有する「311メディアネット」に、放送局で唯一参加しています。番組では2週にわたり、この「311メディネット」に出稿された記事を紹介します。
最初に取り上げるのは、河北新報社が取材した民間連携組織「3.11メモリアルネットワーク(宮城県石巻市)」です。東日本大震災の伝承活動の連携を進めることを目的に生まれた組織で、伝承の担い手となる人材の育成にも取り組んでいます。被災地では震災遺構や伝承施設などハード面での整備が進む一方で、担い手となる語り部や遺族の活動は、個々の努力頼みの状態です。公的な取り組みが弱い分、民間の連携を強めなければ、経験や教訓を伝えていくことはできません。
番組後半では、宮崎日日新聞社が取材した宮崎市の避難者グループ「うみがめのたまご」の活動から、東日本大震災の経験者が避難先で語る防災の心構えについても紹介します。

3.11メモリアルネットワーク(宮城県石巻市)
http://311mn.org/

うみがめのたまご(宮崎市)
http://umitama.info/
 
千葉猛のひとこと
東日本大震災の教訓の伝承への、被災地の若い人の参加がうれしいです。一人一人がつながれば必ず大きな力になりますよね。また宮崎の小冊子からは避難した方々の防災への思い、経験を伝えて命を守りたいという願いが伝わってきました。「うみがめのたまご」という避難者ネットワークの名前も印象的です。

第1168回「東日本大震災8年【5】~千葉キャスターが見た原発事故の被災地」
取材報告:千葉 猛アナウンサー

発生から8年が経った東京電力福島第一原発の事故では、現在も約2万5千人の住民に避難指示が出されています。一方、事故から全町避難がつづく福島県大熊町では、今春にも原発立地自治体として初めて避難指示の一部が解除される見通しです。対象地区の一つ、大川原地区では新しい町役場の庁舎や町営住宅が建設され、住民帰還の準備が進められています。今月10日、避難指示解除に向けていわき市で行われた大熊町の住民説明会には住民約50人が出席し、医療機関の充実や、モニタリングポストの増設などの要望が出ました。
 帰還へ期待を寄せる住民がいる一方で、今年一月に大熊町が行った住民アンケートでは、回答した住民の5割超が「戻らないと決めている」と答えました。既に避難指示が解除された自治体全体でも、住民の帰還率は約2割にとどまっています。
 避難指示解除を目前に控えた大熊町は今、どんな状況なのでしょうか。町に戻ると決めた住民、戻らないと決めた住民双方の声を取材した千葉キャスターが番組で報告します。
 
西村愛のひとこと
避難指示が出されている約2万5千人の方々。8年経ち、それぞれの暮らしがあり事情があり、想いは様々。でも、ふるさとを愛する気持ちは同じなんですよね。千葉アナウンサーのリポートからも、町の緊張感が伝わってきました。

第1167回「東日本大震災8年【4】~被災地を走る移動図書館」
電話:元シャンティ国際ボランティア会 岩手・山元・南相馬事務所長 古賀東彦さん

シャンティ国際ボランティア会は、東日本大震災の被災地を、「移動図書館活動」で支援してきました。キャッチフレーズは「立ち読み、お茶のみ、おたのしみ」。移動図書館車が仮設住宅にやって来ると、本を借りる用事がない人も集まってきて、一緒にお茶を飲んだり世間話をしたりします。そして本は、ひとり静かに考え、自分の心と対話するのを手助けしてくれるものでもあります。
男の料理本を借りて行った男性は、「家族はみんな流されてひとりになった。ひとりだから健康のことが心配で」と話しました。「原発事故が起こり、避難のときに犬をおいてきた。その後、会っていない」と言って、犬の本を借りて行った女性もいました。人々がさまざまな悲しみを抱えながら日々の暮らしをつむいでいく仮設住宅で、移動図書館は本音を吐露する場にもなりました。この7年半、東北で暮らしながら移動図書館を続けてきた古賀東彦さんの活動日報を紹介し、被災地支援について話を聞きます。

千葉猛のひとこと
「1人の時間を癒してくれるもの、それは本」移動図書館と被災地の支援は、最初すぐには自分の中でつながらなかったのですが、被災した人の心に静かに寄り添う活動だということがわかりました。声を拾うことの大切さ。古賀さんの日報をもとにした本「ただ傍にいて」は読む人の心に深く深く問いかけてきます。

第1166回ニュースなラヂオ、ネットワーク1・17共同企画
「東日本大震災8年【3】~今・・・そしてこれから」
電話:福本晋悟アナウンサー(宮城県石巻市)
取材報告:西村愛キャスター
電話:千葉猛アナウンサー(福島県)

3月11日(月)は、報道番組「ニュースなラヂオ」と共同企画で、
よる7時から9時まで、2時間の特別番組を生放送します。
東日本大震災では1万5897人が亡くなり、2533人が行方不明となっています。
また、今も約5万2000人が、仮設住宅などでの避難生活を余儀なくされています。
番組では、福本晋悟アナウンサーが宮城県・石巻市から生中継。
西村愛キャスターは、大阪で開かれたイベント「3・11 from KANSAI」を取材し、
東北の経験を関西の私たちがどう受け止め生かすべきか、スタジオで報告します。
また、千葉猛キャスターは、福島第一原発の立地自治体で、今春、避難指示が一部解除される福島県・大熊町を取材し、現地から電話出演します。

西村愛のひとこと
東日本大震災から8年。西日本で暮らす私達も昨年は大きな災害に見舞われました。東北で被災した方の体験談を聞き、自分はどう感じたか。今後の防災を多くの人と語り合うことで新たな気づきがたくさん生まれる事をイベントで体感しました。東北の復興、土地だけじゃなく心の復興も、より前に進んでいきますように

第1165回「東日本大震災8年【2】~原発事故避難者の声」
ゲスト:東日本大震災避難者の会「Thanks&Dream」代表 森松 明希子さん

今月11日で発生から丸8年となる東日本大震災では、1万5897人が死亡し、2533人が今も行方不明のままです。(3月1日現在)
大震災にともなって発生した福島第一原発事故では、多くの人が住み慣れた地域を離れて県外に避難しました。近畿地方にも約2200人が避難していますが、人数は把握しきれておらず、実際にはさらに多いと見られています。また、避難指示区域の外から避難している、いわゆる「自主避難者」も多くいます。
国や福島県は除染を進め、住宅環境を整えるなどして住民の帰還を支援していますが、なぜ8年経つ今も多くの人が県外に避難したままなのでしょうか。福島県郡山市から母子で大阪市に避難している森松明希子さんは、「国は、年間1ミリシーベルト以下とされていた被ばく線量の基準を、事故後は20ミリシーベルトまで引き上げた。住民は、無用な被ばくを受けずに安心して生活する権利があるはず」と話します。
森松明希子さんをスタジオに迎え、関西に避難している人たちの現状と避難者の声を聞きます。

千葉猛のひとこと
森松さんの「過剰に被ばくしたくない」という思いはよくわかります。原発事故前の、完全に安心して子供を遊ばせられる環境に戻す責任が国や東京電力にはあるはずです。そして「自主避難を含めた原発事故避難者の支援継続」という国連勧告を政府は受け入れたのですから、完璧に実行すべきですよね。

第1164回「東日本大震災8年【1】~震災遺構・伝承館がオープン」
電話:気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館 館長 佐藤克美さん

今週から東日本大震災8年のシリーズを始めます。被災地では、津波の被害を受けた建物を保存するかどうか、住民の間で意見が分かれ、遺族に配慮して取り壊された建物も多くあります。
そんな状況の中、今月10日に「気仙沼市 東日本大震災遺構・伝承館」がオープンします。この施設は、津波で4階まで浸水した気仙沼向洋高校の旧校舎を、震災遺構としてありのまま残したものです。
地震当日、学校には170人の生徒がいましたが、教員たちの機転で迅速に高台へと避難し、全員が無事でした。校舎に残った一部の教員や工事関係者も、屋上に避難して無事でした。
「伝承館」に来た人は最初に、300インチの大型スクリーンで、実際の津波の映像を見ます。映像には被災者の生々しい肉声も、そのまま記録されています。旧校舎内には、「破壊された教室」、「津波で流されてきた車」などがそのまま残り、津波の脅威をまざまざと感じさせられます。震災の記憶を後世に伝え、防災教育の拠点となることが期待される施設。震災から8年がたち、風化も進む中、伝承館に込められた思いや震災遺構のあり方について、館長の佐藤克美さんに話を聞きます。

関西で開催される3・11関連のイベント
「LOVEフェス3.11」
http://lovefes311.com/

「3.11 from KANSAI 2019」
http://www.311-kansai.com/

「ミホプロジェクト祈りのコンサート」
https://mihoproject.wordpress.com/


西村愛のひとこと
佐藤館長は、生まれも育ちも気仙沼。震災当時は、気仙沼市の土木課の職員として瓦礫の撤去をされていたそうです。『街は復興に向けて進んでいる。でも、記憶の風化も感じられる』と佐藤さん。気仙沼は海の幸も美味しいお酒もあります!気仙沼の魅力も楽しみながら、伝承館へ防災を学びに行きましょう!