兼題「大人になる君たちに贈る川柳」

 先日、成人の日を迎えましたが、今年は新成人の若者たちとお酒を酌み交わし、交流する機会を持てませんでした。そこで皆さんにお願いしたのが「大人になる君たちに贈る川柳」です。
 「まぁしてみ仕事結婚育児に句」(春の声)
どの経験も大仕事ですが、その上で川柳を、というのが憎いところ。
「待っている入って来いよボツ酒場」(山本邦重)
そうです、ボツ酒場ならではの愉しみを知ってこその大人ってものです。
「毛髪は大切にせよ若者よ」(背黄青鸚哥)
 今のうちから教えておいてあげましょう。
「今わかる酒は薬と思ってた」(田中達夫)
 これは、私も伝えたいところです。
 近藤師範は言います。何かやりたいことがあるなら、とにかく続けることだ、と。誰かが自分のためにやってくれるのでもなければ、天から何かが自分に降ってくるわけでもありません。継続してこそ、何者かになれるのだと、近藤さん。
 確かにそうですよね。野球選手でもお相撲さんでも、現在の輝く姿を私たちは目にしていますが、これまでの長い時間の積み重ねがあってこその「今」なんです。
「日に三度『今本気か』と確かめよ」(徳留節)
 本気で、続ける。
「はたちなら80までに60年」(末松満里子)
 ずーっと続けられることが見つかるといいですね!
 最後に、祝福の気持ちを込めて、こう伝えましょう。
「五七五聞いてる君は大丈夫」(歩くアザラシ)

川柳道場拡大版! 近藤師範のアドバイス!

「目がさめて痛いとこなしよし起きよ」(小夏)
 今朝は、元気の良い、この一句から番組をスタートさせて頂きました。
 すると近藤師範からひと言アドバイスが!
 冒頭の「目がさめて」と「よし起きよ」を入れ替えてみると面白いですよ、と。
早速試してみましょう。
「よし起きよ痛いとこなし目がさめて」
いかがでしょうか?勢いがでますね。
私たちが陥りやすいのは、「〇〇〇だから〇〇〇で〇〇〇する」というスタイル。原因→経過→結果、の順序にしてしまうのです。すると、折角の五七五が「報告」の域を越えません。
ところが、それを逆転させてみると、どうなるか。いきなり、冒頭に結果を持ってくるのです。すると、受け取り手は「なんだこりゃ?」と気持ちをつかまれます。近藤師範にはベストセラーとなった「つかみの大研究」(毎日新聞出版)もありますが、川柳もまさに「つかみ」が重要なのです。
「今年こそ『倍返しやぞ!』恵比須さん」(曇のち晴れ)
こちらも逆転させてみましょう。
「恵比須さん『倍返しやぞ!』今年こそ」
 面白味が倍返しです。
 上司に分かりやすいように説明するスタイルではなく、いきなり結果を突き付けましょう。最初は「???」と思わせるテクニックが川柳をいきいきさせてくれます。
 簡単な技なのに、効果は大きいですねえ!あなたも是非お試しあれ!

発表! 12月のしあわせ賞!

明けましておめでごうございます。
今年も「しあわせの五・七・五」をどうぞよろしくお願いします。
毎月皆さまに頂いた川柳の中から「しあわせ賞」を選ばせて頂いています。各月の作品が選ばれ、その秀逸なポイントを近藤師範から教えてもらうたびに、川柳の作り方やものの見方に新しい視点が加わります。今年こそ、あなたの作品が「しあわせ賞」に選ばれるといいですねえ。私も目指しますよ!
 さて今回は、昨年12月に投稿して頂いた川柳の中から「12月のしあわせ賞」発表の朝でした。
 年の初めから、近藤師範は二つの川柳の間で大いに悩んだそうです。両方素晴らしいのは、私たちがこの世を生きていくための「川柳力」とも呼ぶべきエネルギーに満ちているところ。
 川柳が大好きだった田辺聖子さんは、こうおっしゃったそうです。
 人生は艱難辛苦。人間が生きていくというのは、たいへんなことなんだ。だから、おちょくらないで、どうして生きていけようか。
 「おちょくる」という言葉が、なんとも田辺聖子さんらしい表現です。この精神こそが川柳の基本なのでしょうね。難儀なことで行き詰ったときに「とりあえず、お昼にしよか」と一言発することで、人は次に進める、というのです。
 そんな「川柳ヂカラ」を与えてくれることで、最終まで残ったのは、こちら。
「じゃあまたね叶わぬままに年の暮れ」(いつまでも町民)
 そして最後の最後で、近藤師範が気持ちを傾け、しあわせ賞に輝いたのは、この作品です。
「生きているだけでいいよねこの一年」(サボさん)
 どちらも2020年のみんなの思いを凝縮させた一句ですね。川柳力をありがとうございます!
 今年も健康川柳の力を借りて、艱難辛苦をおちょくりながらまいりましょう。

2020年ラストの放送! 一年間ありがとうございました。

 今年最後の「しあわせの五・七・五」を迎えました。
「気がつけば我慢我慢の師走なり」(哲ママ)
 こんな気持ちで年を越すことになろうとは、思いもよりませんでしたね。
また、ここへきて昭和歌謡を支えてくれた人たちが次々に逝きました。
「あの唄であの人想うあの昭和」(真田滋)
 筒美京平さんの「魅せられて」「また逢う日まで」「木綿のハンカチーフ」。中村泰士さんの「喝采」「北酒場」「今は幸せかい」。そして、なかにし礼さんの「石狩挽歌」「時には娼婦のように」「天使の誘惑」。
 近藤さんは、なかにし礼さんに何度もインタビューなさったそうです。満州からの引き揚げ体験、戦争について、憲法への思いなど、歴史を踏まえた話もしっかりと伝えていらっしゃいました。
 また中村泰士さんが作曲した「北酒場」がレコード大賞に輝いた瞬間、近藤さんは中村さんと同席していらしたそうです。吉本興業で打ち合わせ中に報せを聞いた中村さんの感激の表情を、その目で見ていらしたなんて、羨ましい限りです。新地での祝杯は、近藤さんにとっても忘れられない思い出でしょう。
 携帯電話やメール、SNSがなかった昭和の時代。人と人は直接つながることが今ほど容易ではありませんでした。だからこそ「つながりたい!」と欲しました。その思いがあふれた唄の数々。
 そして、今。政治家の口から聞かされる言葉の、なんと虚ろなことか。
「誤解した奴が悪いという誤解」(我流我流亡者)
 言葉にこもる誠実さがなければ、つながりは生まれません。

 「しあわせの五・七・五」に寄せてくださる川柳に支えられて、この一年をなんとか過ごすことができました。本当にありがとうございました。
 つながることが困難な時代に「しあわせの五・七・五」があってよかった!私はそう思っています。番組を支えてくださっているあなたに感謝です。
 「お正月どんな顔して来はるやろ」(豆キューピー)
 笑顔で新しい年を迎えてくださいますように!どうぞ、よいお年を。
 

ゲスト:桜木紫乃さん(直木賞作家)

 今朝は、新著「家族じまい」(集英社)が話題となっている直木賞作家、桜木紫乃さんがご出演くださいました。
どうして?と思われたことでしょう。実は、直木賞受賞時に近藤さんが毎日新聞に桜木さんのロングインタビューを掲載したことがきっかけで、お二人の交流が始まったそうです。
さらに、桜木さんの愛読書の一つが、リスナーの皆さんの川柳も多く掲載されている、近藤さんの本「健康川柳」なのです!その話を先日朝の全国ネットのテレビ番組で桜木さんがなさったことで、「健康川柳」がまたまた売れるという嬉しい出来事もあったほどです。夜眠る前には、せめて笑っていたい。それには健康川柳の本がぴったりなのだそうです。
近藤さんを「日本語の師匠」だと仰ぐ桜木さんは「13才から身に付ける一生モノの文章術」で学んだと言います。あれれ?私も同じ本を読んだのに...と愚痴ってしまいました。するとすかさず「もう一度読めば大丈夫!」なんて返してくださる桜木さんのユーモアたっぷりの会話に、びっくりの連続でした。
今朝、皆さんの川柳の中で、桜木さんが気になったのは、
「集まるな喋るな飲むな旅をしろ」(グリトン)
「温暖化ヒギマもヘビも不眠症」(山本忠明)
 なんとご自身の一句も披露して頂きました。
「まかせとけ!恥がかければ小説家」
 なるほど!小説を書くということの本質をズバリ表現してくださいました。川柳も、自分の恥を見せることで、人の本質を露わにしていきます。川柳マインドが、桜木紫乃さんの小説にはあふれている、と近藤さん。その視点で「家族じまい」を読んでみます。

しあわせの五・七・五 川柳な人々

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