近藤師範の川柳な風景「どんな風景がよく詠まれているのか?」

 近藤師範の「川柳な風景」。
このタイトルが、もし「川柳な景色」だったら、どうでしょう?単に周囲の、目に見える風景を指すことになるでしょう。
でも「川柳な風景」なら、人の心や社会の姿も含んでいると感じられます。ちょっとした言葉のチョイスで、意味合いは大きく変わるのですね。
 さて、実際に川柳でよく詠まれているのは、どんな風景でしょうか?
近藤師範が、健康川柳に寄せて頂いた作品を分類して、その数を調べてみたそうです。
 その結果、一番多かったのはどんな風景だったと思いますか?
 これ、私は夫婦の関係かと思ったのですが、違っていました。正解は、医者と患者の関係です。
 次に多いのは、笑いをテーマにしたもの。健康川柳ならではの一位、二位かもしれませんね。
 季節と自分の関りを詠んだものも多いのですが、中でも群を抜いている季節があります。
それは、春。それも桜の季節を詠み込んでいるものが圧倒的なのだそうです。
桜は、その盛衰を人生に重ねることで、私たちは思わず言葉を残したくなるように思います。
 勿論、日々の人間関係も上位にくるそうですが、どのジャンルにおいても優れた句には、共通点があるそうです。
 それは、一句の中に歳月の流れが感じられること。
 たとえば今日頂いた中にも、こんな作品がありました。
「ヤセなさいそれしか言わぬ医者に行く」(モンブラン)
 医者と患者の関係を描きながら、長年のつきあいの深さが漂っています。
 短い表現の中に、それとなく時間の流れが感じられる一句を、生み出してみたいものです。

川柳道場拡大版!

 今朝はできるだけ皆さんの川柳をたくさんご紹介しようと試みました。
「身の丈に合わぬ大臣また辞任」(俄か雨)
 「身の丈」を詠み込んだ句が、続々寄せられました。
「身の丈に合わぬ松茸見てるだけ」(ボツ供養希望)
 松茸を買いたいとか、食べてみたいとか言っているわけではないのです。「身の丈に合わせて、ただ見てるだけ...。
「身の丈に合った幸せモヤシ買う」(やんちゃん)
 モヤシって安くて、ミネラルいっぱいで、何より料理のかさを増やしてくれて、ほんとありがたいわ。
 大臣の一言を、自分の日常に引き寄せて一句にしてくださいました。強烈な皮肉を込めた川柳を、永田町のみなさん、ちゃんと聞いてくださいよ~!
「あんなにも望んだ時間持て余す」(こだわりトマト)
 定年退職して、私もこの気分がわかるようになりました。毎日フルに働いていた時期は、あんなに暇な時間が欲しかったのにね。
 でも近藤師範は、忙しさはストレスのもと。しっかり休憩をとることが大切なので、時間を持て余すくらいがいいのかもしれません。脳を使うのも50分までが限度。それ以上は働きが鈍るそうです。
 川柳をひねるのも、脳を50分使ったら、ちょっと休ませてくださいね。確かにリラックスしているときのほうが、川柳の良いアイデアが浮かぶようですね。

10月のしあわせ賞!

 「10月のしあわせ賞」発表の朝でした。
 面白い川柳が生まれる背景には比較がある、と近藤師範。
 何かと何かを比べるときに、新しい発見があるというのです。10月に頂いた作品には、そんな比較が多く見られました。
「案ずるなサンマなくともいわし雲」(神戸のお京ちゃん)
 サンマが不漁で、値段が高く、なかなか家庭の味にできないという嘆きから生まれた一句ですね。そのサンマと、空の上のいわしが比べられています。
「分からんな頭と顔の境目が」(風来坊)
 こんな比較もあったのですねえ。
「キャッシュレスわからないのでキャッシュデス」(早起きテルチャン)
 消費税率が上げられると同時に、キャッシュレスがもてはやされる10月の流れの中で生まれた比較です。
 選考に最終まで残ったのは、次の作品です。
「ボケてきたそれが分かればボケはまだ」(破れ傘)
「じゃまたね言って続ける立ち話」(黄色い財布)
 そうして「10月のしあわせ賞」に決まったのは、こちら。
「川柳も俳句も駄目で独り言」(ゆみちゃん)
 川柳は人間と生活を描き、俳句は人生と自然を描きます。その両方ともうまくいかず、思わず独り言してしまう自分の姿を客観的に眺めている可笑しさ。
 二つのものをうまく比べて使うことによって、愉しい一句が生まれます。

「2020年健康カレンダー」川柳募集締め切り迫る!

 来年の健康川柳カレンダーのための川柳。あなたは、もう投稿をすませてくださいましたか?
 リスナーのみなさんと近藤さん、そして私たち番組スタッフのコラボ作品「健康川柳カレンダー2020」。まずは、みなさんの川柳を頂かないことには始まりません。
 1月から12月までの各月に一句、応募頂いた川柳の中から近藤師範が選んだ作品を載せ、印刷させて頂きます。
 出来上がったカレンダーは、12月に改めてプレゼントのお知らせをさせて頂きますので、楽しみにお待ちくださいね。
 カレンダー川柳のご応募は、10月末日到着を締め切りとさせて頂きます。
 10月31日(木)までに到着するようにお送りください。
 宛先はいつものところで結構ですが、「カレンダー係」とお書き添えください。また川柳にはそれぞれ、「何月の句」であるかも明記してくださいね。
 1月から12月まですべて揃えてくださる必要はありません。出来上がった作品からどんどんお送りくださいね。お待ちしています! 

近藤師範の川柳な風景「川柳そのものの面白さ」

近藤師範の「川柳な風景」をお届けしました。
私たちが現在、川柳を楽しめているのは、もとはといえば柄井川柳(からいせんりゅう)さんのおかげです。江戸時代中期に、川柳というジャンルを確立させた方です。
73才で逝去したときの辞世の句は
「木枯らしや跡で芽を吹け川柳(かわやなぎ)」
と伝えられています。浅草の川端で育った彼は、我が身がこの世を去っても、あとに続く人たちが川柳を盛り立ててくれるようにと願っていたのですね。
 近藤さんは、もう一人、味わい深い人物について語ってくれました。
 江戸後期、臨済宗の高僧だった仙厓(せんがい)和尚です。禅の絵画と共に、こんな一句をしたためています。
「気に入らぬ風もあろうに柳かな」
 世の中の様々な逆風にも、しなやかな精神で生きていくことを示唆しているのでしょう。この方、88才で最期を迎えたときに興味深いエピソードが残されています。
 弟子たちは、最後の教えにと、仙厓和尚に言葉を求めました。師匠から返ってきた言葉は「死にとうない」。名僧に似合わぬ、なさけない言葉に、弟子たちは慌てます。何かの間違いだと、尋ね直したところ「死にとうない、ほんまにほんまに。」
 この一言をどうとらえるか、いくつかの解釈があるそうですが、人間のすべての感情を肯定する言葉ととらえることもできますよね。
 川柳は、人間の恥ずかしいところ、濁ったところもすべて認めて、許して、笑いに昇華する、だから素晴らしい文芸なのだ、と近藤師範は語ってくれました。

しあわせの五・七・五 川柳な人々

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