「淡いグリーンがとってもキレイでおいしそう!」
「JAあかし 農産物直売所 フレッシュ・モア大久保店」に移動し、井上さんからキャベツのシュークリーム
「かんらんシュー」をいただいた第一声は、そんな感嘆のひと言でした。
「かんらんシュー」は、井上さんが多方面から協力を受けながら世に出したスイーツ。クリームにキャベツを練り込んだ不思議なシュークリームで、西明石にあるパティスリー「クールランプリール」で不定期販売されています。
畑で見た取れたてキャベツのような、ふんわりまん丸のシュークリーム。
食べると、キャベツの淡い甘みがふわ〜っと口の中に広がります。
最近は野菜を使ったお菓子が最近ブームになっていますが、間違いなくこれもその一つになりそうな、素晴らしい味わい!
甘さが苦手な人にも、この爽やかな香りと後口がかなり気に入ってもらえているそうで、
食べて一同、納得でした。
ちなみにシュークリームのシューは、フランス語でキャベツという意味。また明石は昔からキャベツの産地ですし、法人名の「かんらん」も日本古来のキャベツの呼び名。
キャベツへの多くの人たちの思いが詰まったシュークリーム、新たな名物になりそうな予感です。
続いて、井上さんの奥さん・直美さんに、キャベツ料理を作ってもらいました。
作ってもらったのは、井上さんのお宅で子どもにも大好評だという「チーズ焼き」。
ホットプレートを使って簡単にできる、まさにシンプル・イズ・ベストな一品です。
プレートの上にクッキングシートを敷き、チーズをたっぷり広げます。その上に大きめに千切りしたキャベツをどさっと。ちょっと多いかな、くらいでいいそうです。
軽く上から塩をして、あとは蓋をして蒸し焼きにするだけ。
キャベツがしな〜っとなり、チーズの香ばしい香りがしたら食べ頃。
「フレッシュ・モア」では、直美さんをはじめ明石の農家の奥さん達が「はらぺこあおむし」というグループを立ち上げ、明石のキャベツを料理でもアピールしているそうです。
そこには、「明石のキャベツを広めたい」という、キャベツ農家の皆さんの思いがありました。前回ご紹介した収穫体験などもそのための活動。井上さんだけでなく、明石のキャベツ農家全体で取り組むことが農業の魅力を発信することに繋がる、と井上さんは言います。
井上さんのように、農業をはじめとする第一次産業に携わる人間は、日本という國の根幹を支える、という気持で日々の仕事に取り組んでいます。
「根幹を支える仕事をしているがゆえ、儲からないから辞める、は納得いかない。だったら儲かる仕組みを考えよう」
そのためには安全・安心だけでなく、安価、安定供給であることも大切です。さらに、国産野菜のおいしさも伝えていかなければ…。
生産者の方々の熱い思いが、キャベツ料理には込められていました。
「少し高いかもしれないけれど、国産の野菜を手にとってほしい。皆さんも、私達を盛り上げるお手伝いをしていただければ」と井上さんがおっしゃるように、私達消費者も、一緒になって盛り上げていきたいですね。
チーズ焼きを待ちながら、奥さんの直美さんにもお話しを伺いました。
これだけ毎日忙しく働いている井上さん、ご家族と過ごす時間は当然あまりありません。朝から晩まで畑にいるため、お子さん達との触れあいが少なくなることもしょっちゅうで、繁忙期になると、「最近父さん見ないね、元気なのかなぁ」なんて声が出ることもあると直美さんは言います。
春先の天気がいい日などは、お弁当を持って家族で畑へ。
頭の上で小鳥がさえずる中、父親の姿を見ながら弁当を食べる子ども達。彼らの目には、頑張る父親の姿がきっと輝いて見えているはずです。
父親の頑張りを見ながら子が育つ、家族の絆も、キャベツが繋いでくれているようですね。
ちなみにお子さん達は、たくさんあるキャベツ料理の中で、結局千切りが一番大好きなのだそうです。取れたての甘みを知っているからでしょうか。
直美さんも、「新鮮なキャベツは火を入れるのがもったいない、取れたてのキャベツは、瑞々しさがまるで違うんですよ」と言っていました。
あつあつをいただいた「キャベツ焼き」。食べ始めたら手が止まらないほど、ハマるおいしさでした!
そんな話をしていたら、いい香りがしてきました。
チーズの香ばしさと、キャベツの甘〜い香り。食欲をそそります。
プレートの上では、チーズもこんがりきつね色。
「おいしい〜」
キャベツの瑞々しさも適度に残しながら、口いっぱいにじゅわ〜っと広がる甘さが際立つキャベツ焼き。
これならキャベツ1玉もぺろりといけそうです。
おいしいキャベツと熱い話、まぁるく繋がるキャベツ農家の姿が、ここにはありました。