番組内容

淡路島は、全国でも有数の農業地帯。農業だけでなく漁業、酪農業など様々な第一次産業が営まれ、食料自給率も100%を超えています。 この豊かな島の中でも、中南部に位置する南あわじ市は食糧自給率が170%超と言われ、特に第一次産業が多い地域。しかし、自給率だけを見ると活気づいているように感じますが、従事者の高齢化、耕作放棄地の増加といった全国の農地と同じ悩みを抱えています。解決策の一つが、営農のための移住者の受け入れ。
今回は、淡路島で新たに農業を始めた一人、小林さんの農園を訪ねました。
小林さんの農園では、タマネギや野菜のほか、冬から春にかけてはイチゴを収穫しています。「香りも甘みもいい」と評判のイチゴは、どのように作られているのでしょうか。











※高さ1メートルほどの高設栽培の棚がずらっと並ぶイチゴハウス。

訪問したのは4月中旬、小林さんの農園は苺の収穫期。竹藪を抜けた先に、4つのビニールハウスがありました。さっそく中へお邪魔してみます。
まず気付くのは、花をくすぐる、イチゴの甘〜い香り。高設栽培されているイチゴの列の奥で、小林さんが忙しそうに手を動かしていました。
イチゴというと、少し前までは土の上で栽培されていたのですが、最近は作業の効率化や収穫量の増加を考え、土を入れたポットやプランターに苺の苗を植え、それを大人の腰〜胸の高さに並べているのです。プランターからは、ぷっくら実ったイチゴが頭を垂れています。











※収穫期を迎えた真っ赤なイチゴがずらり!
小林農園のイチゴは、実の丸さも評判です。

小林さんの農園では、「やよいひめ」と「あきひめ」の2品種のイチゴを主に栽培しています。まず入らせていただいたのは「香りが強いでしょ」と小林さんが言う「やよいひめ」のビニールハウス。

ハウス内では、約1000株のイチゴの苗に、
赤い宝石のようなイチゴがたわわに実っています。

思わず「幸せな気分になりますね〜」と笑みをこぼす本上。

苺の栽培は、夏の暑い時期にプランターに土を入れ、苗を植えて設置するそう。これが最も大変な作業で、9月くらいまでにすべて植え終わり。通常で12月くらいから収穫が始まり、5月くらいまで続きます。
イチゴが実を付け始めたら、そこからは人の手による地道な作業。
実を付け始めたイチゴの中には、苗の列に埋もれているものがあります。また、花びらが残っているものもあります。
列に埋もれているのと日光が当たらず実らない、花びらが付いたままだとそこにカビが生えて、これまた実らない。だから一つ一つ見ていき、表に出していくのだそうです。
の作業を「玉出し」といい、収穫前の大仕事。










※ひとつひとつチェックして、花びらが残っていれば取り除いていく地道な作業。これをやらないと、大きくて丸いイチゴは実りません。


小林さんが、面白いことを教えてくれました。
イチゴは苗から細い枝のようなものが伸びて、その先に実を付けるのですが、この枝のことをイチゴ農家の皆さんは「かんざし」と呼ぶそうです。
イチゴの苗が、なんだか大和撫子に思えてきました。

「収穫してみますか? ちょっといい音を聞かせましょう」
おもむろに小林さんが、かんざしの先のイチゴを手でちぎりました。
「プチッ!」
少し離れていても聞こえるほどの音が、ハウスに響きました。
「これが収穫の音なんです。いい音が出るイチゴはおいしいんですよ」音でイチゴの善し悪しが分かる??
「この音がね、朝早くハウスの中にこだまするんですよ。感動ものです」


Director’s voice [食糧自給率について] 日本の食糧自給率は、農林水産省が公表している平成24年度のデータによると、生産額ベースでは68%、カロリーベースでは39%。共に年々減少しています。なかでも食事に占める輸入食材の割合が高くなっているため、カロリーベースでは昭和40年の約半分にまで落ちています。

諸外国の数値と比較してみると、平成21年度のデータになりますが、カロリーベースでアメリカが130%、カナダが223%、フランス121%、ドイツで93%と、日本がかなり低いことが分かります。つまり食料のかなりの割合を輸入食材に依存していると言えます。

淡路島の食糧自給率はカロリーベースで見ても、100%以上。つまり島内の食材で、住民の食事はまかなえていることになります。「食の宝庫」と呼ばれる所以はここにあるのですね。
【プロフィール】
小林農園
代表 小林 剛彦さん
神戸でのサラリーマン生活を経て、17年前に淡路島へ移住。2000年より本格的に農業を開始し、イチゴ、レタス、タマネギなどを栽培している。営農の傍ら、たくさんの人に農と関わってほしいという思いから、収穫イベントなども実施。