番組内容

今回は、熊本県熊本市北区植木町にやってきました。
熊本空港から車で1時間ほど、全国に名高いスイカの名産地、いや、王国です。

辺り一面ビニールハウス、まさに"見渡す限り"という言葉がぴったりな感じで、こんな風景を始めてみる本上も、驚きを隠せない様子。一考が歩いている道の右も左も、そして遠くに見える山の中腹あたりまでビニールハウスが整然と並び、広がっています。

※視界に入る風景のほとんどがスイカのビニールハウス! 植木町一帯は昔からスイカ栽培が盛んで、露地栽培だった場所もこのようにビニールハウスに。ハウス内には2Lサイズくらいあろうかというスイカがごろんと転がっています。

同じ形のハウスが並んでいるので、どれが誰の、というのも分からない状態で目的地(?)へと向かう一行。ちらりとハウス内を覗くと、見えます!
結構大きいスイカがごろごろと苗の間に並んでいます。その奥に見える人の姿、 これが今回お話をお伺いする伊藤さんです。

ハウス内にお邪魔した一行をまず迎えたのは、もわ〜っとした熱気。
中は何度くらいあるのでしょう。
「一番暑いときだと、45〜50度ですね」と伊藤さん。
50度! その中での作業、想像しただけでもおうひるんでしまいます。
スイカ農家さん達は、皆さんこんな環境で仕事をされているんですね。
スイカの芳醇な甘さは、この過酷さの上に成り立っている、 そう思うと、まだお話もお伺いしていないのに頭の下がる思いです。

お邪魔したハウスでは、目の前にスイカがゴロゴロとたくさん実っています。
一つ一つがとても大きいのですが、このハウスだけで約1200玉もありそう。









※お伺いした時期は、ちょうど植木スイカの収穫期後半。足元には大きなスイカが実っています。鈍い輝きを放つ緑の玉が、あっちにも、こっちにも!

ちなみに、1つの苗にスイカはたった一玉しか作りません。限られた栽培面積の中で最大限の収穫を考え、このようになっているそうです。
「ちなみにスイカの苗の長い蔓にたくさんある節のうち、18節くらいのところでスイカが実るように育てていきます。でもほら、少しずつ違うでしょ、スイカがなっている位置が」 と伊藤さん。
すべて同じ節の場所に実るようにすると圧迫してしまうため、日照なども考え、少しずつ調整しているそうです。細かい作業ですね〜。

一苗にスイカが一つと言っても、スイカはたくさん収穫しなければなりません。苗の数は一体どのくらいあるのでしょうか。
「ハウスの面積がここだけで1800平方メートル。これを含めて全部で2ヘクタールくらいビニールハウスあって、この春は14000植えて、トータルで18640の苗を植えています」 ということは、スイカを実らせる節の調整も18640回やるということなんですね!
考えただけで、気が遠くなりそうです……。








※広大なハウス内で手際よく作業を進める伊藤さんご夫婦。手前に見えるリヤカーは収穫したスイカを積むためのものですが、スイカに傷が入らないよう、ちゃんとう厚手の毛布が敷いてあります。

それだけでも大変そうなスイカ栽培ですが、地面で育っていく植物なので、作業は基本的に腰をかがめて行います。
「ハウス内の温度を確保するために、苗を植えた最初の頃はビニールを3,4枚張るんです。そこの中に腰をかがめて入って行くのですが、だんだん薄暗くなっていくでしょ、だから私たちは、西瓜農家のことを“モグラ”と言ったりもするんです(笑)」 いやいや、笑い事ではないですよ。もちろん作業は一度で完結するわけではないので、その作業は繰り返されるんですね・・・。

栽培の話の中で、とても面白いことを聞きました。
それは、スイカ農家だからこそ分かるであろう、収穫時期について。
伊藤さん曰く「実は我々にもよく分からんのです」

えっ!?

あちこちに竹の棒が指してあるでしょ。この先を色分けしていて、黄色はこのあと40日後に収穫とか、色ごとに意味があるんです。こうして見分けないと、実はプロが見ても収穫時期は分からないんですよ」 西瓜を栽培して28年になりますけど、正確には分からない。だから育っていく状態を見ながら棒を指す。
これだけ技術が進んだ現代でも、自然の営みは管理できないということですね。








※ハウス内をよく見ると、スイカのそばに竹の棒が立っています。確かに先端は色が違いますね。これが、甘いスイカの収穫時期を知らせてくれているのです。

Director’s voice [スイカの旬は、西から東へ] スイカは夏の代表的な食べ物、と一般的に思われますが、全国の収穫時期で見ると、初夏〜秋にかけて、食べられていることが分かります。
全国一の収穫量を誇る熊本県では、4〜6月が最盛期。熊本産スイカの出荷が終わると、6〜7月が千葉県、鳥取県など。7月を過ぎると山形県、長野県などが8月をピークに収穫時期を迎え、8月後半まで続きます。ちなみに熊本県ではビニールハウス栽培の普及で、一年を通して収穫しているところもあるようです。




【プロフィール】
スイカを育てて28年になるスイカの匠・伊藤譲二さんと奥さんの純恵さん。伊藤さんのスイカは「伊藤家のスイカ」で購入できる。
http://www.itou-suika.com/