番組内容

スイカを収穫しその場でいただく!

スーパーや八百屋に並んでいるスイカで、熊本県産と書いてあるものはほとんどの人が必ず目にしていると思います。熊本は、それだけスイカで知られています。 そしてその中心地が、今回お邪魔している植木。 一面のビニールハウスを見ても分かりましたが、この時期(訪れたのは6月)でこれだけスイカが集まっているのは、日本でもここだけだそうです。 やはり、それだけ栽培に適しているということでしょうね。









※ジューシーな果肉がパンパンに詰まっていることが見た目でも分かる伊藤さんのスイカ。こんなに立派なスイカができるのも、伊藤さんの努力に加え、植木の気候があればこそ。

「季候がいいし適度な雨があるし、なにより地下水がいいんです。育てているのは全て地下水。潤沢なおいしい地下水を吸って育つから、植木のスイカはおいしくなるんです」 と伊藤さん。
それに、スイカは最高気温と最低気温の差が15度くらいあればおいしくなるそうですが、5月くらいから収穫期に入る植木のスイカは、まさにこの気温差の中で収穫を待ちます。
最もいい季候の時に収穫時期を迎える、だからおいしい。
この土地だからできるおいしさ、今回お話を聞き、そう感じました。

取材してスイカをいただいたのは6月。昔は初物のスイカがちょうどこの時期に出回り始め、食べるものの“まだ甘みが薄いなぁ”と感じていたものです。
しかし今回食べさせてもらって、6月でもこれだけ甘いということに、熊本産スイカのポテンシャルを実感させられました。









※スイカでも、受粉の際にはミツバチが大活躍! お邪魔したビーニールハウス群の脇には、ミツバチの箱の周辺で元気に飛び回るミツバチがいました。

「毎年スイカは進化している気がします」
と言う伊藤さん。10数年前のスイカは、糖度がだいたい10度あればおいしいと言われてきました。それが今では12度、13度が当たり前。例え糖度11度でも、今は物足りなく感じるのではないかと言います。
人間の味覚がパンチのあるものを求めてしまった、なんだかそんな気がします。

ところで。
スイカの匠と言われる伊藤さんですが、スイカづくりでのこだわりは何でしょうか。
「私のスイカづくりで大切なのは、日光と水、そして情熱(笑)。それから糖度、ですね。実は15度のスイカを作ろう、とプロジェクトを立ち上げて頑張っているんですよ」 と伊藤さん。
秘密兵器を見つけ出し、それが伊藤さんのスイカづくりには不可欠になっているそうです。

「アミノ酸なんですよ。これをスイカの表面に散布することで、中身が違ってくるんです」
アミノ酸といえば昆布の旨み成分のグルタミン酸のように、食べ物の味に不可欠な成分。私たち人間の体も、約20%がアミノ酸でできていると言われます。
それをスイカに?
伊藤さんは異分野で活躍している同級生を中心にプロジェクトチームを立ち上げています。そこでは“スイカをよりおいしくするにはどうすればいいか”を研究し、とにかくいろんなもので実験を繰り返したそうです。最終的にアミノ酸がいいのではないか、とう結論に達しました。 現在伊藤さんは、アミノ酸を水に溶かし、光合成が始まる10時までに散布しています。
その結果、糖度14.5%までは達成! 残り0.5%は自然の力、特に朝晩の気温の差に頼るしかないそう。

そんな伊藤さんのスイカ、私たちはとてもおいしく、甘さを実感しながらいただいたのですが、それでも伊藤さんに言わせれば「あんまりたいしたことない」そうです。
余計に伊藤さんの「糖度15度のスイカ」を食べたくなりました。








伊藤さんのビニールハウスでは、様々な設備も導入されています。そのうちの一つがビニールハウス自動開閉装置。湿度と雨のセンサーがあり、ハウス内の温度を自動調整しているのだそうです。スイカの甘さのためには、この温度管理もかなり重要です。

もちろん、この後で「こっちはもっとおいしいはず」と伊藤さんにすすめられ、 ほかのスイカもたっぷりいただきました♪


Director’s voice [家族構成の変化が、西瓜栽培に影響!?] スイカといえば大玉、というのがこれまでの定説でしたが、この数年、いわゆる“小玉スイカ”をよく見かけるようになりました。実際に多くの品種が誕生しているようです。
なぜ大玉ではなく小玉なのか、これには、日本の家族構成の変化が影響しているようです。

昔は大玉のスイカがあっても、大家族で食べ終えることができたり、ご近所への“おすそわけ”で、おいしいうちに食べることができていました。
しかし現代は核家族化。加えてご近所付き合いも減ってきています。そんななかで、消費者の需要も、大玉ではなく小玉へと変化していきました。
また、スイカ農家もほかの作物と同じく高齢化問題を抱えています。

高齢者でも栽培できるようにするためには、重量級の大玉ではなく、手軽な小玉の方がいいというわけです。
スイカ王国・熊本県でも近年「ひとりじめ」という小玉スイカが登場、瞬く間に人気が広がりました。
少人数でも食べ終えられる、そして冷蔵庫でそのまま冷やせる、という手ごろな大きさ、加えて高糖度、というのが人気の理由です。
私たちの生活に合わせて、これまらも新しいスイカが登場しそうですね。




【プロフィール】
スイカを育てて28年になるスイカの匠・伊藤譲二さんと奥さんの純恵さん。伊藤さんのスイカは「伊藤家のスイカ」で購入できる。
http://www.itou-suika.com/