番組内容

農業を広げる挑戦その1「賀茂なすのおいしい食べ方研究」

森田さんの案内で、畑から倉庫へ移動した一行。
入口で猫を見付け、本上はちょっぴりテンションUP(笑)

「猫はネズミよけです。恐がりな猫なんですけどね。たまたまハウスに捨てられていて、それを連れて帰ったんです。収穫した野菜を置いておくと、翌朝ネズミに食べられて市場に出せないことがあるんです。それでこの猫に追い払ってもらっているんですよ」 野菜を守る猫、初めて見ました。









※森田さんの言うとおり恐がり屋さんの猫。取材が終わるまでゲージの奥でじーっとこちらを見ていました。でも仁己がとってもかわいいんですよ。

倉庫へ異動した理由は一つ、森田さんオススメの賀茂なすの食べ方を教わること!

「発端は規格外の賀茂なすをなんとか生かそうということ。いろいろとやっている中で、取引先のレストランでジャムを作ってみたりもしました。 京ご紹介するのはピクルスです。皮だけむいて生のまま、2週間前に漬けたものと、つい先ほど漬けたものの2種類を食べ比べてみましょうか」











※森田さんお手製の賀茂なすピクルス。手前が着けて2週間経ったもの、奥が漬けて数時間後のものです。

賀茂なすのピクルス?? これまた初めてです。
どんな料理にしたらいいかといつも頭を悩ませている森田さん。たまたまホテルのシェフに「ピクルスにしたら結構おいしい」と教わり、早速チャレンジしたそうです。
漬けたら重しが必要ですが、それだとせっかくの賀茂なすがつぶれてしまう。
だから真空機を使って、真空パックの圧力を重し代わりにしてみたそうです。
やはりアイデアマンですね〜。

さっそく、いただいてきます。まずは2週間ものから。
「さっぱりとして、少しスパイスの風味もあって、おいしいですね」
次に漬けてすぐのもの。
「超浅漬けですね。色もまだグリーンです。んん、こっちもおいしい。
先ほどのものとは食感も味わいを全然違いますね。それぞれにおいしさがある感じです」










※賀茂なすのピクルスをじっくり味わう本上。どちらも甲乙つけがたいおいしさで、なかなか食べる手が止まりません。

「自分もはじめは農業に抵抗があったから、自分が嫌だったことは息子に受け継がせたくない。だけど試練として、いつしか壁にぶち当たる。その壁をいかに打ち破るかを考えていかなきゃ、と話しています」 農業を次の世代へつなぐために、優しくて厳しくて、まるで大自然のような心が、森田さんの笑顔の奥にはあるのでした。



森田さん曰く、時代と共に人が入ってきて、昔と現代とが入り混ざったような京の街。 そこでは、今後どのように農地を守っていくかが課題だそうです。 「家の周辺にはスーパーマーケットやコンビニ、薬局、病院もあるし、いたれりつくせり。 生活の面では暮らしやすい街だと思います。しかし農業という面で考えると、朝早く機械を動かせないなど、近隣の方に配慮しながら工夫しなければやっていけません」

住宅地ならではのよさ、そこで人々の生活と農業との共存を考えると、課題はいろいろあるようです。
課題と言えば、森田さんの中での一番の課題は「農業を広げるにはどうすれば?」ということ。そのために先ほどのピクルスがあるわけですが、ほかにもいろいろ、やられているようです。

先日は、森田さんの田んぼを活用した婚活イベントも実施したとか。

「ちょうど田んぼに草が生えていて、自分たちだけでやると3日かかる。しかしイベントでやってもらうと1日で終わる。一石二鳥のイベントでした。草挽きをしながら互いに話し、そのあとにBBQをして…、と。10組くらい来て、4組くらいはペアができたようです」 農業を知るため、という理由でなくても、農業にふれる機会はある、ということですね。

ほかにも、近隣のホテルの宿泊客に参加してもらう収穫体験もやっているそう。 「収穫した野菜を持って帰ってもらう場合もあるし、ホテルのシェフが調理してその料理をいただくとか、いろいろ楽しみがあります」











※笑顔が絶えない森田さんですが、行動力と実践力で、これからの農業を真剣に考える姿勢はとても勉強になりました。

最後に、森田さんの農業に対する姿勢を教えていただきました。
「地方にはいろんな作物の種がある。それは宝だし、一粒の種が命を救います。農業は一次産業ですが、生命維持産業だと思えば、どんどん農業に対する自分の気持ちが満足できるようになります。私たちが育てている京野菜だって、そのネームバリューにあぐらをかくのではなくて、命をつなぐ野菜と一緒に、我々も頑張るのだ、といつも思っています」
命を繋ぐために命を育てている、そんな森田さんの言葉は、私たちの心にとても強く響いてきたのでした。

Director’s voice [野菜を知るなら、まず育ててから] そろそろ秋も本格化。秋冬の野菜を育てるにはまだ間に合います。今回紹介した賀茂なすを始め、実はいろんな京野菜の種が、最近では販売されています。ご家庭のベランダで野菜を育てている人も多いと思いますが、伝統野菜を育てて食べる、というのも楽しいのではないでしょうか。 京野菜だけでなく、全国各地の伝統野菜の種も、最近ではインターネットなどで入手できます。まずはプランターから、本格的に育てたくなったら貸し農園へ、というように、身近に農を感じる暮らし、始めてみませんか?



【プロフィール】
森田良彦さん
京都・上賀茂で100年続く農家の三代目。四代目の息子さんと共に、賀茂なすをはじめ様々な野菜を育てている。
http://www15.plala.or.jp/puremorita/