のどかな農道を歩き、やってきたのは九条ネギの畑。
関西の人はすぐにイメージが湧きますが、九条ネギってどんなものなのでしょう。
渋谷さんに聞いてみました。
「もともと九条ネギという品種があったんです。それは1000年前ほどの昔からあって、どんどん品種改良されて今のネギになってきています。もともとの系統というのは、一般的な青ネギの中にも入っています。現在の九条ネギは、その系統というより、作り方にこだわりがあるんです。昔ながらの作り方だと、一度大きく成長させて、収穫して、根元を残して切ってしまいます。それを土から出して干しておいて、また植えるというのが、本来の九条ネギの作り方」
切って、掘り出して、干して、また植える! 厳しいんですね〜。
作物に厳しさを与えている気がしますが、根を乾かすって、死んでしまわないのでしょうか?
「ストレスを与えることで、一度は根っこが萎縮するんですけど、土に戻したときに球根の部分は生きているので、グッと力強く育ってくれるんです。そうすることで香りや肉厚さが保てるんですよ」
ということは、目の前に育っている九条ネギたちも、一度切られてまた育っているということでしょうか?
「…という風にするのが本来なんですけど、そうするとあまりにも経費がかかってしまうんです。だから、それになるべく近づけるような栽培方法ということで、苗を最初に作り、その苗を5、6回くらい切るんです。5か月くらいかけて切って、苗にストレスを与えて、植えたときに本来の九条ネギと同じような作り方になるような栽培を心がけています」
たかがネギ、と言っては失礼ですが、とても手間がかかる育て方をしているんですね。
目の前の九条ネギは、何度も着られているとは思えないくらいすくすくと育っています。
ところで、ハウスの中の九条ネギは結構大きくなっていますが、これで収穫まであと10日ほどの状態だそう。収穫目安って何なのでしょう?
「ネギの大きさですね。太さもあるんですけど、夏の間は本来の九条ネギの太さに比べると細い場合があるんです。成長速度が速いので。それを見極めて収穫します」
そんな収穫直前の九条ネギを、ちょっといただいてみました。
白くてキレイな根元の皮をむいて…
「はぁ〜、いい香り♪」
本上、思わずつぶやきます。
結構ぴりっと来ますが、口の中いっぱいに香りが広がり、瑞々しさを感じます。
「夏の間は甘みが出るというよりも辛みが出るんです。葉の方はまだ辛みがやわらかいですよ」
確かに、やわらか〜い、優しい味でした。
さて、恒例の質問。
九条ネギにも、買い物するときの見分け方ってあるのでしょうか?
「ネギの葉の部分は、外側が古く中が新しい芽です。外葉から枯れていきますが、中が元気で外葉も元気なネギが新鮮でおいしいです。あとは根っこの白さも大切。生育途中にストレスがかかったり、傷んでしまうと、根っこの部分が真っ白じゃなくなるんです。黄色くなったり茶色っぽくなったり。その辺りも見ていくといいですね」