番組内容

キュウリ農家の特製キュウリ料理

九条ネギの畑も見せていただいたところで、本上は「キュウリのおいしい食べ方でオススメの食べ方がある」と聞いていたことを思い出しました。

さっそく、突撃!農家のごはん、ということで、渋谷さんのご自宅へ…。
「うちは夏の間、暑いので漬物か、キュウリの冷製スープで食べます」
冷製スープ! 本上の目がキラーンと光った気がします(笑)
というわけで、渋谷さんのお母さん・晴代登場です。









※渋谷さんとお母さんの晴代さん、3名で記念撮影。お母さんが料理を作る姿を実は初めて見た、という渋谷さん。今回の取材はいい機会になったようでした。

実家の母から大きいキュウリを送ってもらったときに、皮を剥いてお味噌汁に入れたらすごくおいしかったという本上。冷製スープは作ったことがないので、ぜひぜひ、と興味津々です。

さっそく料理スタート。
「小さいキュウリでもいいんですけど、大きいキュウリは販売であまることがあるので、それを料理に使うことが多いです」と晴代さん。

作り方はとても簡単、
1.生のキュウリの皮を剥き、半分に切って種を取り、薄くスライス
2.お湯を沸かし、和風スープと昆布だし、調味料戸塩少々を入れる
3.そこにキュウリを入れ、柔らかくなるまで炊く
4.最後に水溶き片栗粉、溶き卵を入れて完成

寒くなってきたら温かいままで食べますが、夏は冷やしてからいただくそうです。










※キュウリの冷製スープの完成。初めて食べた人は冬瓜と間違うこともあるそうです。溶き卵がふわっとしていて、おいしそうですね♪

「キュウリは身体を冷やしてくれると昔からいわれていて、それを更に冷やすので、暑いときはよけいおいしく感じますよね」と晴代さん。では、いただきます!

「ん〜、やさしいおだしの味。あ〜、ひんやりとして喉ごしもとってもいいですね」と本上、しみじみ感じ入っていました。










※ついでに、と晴代さんがだしてくれたのは、自家製のキュウリの糠漬け。これまた、味わい深いものでした。

お腹も満たされたところで、渋谷さんに農業についてお話を聞くことに。
渋谷さんはお父さんも農業をされているのですが、ただ継ごうと考えて就農したわけではないようです。

「父親は僕が大学の時に親が農業を始めたので、農業をやっている姿というのは、数年しか見ていないんです。それよりも、大学卒業の時に自分のやりたい、魅力のある仕事というのが自分の中になくて、父親を手伝いながら、やったことが跳ね返ってくるおもしろさをすごく感じました。それに、自分の周りに農業をやりたいという同世代がいなかったのが寂しいなと思えて。だからこそ、大学を卒業する人たちがやりたいと思えるような農業に自分が変えていきたい、という思いで始めました」

人当たりのいい、という印象の渋谷さんですが、秘めたるパッションがあったのですね。で、実際やってみてどうでしょう?

「実際は失敗の連続で、なかなか思うようにいかないことも多いんですけど、自分がやったことが完成して帰ってきたときがおもしろいですね。自分が手がけている野菜はまだ数が少ないんです。だからこそ、新しい品目を一つやれば、今までの農業とはまた違うあたらしいものが開けていくというおもしろさもがあります。いま僕は会社にして、若いメンバーと一緒にやっているんですけど、同じ歳くらいの人たちとやりながら常々言っているのは、“農業というのは一つの芸術、農家はアーティストだ”ということ。同じ土、同じ土地、同じ肥料、同じ水のやり加減でやっていても、作る人によって違うんですよ、できるものが。自分がどういう思いでどう作っていくかで、作物ができていく。この気持ちを大切に、ただ野菜を作っていくだけではなくて、これをどうやって食べてもらいたいか、ということも考えていく。そうするといいものが毎年できていくと思います。それが農業の一番おもしろいところだではないでしょうか」










※渋谷さんの農園の周りには、たくさんの先輩がいます。そんな人たちに教わり、助けられながらおいしい野菜を作り続ける、という渋谷さんでした。

日々考えて動く農業を実践する渋谷さん。
“自分はまだまだ素人”という初心を忘れず、新しい品目を始めるとなると、すぐにいろんな人たちに聞きに行き、そのなかで自分が一番いいと思う方法を吸収していく、という謙虚さとフットワークの軽さも、彼の魅力なのかもしれませんね。
「農業をやり出したときに、閉鎖的な仕事だろうな、と思っていたんです。でも実際は逆で、人と繋がっていなければやっていけない仕事です。自分が偏見を持っていただけで、実際やってみると、いろんな人と繋がっていないと全然何もできない、一人ではできないんだな、と痛感しました」

渋谷さんご自身は、就農して以来、農業を辞めたいと思ったことはないとか。
「思うようにいかなくて悔しいとか、一晩で野菜がダメになった時に呆然と畑を見渡してしまうこともあります。でも、悩んでいても始まらないんで、気持ちを切り替えて次に行こう、と考えるようにしています」

立ち直るための原動力、それは野菜ができたときの喜びが大きいから、だそう。
「いいものができたときの楽しさ、というのもあるし、これを続けて行くことが、農業をしたいという人たちに伝えていけることになるし、自分が諦めるような仕事だったら、みんなも農業なんてそんな仕事と思うんじゃないかな、と感じています。だから諦めずにどんどん挑戦をして、昨年よりも今年、今年よりも来年となっていけるのが、自分の中での強い想いですね」










※九条ネギの畑は移動する道中、そして自宅で、熱い思いを聞かせてくれた渋谷さん。その姿勢からは、“農業を楽しいと伝えたい”という気持ちが伝わってきます。

仲間と共に農業に励む渋谷さん。チームで動くよさについての質問で印象的だったのは「一人の経験値というのは一年に一回だけですけど、複数人でやることで、一人よりも二人、二人よりも三人と、経験値が足し算ではなくかけ算になっていく」とおっしゃっていたこと。すべてのことを前向きに捉える、そこに渋谷さんの農業のスタンスがあるように感じました。

八幡市という都市の近郊で農業をすること、そこにはお客さんの反応も分かるというよさがあると話す渋谷さん。 これからはより多くの人に、鮮度のいい野菜を届けられるような取り組みをやりたいと思っているそうです。そうすることで野菜の本当の美味しさを伝えていきたい、そんな渋谷農園の活動に、これからも注目していきたいですね。

Director’s voice [キュウリ料理、あれこれ。] キュウリと言えば、サラダに酢の物に、キムチに…と実にさまざまな料理があります。京都では昔から“うざく”でよく使われていましたが、これは夏ばて防止のウナギに、ウナギには不足しているビタミンCを豊富に含むキュウリを合わせる、という昔からの智恵なんですね。収穫量全国一の宮崎県、二位の群馬県では郷土料理の“冷や汁”に、山形ではほかの夏野菜と共に刻んで醤油とカツオ節で味付けし、ご飯にかける“だし”という料理で、昔から食べられていたようです。いずれも、夏バテ防止がその理由のよう。 ちなみに日本にキュウリが伝わったのは平安時代といわれています。その頃から、夏の暑気払いの代表野菜として、現代まで重宝されているキュウリ、すごいと思いませんか?



【プロフィール】
渋谷昌樹さん
大学の農学部を出て就農。就農後は父親と共に農地を増やしながら規模を拡大し、現在は農地面積8.4ha、20人以上のスタッフで渋谷農園を経営する。