番組内容

新米! 炊きたて!!箸が止まりません。

新潟市の中心から、清流・阿賀野川に沿って南東へ一時間ほど行った場所にある阿賀町。 おだやかな阿賀野川はとても水が澄んでいて、その周りに広がる町も、どこかやわらかい雰囲気を感じさせます。この町にある麒麟山酒造へ、今回はお邪魔します。
おいしいお酒ができそうな、空気がきれいなところです。










※うまい酒にはきれいでおいしい水が欠かせません。阿賀野川の豊かで清らかな流れは、ここはおいしいお酒がある、と納得するに足る佇まいでした。

橋を渡り、酒蔵へ向かう本上ですが、 あまりに川がきれいなので、ちょっと川面に近づいてみることにしました。この日は本当にいい天気、水面がキラキラと光っています。

川で遊んでいる子どもや、時折ピチャッと跳ねる魚を見ているうちに 自分も水遊びをしたくなってきた本上でしたが、 後ろ髪を引かれる思いで、酒蔵へ向かうことに。

橋を渡り、阿賀野川の支流・常浪川沿いにある麒麟山酒造本社に到着しました。トラックが並ぶ蔵を横目に、本社へお邪魔します。
出迎えてくれたのは、製造部長の長谷川さんでした。
早速川に感嘆した話をする本上に麒麟山のお酒が常浪川の伏流水を使っていることを教えて暮れる長谷川さん。
やはり、うまい酒にはうまい水、なんですね〜。











※倉庫には、大きな杉玉が掲げられていました。

「川の向こうに見える山が麒麟山と言って、紅葉の名所として知られているんです。10月にはすごくキレイな色を見せてくれます。季節を通じて色が変わって、四季折々の美しさを見せてくれるんですよ」 と長谷川さん。
それで、麒麟山のラベルには、背景に紅葉が描かれているんですね。
豊かな自然に抱かれたお酒、というわけです。











※ラベルに描かれている風景が、倉庫のシャッターにも描かれています。麒麟山の自然を感じさせてくれる、味のある絵です。

「この辺りは昔から気候風土がよく、酒造りに適している土地だと言われています。冬も雪が多いです。2メートル降ることもあるんですよ。平均で1メートルは積もっていますね」 「冬は寒い、というのがお酒造りには大事なことなのですか」 「雪がすごく降ると空気が澄んできます。水も浄化されていくので、おいしいお酒が造れるんですよ。まず、飲んでみられますか?」 本上、ちょっとソワソワし始めました。 長谷川さんが持ってきてくれたのは、大きなおちょこ。 「これは酒造りでは普通のものなんですよ」

※酒蔵での試飲でよく見かける利き酒用のおちょこ。本上の手には、少々大きめです。しかし、酒蔵の方の解説付きで試飲させていただけるというのは、なんとも贅沢な時間!

まず飲ませていただいたのは、麒麟山の定番酒・伝統辛口というお酒。
「こちらは毎日飲めるお酒、飲み飽きない、切れ味のいいすっきりしたお酒です。いろんな料理に合うように作っているので、お刺身から揚げ物、炒め物までどんなものにも合うんです。飲兵衛のお酒ですね(笑)。うちの出荷量の6割を占めるお酒です。新潟の皆さんが浮気せずにのんでいただいているおかげですね」 確かにすっきり! 本上も切れ味のよさが気に入ったようです。

次のお酒は、毎年12月と2月に発売する“ぽたりぽたりきりんざん”というお酒。
社員も一緒に米作りに参加する五百万石という酒米を100%使った純米吟醸のお酒だそう。
「新米が入ってきて10月の上旬に仕込みを始め、11月の末には瓶詰めします。だから一番早くお客様に飲んでいただける商品です。米の旨みとフレッシュな香りを楽しんでみてください」

先ほどの伝統辛口とはちょっと色が違う、そんな見た目の違いに気付いた本上。
「活性炭をほとんど使わないですし、濾過も軽くしているからですよ。純米吟醸の旨みがギュッと詰まっていると思います」

ひと口含んで、「お米の旨みがふわっと来ます」と本上。
「アルコールがやや高めなので、口当たりがしっかりしていると思います。こちらは火入れをしない生酒ですので、このまま冷やして飲んでいただくお酒なんです。お客さんによっては冷蔵庫で数か月熟成させて飲む方もいらっしゃるのですが、蔵としては、できたてのベストな状態で楽しんでいただきたいですね」 火入れをする、しないということや飲み口の違いなど、初めて聞く話に、 本上は試飲をしながら聞き入ってしまいました。

「ぽたりぽたりきりんざん」は、瓶詰めしてすぐ出荷するそうですが、通常の火入れ酒はタンクで熟成を進めて行きます。短いもので3か月、長いもので8か月熟成するそうです。ほかにも、3年熟成させることで熟成の旨みを楽しむ「紅葉」というお酒もあると教えていただきました。

実は長谷川さん、この2種だけでなくもう一本持ってきてくれていました。
「これは輝きという、6月と11月に販売する商品なんですけど、うちの中では一番米を磨いて造るお酒です。越淡麗(こしたんれい)という地元の酒米を使いますが、新潟で生まれてまだ10年くらいのお米なんですけど、非常にいいお酒を造ることができます」 と長谷川さん。
「輝き」は原酒タイプになるので、アルコール度数も若干高め。香りがよくて味の膨らみがあって、あとくちもすっと切れていくのが特徴だそう。

販売時期が限られていることが、本上にはどうやら不思議に感じたようで、 「どうして6月と11月って分かれているんですか?」
と長谷川さんに質問。

「高品質なものですから、贈答用が多いんですね。その時期に合わせています」
醸造の時期だけではなく、需要のある時に販売する。人々の暮らしに寄り添うお酒らしさが、ここにも現れている気がしました。

「料理に合わせるのはもちろんですけど、これだけを楽しむ、というのがよさそうですね」
本上は、「輝き」をかなり気に入った様子。
あれこれお話を聞いている内に、当然ながら関心は酒造りに……。
「では、酒蔵に向かいましょうか」 待っていました!

Director’s voice [津川について] 皆さんは「狐の嫁入り」というお話をご存知ですか? 昔話でも知られるこのお話、実は麒麟山酒造がある津川が舞台なのです。 津川はなんと、狐火の発生率が昔から世界一と言われてきた地域。狐火には諸説ありますが、ここ津川では麒麟山に住み着いている狐が嫁入りするときの提灯の明かりだと言われ、狐火が見えた年(嫁入りが行われた年)は豊作で縁起がいいとも言われてきたそうです。 米作りの地域ならではの逸話ですね。

近年、狐火はもう見えなくなってしまったそうですが、狐火の伝説を後世に伝えるために、毎年5月3日には、阿賀町の恒例行事として「つがわ狐の嫁入り行列」が開催されているそうです。物語の世界をぜひ、見学に出かけてみてください。




【プロフィール】
麒麟山酒造
(新潟県東蒲原郡阿賀町津川46)
創業は1843(天保14)年。甘口の酒が主流だった昔から、一貫して辛口の酒を造り続けている地酒蔵。麹も仕込みも手作りにこだわり、地酒マニアの間では著名な酒蔵の1つ。
http://www.kirinzan.co.jp/