内容充実の酒蔵見学を終え、麒麟山酒造の酒造りを理解したところで、さて、気になるのは作り手が勧める飲み方。 「伝統辛口は、これからの時期は常温か熱燗がオススメですね。さらにふくらみが出て旨みが増します。ぽたりぽたりきりんざんは生酒で、フレッシュな香りを楽しむお酒なので、ビールと同じくらい冷蔵庫で冷やしていただくといいと思います」
なるほど。しかし本上、なんだか気になっている顔をしています。
実はスイーツもある、という噂を取材前に耳にしていたのでした。
「あと、麒麟山さんのお酒を使ったスイーツがあるそうですが……」
「阿賀野市のチョコレート専門店“しょこら亭”さんが“麒麟山きき酒ショコラダブル仕込み”を出されていますよ」
そう言って長谷川さんが出してくれました。
そうそう、これこれ!
シックなイメージのはこの中には、おちょこに入ったまろやかそうなチョコレート♪
「うわ〜、おしゃれですね。チョコレートのいい香りがします。へらが付いていますが、これでいただくんですか? では、いただきます! 生チョコですね」目の前に出されて、もうテンションUPの本上でした。
バレンタイン前にはかなり人気が出る商品だとのこと、さっそくいただいた本上は「大人の味わいがします」とにんまり。
「吟醸酒を練り込んでいるので、香りがすごくいいと思います」
最後に、この町で酒造りをする長谷川さんに、阿賀町の印象を聞いてみました。
「私は半世紀、この街で育っております。空気もいい、水もいい、四季折々の自然も美しい。四季がはっきりしていて、生きてて良かったな、と思うくらい気に入っています。冬は大変ですけど、いいお酒を造ってくれるありがたい季節。春になるとおいしい山菜が取れて、秋にはキノコなども採れる。あとこの地域は盆地で風が少なく、米作りにも向いている地域。だからこの地で米も作って、酒造りを続けたいと思っています。この風土にはとても感謝していますね」
お酒自体のおいしさはもちろん、心を込めて酒造りをしていらっしゃることを十分感じさせていただいた今回の取材。酒造りに携わる人がなにより町を愛しているというのが、とてもステキに思えました。
「新潟というとお米のイメージだと思うんです。おいしいお米が取れるからお酒がおいしい。お酒とおいしいと言うことは、つまみもすごくおいしいんです。ですからお酒と料理を両方味わっていただきたいですね。それから、毎年3月に“酒の陣”というイベントを開催しています。有料ですが、2日間、いろんな蔵本のお酒を楽しんでいただくことが出来ます。食の陣も同時にあって、いろんな料理も楽しんでいただけます。最近は若い女性の方にも日本酒を気に入っていただけているし、海外の方からの評価も上がってきているんですよ。もっともっと、たくさんの人が日本酒を好きになってほしいですね」