和歌山県日高町は、大阪市内から車で時間半ほど南へ行った海沿いの町。今回は、その町にある田杭漁港にやってきました。
目の前は一面美しい海が広がっているのですが、取材当日は風が強く、沖の方には白波が立っています。
船がいくつか停泊している港へと向かう本上。
今回は、この港を拠点にクエ漁をしている生戸(うと)さんに会いに来ました。
挨拶を済ませたところで、生戸さんから
「昨夜の夜中から風が強くなってきてね〜、今日はちょっと漁は無理やなぁ、と思っていたところです」
との声が!確かに今日は風が強いので、「漁はどうなのでしょう」と一同、
心の中では思っていたのですが…
「今日は波が3メートルくらいあるかならね、ちょっと厳しいかな」
気を取り直して、まずはクエについていろいろ教えていただこうと思います。
ちなみにクエってどんな魚なのでしょう?
「クエは岩礁に棲む魚なんですけどね、ぼくら漁師にとっては魚の王様やね。大きいものになると40〜45kgくらい、体長は1メートル40〜50cmくらいになるんですよ。僕にとって最高の魚だし、自分の一番の楽しみの魚だね。一生かけて勝負したろか、という魚やね」
生戸さん、クエにかなり心酔されているようですね。
クエと言えば、冬の高級食材として知られています。
「この浜で釣ったクエで1kg8000円くらい。市場に出ると1万4、5千円かな」
と生戸さん。ちなみに生戸さんがこれまでで釣った一番大きなクエは41kgだったそうです。
「釣ったときの喜びといったら、なんとも言えませんでしたなぁ。昔の人は50kgぐらいのものを釣ったと言っていたから、自分もまだチャレンジしているんだけど」
ということは、今はそこまで大きいのは釣れないということでしょうか?
「最近は20kgから30kgくらいまでかなぁ」
生戸さんによると、クエが1kg大きくなるのに約1年かかると言われているそう。
ということは、50kgのクエなら50年生きているということ。
そりゃ、なかなか釣れないですよね、海の賢者のようなものですから。
そういえば、どうしてクエの旬は冬?
「解禁というのはないんだけど、夏場に釣ってもいい値段が付かないんです。それで寒くなるくらいから釣るんです」と生戸さん。
今期はそろそろクエ釣りをやりたいなぁ、と思いながらも、なかなかタイミングがよくならないので、ほかの魚ばかり釣っているそうです。
クエ釣りって、特別な道具とかを必要としそうですね。
「道具は簡単なもんだけど、エサがポイントやね。アオリイカを使うんやけど、これをまず釣るところから始まります。夜明けまでにアオリイカを釣って、釣れたらクエ釣りのポイントへ移動していきます」
「生き餌を使ったらね、イカの暴れ方でクエがいるかどうか分かるんですよ。40何年やっていて覚えました。最初の頃はただ釣っていただけだったんだけどね」