番組内容

主役級の春菊を求めて湖東の田園地帯へ

滋賀県野洲市は、大阪の梅田から車で1時間ちょっと北東へ行った場所。
琵琶湖東岸の町で、今回お伺いする吉川という地区は、 辺り一面、広々とした畑が広がっていて、のどかな風景です。
山々に囲まれていて綺麗ですね。

※湖東の田園地帯は空の広さが特徴的です。その中にポツポツとビニールハウスが見えます。では、今日お邪魔する吉川さんのビニールハウスにお邪魔してみましょう。

すごいですね、ハウスの中は一面春菊! もう収穫の時期なのでしょうか?
「そうですね、もう3回目の収穫になります」
野菜の収穫は1回きりだと思っていたのですが、吉川さんのところでは、3回も4回も収穫しているそう。
「次の芽の残し方によっては、何回も収穫できるというのが春菊の特徴なんです」と吉川さん。
この残し方がこだわりのようですね。

しかし、春菊というと露地栽培のイメージがあったのですが、ここはビニールハウス…。

「ハウスで育てる第一の目的は、品質の向上のためです。ほかにも、この辺りは山から吹き下ろす風がキツイですから、それから保護する意味もあるんですよ。冬はびわ湖バレイからの風が本当に寒いんです」 話をうかがいながら、本上はどんどん奥の方へ。










※春菊がホントに大きく育っていることに、とても興味津々な本上。いい音を録るために、音声スタッフも急ぎます。

ところで、これだけ育つと圧巻なのですが、
収穫するタイミングってどうやって見分けるのでしょう?

吉川さんによると、葉の長さで見分けているそうです。
また、収穫する際のポイントも教えていただきました。
「葉を一気に落としてしまうと根だけになるので、次の育ちが悪くなるんです。
収穫しながら、次にどう育つようにするか考えているんですよ」

8月の後半に種を植え、その苗を植えるのは10月の半ばくらい。
「ここでは土にナイロンを張っていますが、マルチといって、この作業をやる人はこの辺は少ないんです。しかし、マルチを張ることによって、人間で言えば布団の中にいるのと一緒で、地温が上がるので、大きくなるのが早いんですよ」と吉川さん。
なんだかとても愛おしみながら春菊栽培をされている感じがしました。

吉川さんのビニールハウスは、全部で8棟あるそうです。
1棟あたり5000株ほど春菊を育てているそうですから、4万株も春菊が!
そりゃ、圧巻のはずです。

さて、上から春菊を見ていると、葉っぱの形が微妙に違うことに気付きました。
すごく初歩的な質問ですが、菊菜と春菊はどう違うのでしょう。
みなさんご存知ですか?

「今の春菊が野菜として登場する前、昔は丸葉と呼ばれていたんですけど、それが菊菜と呼ばれているようです。葉にギザギザの切れ目が入っていないもののことですね」 つまり、丸葉が菊菜、ギザギザ葉っぱが春菊、ということのようです。











※写真の右側が菊菜、左が春菊。こうして比べてみると分かりやすいですね。

吉川さんのところでは、自分のところで種を取って続けてきているためか、同じ種でも葉先が丸いのもあれば尖っているのもあるそうです。
元は同じもの、ということでしょうか。
ちなみに種は、採ったばかりの年の種よりも1年2年おいてからの方が育ちはいいそうです。吉川さんのところでは、1年前のものを使っています。

お話の中で、この地域の春菊に名前があることを知りました。
その名も「しゅんぎく娘」。
吉川は春菊の産地で、ブランド名を考案し、農家で共同販売という感覚でやっているそう。
12年ほど前に名前が付いたそうで、この「しゅんぎく娘」が市場に出回るのは、11月の末くらいから2月の半ばくらいまで。

しかし、見れば見るほどキレイですね、なんとも美しいです。












※吉川さんの春菊は、
茎がとても力強く、元気。
しかし春菊は背が低い野菜ですから、やはり大変なのでしょうね。
「毎日切るのは大変ですけどね、かがみ仕事ばかりなので。
特に冬は寒い中であまり動かないので、足と腰が冷えてきます。
通常は水をかけてから収穫するため、手も冷えます」
Director’s voice [吉川の春菊栽培について] 滋賀県野洲市は、春菊の名産地。なかでも吉川は、中心産地として知られています。
長く露地栽培が続けられてきましたが、昭和50年代に吉川野菜生産出荷組合が発足したことにより、ビニールハウスによる栽培が本格化しました。
「しゅんぎく娘」のブランド名が付けられたのは平成2年のこと。
吉川地区の農業がおもしろいのは、ベテランと若手の農業家がともに春菊栽培に力を入れていること。ただ生産して出荷するだけでなく、様々なレシピ開発もしているそうです。
春菊と聞くとお鍋の名脇役のイメージですが、春菊まんじゅうにかき揚げ、おひたしなど、風味を生かした料理の数々が考案されているそうです。





【プロフィール】
吉川 則生さん
滋賀県野洲市で代々春菊農家を営む吉川則生(のりお)さん。 吉川さんの農園の春菊は、外から買ってきた種で育てるのではなく、代々受け継がれてきた種を使い続けている