番組内容

バラの選別にチャレンジ!

選花場にて、まだまだ話は続きます。
室内には大きな冷蔵庫があるのですが、「お花は環境の変化が苦手なので、出荷までもできるだけ一定の環境で保管するんですよ」
という理由で冷蔵庫が必要なのだと杉本さん。

では、ハウスの中が暑くなったらどうするのでしょう?
「ハウスの中は冷房を入れます。お花ができるだけ疲れないように育て、切るんです。そんな微調整がいろいろあるんですよ」

やはりデリケートなんですね、お花の栽培は。

話をしてる本上と杉本さんの前では、従業員の方が黙々と花をチェックされています。
これは経験がないとできないものなのでしょうか?

「そうですね、長年の経験が必要です。一度チャレンジしますか?」

え、いいんですか?

チャレンジの前に、ちょっとお勉強。
花を選別するポイントは、まず花の曲がり。
杉本さんによると、お客さんがバラを買ったときに同じバラが入っている、というのが大事なのだそうです。30本買って、そのうち25本そろっていてほかは違う、という状態には決してしてはいけないそう。
ここを揃えておくことも杉本バラ園の品質です。
ほかにも。バラは同じように見えても3輪と4輪があったりします。
これらは見た目ではなく花の数で分けていくそうです。











※選別台には、バラの長さを一目で判断できるように長さが書き込まれたたくさんの千が入っていました。そこで本上、杉本さんのレクチャー付きで選別に挑戦!

では本上、手袋をしてチャレンジします。
「束ねるときに意識するのは、三角形にお団子を積んだような形です。最初に4本置いて、3本、2本と置いていきます。積むときに頭が出過ぎないようにしていくということもポイントですね。あと、下がそろっていないと水を吸いにくいものが出てくるので、そういう場合は短い花に合わせて、ほかを切りそろえるとか、短すぎる場合は長いものに変えて、そろえていきます」
ただそろえて、束ねているワケではないんですね。小さな気配りがたくさんあって、それで出荷できる束になる。このプロセスも、杉本バラ園の品質の高さを守っているのでした。
さて、お花の選別作業が終わりました。選別したらすぐ箱に入れるだけだと思っていたのですが、なにやら面白い箱があります。
「これはバケット方式というもので、オランダで開発されたものです。オランダに行ったときに、これが展示されていたんです。それでなんとか日本で使いたいとお願いして、サンプルを送ってもらい、導入しました。日本でもまだ10名くらいしか導入していないんじゃないでしょうか」








※お花を立てて出荷するという、画期的な方法を導入できたバケット方式。組立方は簡単で、バケットの上に段ボールを組んで、フタをします。フタは網目のようになっているので、上からバラの状態がすぐに分かるようになっています。

お花というと箱に寝せて、というイメージですが・・・

「そうですね。いままではそれが主流でした。でもバラやカスミソウなどデリケートなお花に関しては、鮮度を保つためにこういう箱を使うようになってきました。当園のバケットを使うと、お花の顔がよく見える、というメリットがあるんです。お花屋さんがお花を仕入れるときにどんなお花か、顔がはっきり見えますよね。それにこのバケットだと、下に水が入っているので、そのままお店で飾ってもらうこともできます。繰り返して使えるので、資源の有効活用という面でもいいですね」

取材の最後に、お店のような場所にやってきました。
ここでは一部のバラを販売しているそうです。
立派な賞状やトロフィーもたくさん並んでいます。

「こちらはバラの品評会で受賞させていただいた時の賞状ですね。父の代からですので、まだ父親ものが多いですね。このような賞を受賞することが、僕ら生産者にとってはステータスですので、励みになりますし、お客さまからの信頼の証にもなります」










※壁一面にたくさんの賞状! どれもこれも、杉本さんがお父さんの代からバラ栽培にひたむきに取り組んできた証です。

ところで杉本さんは2代目。バラを育てよう、と思ったきっかけはなんなのでしょう? 「子どもの頃から遊び場がここでしたので、気が付いたらここにいた、というのが強いですね。もちろん、お花を介して皆さんにステキな時間を提供できるということに魅力を感じたのも大きいです」 小さな頃からバラ園で過ごしてきた杉本さん。もちろん大変な時も見てきていると思います。それも含めてこの仕事をしようと思われたそうです。 「やはり、このお花の魅力も含めて、この仕事の魅力を広めていきたいという想いがありますね。育てる楽しさもそうですが、お花を楽しんでもらえる場をどうやって作っていくかを今は考えています。例えばバラを育てる環境って、今日見ていただいた通り、想像とのギャップがあると思うんです。それを知ってもらうこととか。それに私たちが農園を紹介していくことで、お花の素晴らしさ、お花が与えてくれる影響を伝えていくことも重要だと思っています」
お花をずっと見ている杉本さんが発信する言葉というのは、とても説得力がありますね。

「これからの一番の目標は、日本の男性がもっとお花を贈るようになることです。それでより多くの女性に笑顔を贈ってほしいと思っています。僕自身も最初は贈るのが恥ずかしかったのですが、それ以上に喜んでもらえるものなので、何物にも代えがたい女性の笑顔を増やしていきたいな、と」 二人が話をしている前には、たくさんの美しいバラ。とてもステキな香りがします。
「バラの中でもダマスクの香りと言われる香りなのですが、これは皆さん驚かれますね」










※ダマスクの香りがするイングリッシュローズをはじめ、いろんな種類のバラが、素敵な香りを放っています。思わず本上“この香りの中で眠りたい!”

「お花の姿をここで見ていただくことで、同じバラなのに表情が違うということも感じてもらえるとうれしいですね。お花にはいろんな魅力がありますから、それを感じてもらえると、生産者は本当にうれしいんです。現場に携わる私たちがそれを発信していかないといけません」








※「特別なときだからお花をあげる、だけではなくて、今日はちょっといいことがあったから一輪買って帰る、というのもいいですね」と杉本さん。 「私の農園に来ていただくと、バラを見るだけではなく。もれなくバラのお話も付いてきます(笑)」
Director’s voice [バラにまつわるエトセトラ。] 杉本バラ園をはじめ、現在滋賀県内では、10軒ほどのバラ農家がいるそうです。農園によって栽培しているバラの特徴も異なってくるので、それらを楽しみに出かけてみるのもいいですね。 ちなみにバラを栽培する人も多いと思いますが、一番気になるのは、育てているときの病気。杉本さんによると、バラは種類によって病気になりやすい品種となりにくい品種があるそうです。育てるのを楽しむなら、病気になりにくい品種に最初はチャレンジして、徐々にステップアップしていけばいいとのことでした。 次に、切花について。 実は、現在私たちがフラワーショップで目にするバラのうち、3割くらいが輸入されているバラだそうです。日本は暑い時期に出荷量が落ち、その時期のバラは花のボリュームも、夏は少なくなるので。夏は輸入が多くなるとか。 ちなみに海外のバラは、環境のいいところに栽培場所ごと動かして育てているそう。今多いのはケニアで、なんと標高2000メートルくらいのところで育てているそうですよ。




【プロフィール】
杉本正樹さん
1700坪の敷地でバラを栽培している「杉本バラ園」の二代目。父親の代からバラ栽培をはじめ、これまでに「日本バラ切花品評会」に何度も入賞しているほか、内閣総理大臣賞も受賞するなど、品質の高さ、栽培へのこだわりで知られている。