番組内容

小松菜の収穫は・・・以外と拍子抜け??

そもそも、農業のことなんてまるで知らなかった井上さん。

農業に興味があって、というのは分かりましたが、なぜ小松菜を選んだのでしょうか。

「水耕栽培をやろう思ったとき、葉物野菜が気になっていたんですよ。調理しやすいとか、いろいろ理由がありますが、なんとなく名前がかわいくないですか?」

名前がかわいいって…(笑)
井上さんらしい選び方ですね。

ちなみに就農してみて思うのは、農業についてあれこれ調べて、こんなに大変だと知っていたら、たぶんやっていない、ということだそう。
「でも、知らなかったからこそ憧れを持って、チャレンジできたんだと思います」









※あるステージで自分の生き方を振り返った時に、命の源に立ってみたい、と思った井上さん。原点に立ってみたら、また違った生き方が見えるかもしれないと考え、就農を決意したそうです。

もちろん素人で、かつ女性ということでハンデに感じたこともたくさんあったそう。
時には、女性ができるような甘いもんじゃない、と言われることも。

普通ならここで悲しんだりするのですが、井上さんは、長く農業をされている人は身をもって農業の大変さを知っている。だからこその声だと感じたそうです。
「でもあるとき、ふと、ピンチはチャンスで、弱みを強みにできないかな、と思ったんです。だから主婦だからできる農業、女性だからこそできる新しい農業の形をキャッチフレーズにしました。すると、いろいろ見えてきましたね〜」











※明るく話す井上さん。しかし大変な苦労があったのかと思うと、本上の顔も真剣に…。

さて、就農した井上さん。あることが、転機になったそうです。
「近くに“つばさ学園”という福祉施設があるんですけど、そこの方が体験したい、と言ってくれたんです。それでやってもらって、生徒さんが一生懸命種を植えていく姿や、作業を楽しいと言ってくれている姿を見たときに、本当に感動したんです。それで、この人達に寄り添いたい、一緒に働きたいと思ったんです」

この体験のあと、井上さんはNPO法人「あぐりの杜」を立ち上げます。
そして今では、福祉事業所の方々と一緒に農作業に勤しむ日々。
「4年間でいろんな出会いがあって、人生を変えてくれました」

ドラマチックな井上さんの就農物語。すごくアクティブだと率直に感じました。
「ぬるま湯で、なんでも手に入る状況だとそれなりの頑張りだと思います。でも頑張らないと生きていけない状況だったので、いろんな知恵が出ましたね。例えば冬のあとに来るから春が楽しみなように、ちょっとしたことを喜べるようになってきました」










※生の小松菜をかじりながら、話は主婦目線へ。おいしい小松菜の見分け方を教えてもらっているのですが、井上さんの話がおもしろくて、そっちにハマってしまう本上でした。

聞けば聞くほどアクティブな井上さん。
そんなに活動していて寝る時間はあるんですか?

「こんな私があれこれ散らかして、それをひとつひとつ拾っていくスタッフや主人が一番大変だと思います(笑)」

アグリー農園の毎日は、年間通してずっと同じ事の繰り返し。
種を植えて、ある程度育ったらベッドに移して、収穫して、収穫したらベッドをきれいに洗って、また植えて…。
そのサイクルの中で、これまで何度か野菜が全滅したことがあるとか。
湿気や気候の変動で、どんなに努力しても収穫出来ない…。
「でも、数か月後にはまた次の野菜が育つ。だから私もあきらめずに何度でもやれる、と気付きました。農業を通して、人生のいろんなことを教えてもらっている気がします」

アクティブなだけでなく、ポジティブさも必要、ってことですね!

農園の一日は、 生産に関しては、朝収穫して根切りし、袋詰めして、 配達に行く人は行く、片付ける人は片付ける。
朝はいつも、古民家に7:30に集まって、ミーティングもしています。

ミーティング中に「チームJOY(福祉施設の方々)」が来て、 8時から毎朝ラジオ体操第1をやって、 「今日も一日よろしくお願いしま〜す」なんて始まるそうです。
とっても和気あいあいとしていそうですね。

午後は15時から30分ほどミーティングをし、 その日の振り返りなど情報の共有、そして次の日のポジショニングの決定。
ここで取材チーム一同が感嘆したのは 作業がボードに「見える化」されていること。










※農園での作業がとても細かく分けられたボード。この考え方は女性ならでは、だと思います。

「このボードは、誰が見ても、次に自分がどう動けばいいか、すぐに分かるようになっています。このボードの効果で、とても作業がスムーズになり、会社もよくなりました」

ちなみにアグリー農園は、見学に来られた方がよく「きれい」と言われるそう。
確かに、とにかく整理整頓されています。
スタッフはみんな、MYハサミも持っているそうですよ。










※作業の分担を説明していただいたのですが、井上さんの話がとても分かりやすい!情報も整理整頓している、このあたりも農園がうまく稼働している秘訣かもしれません。

「みんなが調和しながら作業できるようにしたいんです。それに、つくる人が楽しめないと、小松菜もよく育たないと思うんです」と井上さん。
少しでも環境をよくしようと、ハウス内にソファを置いてみたり、いろいろな工夫を随所に見ることができます。










※女性らしさが光るアグリー農園ですが、やはりなんと言っても、農園そのものの整理された美しさが特徴的!
Director’s voice [農業の挑戦] 井上さんのように、まったくの異分野から就農する方が、近年増えています。 これをムーブメントとする見方もありますが、 「農業」そのものが新たなチャレンジを始めている、 と捉えてみると、農業がもっと身近に感じられます。 例えば最近「農ガール」という言葉が広まっています。 広まりに呼応するかのように、 ファッショナブルな農作業着なども登場しているのですが、 これは、農業をとりまく社会が少しずつ変わろうとしている兆しのようにも見えます。 若い人が農業を楽しく、やりがいのある仕事だと感じること。 これもまた、次の世代へ農業をつなげていくことではないでしょうか。 もちろん「ガール」だけではありません。 自分たちで生産者の元を回り、 消費者目線で納得できた野菜だけを販売する八百屋が 都市部に誕生したりもしています。 マルシェなどに出向くと、とてもステキな笑顔で野菜を販売している 20代の方々もいます。 まさに今、農業が進化しようとしているのだと、思いませんか?




【プロフィール】 愛媛県生まれの大阪育ち、前職はアロマセラピストという経歴で、アグリー農園は開園4年目。「食の安全・安心は自分で守らなきゃ」という思いから農園を立ち上げ、水耕栽培で小松菜や水菜などを育てている。
http://agree-nouen.com/