番組内容

東さんの農園は、ハチミツ採取が目的ではない?!

取れたてのハチミツににんまりしっぱなしの本上ですが、
続いて、東さんと共に建物前に移動してきました。
そこで出てきたのは、先ほどの巣板とは違うもの。
これはなんでしょう?

「これがローヤルゼリーの入っているものです。ローヤルゼリーはミツバチが女王蜂に与える特別食なんですよ。これは女王蜂専用の幼虫の部屋で、ここにだけ、ミツバチがたくさんのローヤルゼリーを注ぎ込むんですよ」 そう言いながら、小さな管のような部屋の先に付いているものを切り落とし、中から幼虫を取り除いていく東さん。

ここに入っている幼虫は女王蜂候補だそうです。巣箱に集まるミツバチに女王蜂は1匹だけですが、もし年老いたり、事故で亡くなってしまったときのためを考えて、女王蜂候補を作っていくそうです。

※別の巣箱から、なにやら取り出してきた東さん。ずらっと並んだ小さな部屋に女王蜂候補の幼虫が入っていて、そこから1匹ずつ幼虫を取り出し、ローヤルゼリーを採取していきます。

ローヤルゼリーも味わってみましょう、ということで、気のヘラの先に付いた白い物体を、本上は口に入れ…
「んんっ×△□…なんですかこれ! ハチミツの濃厚なものかと思っていたのですが、まるで違いますね。酸味はあるし、甘くないですね」

「その酸味がローヤルゼリーの有効成分と言われるデセン酸です。自分たちが作っているローヤルゼリーは成分調整していないので、さらっとして飲みやすいんですよ」

そう、東さんの養蜂場は、ハチミツではなくローヤルゼリーを採取する養蜂場だったのです!

ローヤルゼリーと聞くと、とても貴重で、かつ高価なものという印象があるんですけど、それだけ身体にいい成分が含まれているのですよね?
「デセン酸はミツバチだけが作ることができる成分で、ホルモンバランスを整えてくれる、栄養価の高い食品とされています。高価なものは、すごく手間がかかるんですよ。ここに幼虫がいるでしょ。これを専用の道具すくい取って移し、へらでローヤルゼリーをすくって、を繰り返します。これは私の養蜂場の独自技術で、ローヤルゼリー専門の養蜂場としているのも、これのおかげ。国内では日本で一番の生産量になっています」

※ローヤルゼリーを味見した瞬間の本上! 思わず絶句してしまいました(笑)その後も話は続きますが…、しばし余韻を引きずっています。

ローヤルゼリーを取るためには、ひとつひとつの穴の上にある蜜蝋を切り落とし、ピンセットで幼虫を捕って、ローヤルゼリーを採取して、を繰り返すそう。 幼虫を入れてからおよそ72時間でこの穴がいっぱいになるそうです。

「ローヤルゼリーは、人間で言う母乳なんですよ。人間が赤ちゃんとかにあげる初乳ですね。女王蜂の食べる王乳といわれているんですが、非常に栄養価の高い、良質なタンパク質ですね」と東さん。
採取作業は3月後半から10月いっぱいまでずっとやっているそうですが、少しでも国産のローヤルゼリーを自分の手で採りたい、という思いで続けているとか。

採取技術が難しいローヤルゼリー。
ハチミツが当たり前に採れて始めてできる作業と言われ、 東さんでもまだ試行錯誤の段階だと言います。
少しでも国産の自給率を上げたいという思いで養蜂を続けている東さんですが、養蜂との出合いはなんだったのでしょう?

「私の父親がこの富田林の佐備で養蜂をやっていて、私が学生の頃には世界中の養蜂場へ連れて行ってもらっていました。そこでいろんな養蜂家さんからもミツバチの飼育、ハチミツの作り方を教えてもらいました」 と東さん。その頃はちょうど、養蜂の後継者不足が叫ばれていた時期。だからたくさんの先輩がとても可愛がってくれ、今に至っているそう。

一般的にローヤルゼリーの採取はミツバチが蜜を採る春だけのところが多いのですが、東さんは春から秋にかけてローヤルゼリーを採ります。秋になるとローヤルゼリー生産も終わるので、そこから春に向けて、レンゲや菜の花の種をまく日々。

「なんだかんだ、12月くらいまでずっとハチを触っているかな〜」









※ローヤルゼリーの話をとても詳しく教えてもらいました。ローヤルゼリーの採取って、人の手でやらなければならないから、想像以上に大変なのですね。

先輩方に可愛がってもらって育ってきたから、たいした苦労はなかった、という東さん。
それでもかつて、夏の北海道、車のラジオも入らないような山の奥で1日中ミツバチの管理をしていた時に、体中ミツバチに刺されたり、巣箱をヒグマに食べられたこともあったとか。
聞いているだけで、大変なことの連続だと思うのですが…

「でも、大自然の中で1日中ミツバチにふれていたおかげで、いつの間にか刺されにくくなったし、自然やミツバチと生きている、という覚悟ができました。昔はミツバチに刺されるのが痛くて苦手だったんですけど、不思議と今では、少しくらいミツバチに刺された方が元気なくらいなんですよ(笑)」











※自身の養蜂について、丁寧に説明してくれる東さん。言葉の端々に、ミツバチへの愛が感じられました。

いや、やはり刺されるのはちょっと…
「刺されることに慣れないと、ミツバチのことを思いやれません。だから“刺されてもいいんだ”という段階になれないと、気持ちの余裕が出てこないと思います」

ん〜、絶対マネはできませんね。
しかし、東さんのミツバチにかける想いはとても伝わりました。

Director’s voice [養蜂に関するエトセトラ。] 東さんのお話の中で、興味深いことをまとめておこうと思います。 まず、ミツバチの越冬について。 ミツバチは比較的寒さに強い生き物。だから、少しだけ断熱材を巣箱に導入したり、上から布をかけるなどで越冬できるそうです。ちなみに東さんのところでは、冬でもミツバチに少しだけエサを与えています。毎日少しずつ与えることで、ミツバチに活力を与えることになるそうですが、冬場は機嫌が悪いから、結構大変なのだとか。 ちなみにローヤルゼリー生産というのは、最低気温が15度を切ってはダメだそうです。 ミツバチがローヤルゼリーを作るのは女王蜂の子育てのためなので、働きバチも気温が下がってしまうと、ローヤルゼリーを作ろうとしてくれないのだそうです。 次に、ミツバチの寿命。どのくらいだと思います? 実はミツバチは、働けば働くほど寿命が短くなるそうです。短いときは花のシーズンの2,3週間と言われ、冬場の越冬の時期なら半年くらい生きるとも。 もっと長く生きているイメージがありますが、結構短いんですね。 ミツバチの働く時期は春だけだと思っている人も多いと思いますが、基本的には春と秋にあるそう。秋祭りの時期が一番最後の大きな花の時期だそうです。




【プロフィール】 創業から45年という「みつばち東農園」の二代目・東(あずま) 敏宏さん。 後継者不足などの事情で国産のローヤルゼリー養蜂場が皆無に近い現状の中、国内で唯一、国産ローヤルゼリー専門の養蜂場として知られる。大阪府富田林市佐備、甘南備地区ヺ中心に田畑に花の種をまき、蜜を採取している。
http://www.azumahoney.com