番組内容

こんな急斜面に梅林!?究極の梅が実る山中へ

梅林で梅を樹から収穫するのではなく、落ちるまで待つ、ということに衝撃を受けた本上。
深見さんによると樹になっている実を摘み取ると、熟していないものまで収穫してしまうそう。
落ちるまで待っていると、すべて完熟梅を収穫できるため、この方法を採用しているとか。

完熟を収穫するために、傷つきやすいというデメリットはあるものの「でも、完熟梅の方が果肉の柔らかさも特徴的で、おいしい梅干ができます」と深見さん。
深見さんのこの梅林では約500本の梅の樹が育っていて、1本当たり20〜30kgの完熟梅が収穫できるとのことです。
一般的な梅農家では1本の梅の樹で200kgくらい取れるそうなので、かなり少ない収穫量ですね。

それでも有機にこだわりたい、と深見さん。
雑草をそのままにしているのも、定期的に草刈りして、その草がやがて肥料になる。加えて収穫せずに地面に落ちた梅の実も、大切な栄養分。
「ここは肥料を与えないので、梅の養分と雑草が栄養ですね」

ほかにも樹を収穫後1年休ませるなど、いろいろなこだわりをもつ深見さん。
まさに梅のプロですが、そんな深見さんに、いい梅干になる梅の特徴を聞いてみました。
「完熟はしていますが、最終的に干してみないと分からないんですよ…」

梅のプロでも実を見ただけでは判別できないとは、恐るべし、梅の内に秘めた力!

「でもね、出来は分からないけど、味は調整できるんです。それがプロですね」









※収穫しない梅の実はたくさんあり、やがて芽吹くそうです。その中でいいものだけを残し、別の場所で苗木を育てています。梅の樹は基本的に接ぎ木で、20年くらいすると弱ってくるため、苗木は常に育成。

さて、プロが作る梅干を見せていただくために、工場へ移動しました。
室内全体が、とてもいい香りに包まれています。
ここでは大型機械を使わず、今でも一つひとつ昔ながらの手作業でやっているそうです。











※深見梅店は、店舗兼工場。ここにプロの技が詰まっているのです。

柔らかくてつぶれやすい梅を使うので、手作業にこだわっている、と深見さん。
一つひとつ見ることもできるので、傷などがチェックできるのもメリットだとか。

梅干ができるまでの作業工程は 梅を洗う→選別→漬け込む→2か月漬け込んだあと、モーツァルトを聴かせながらさらに漬け込む という流れ。…モーツァルト!?
そういえば工場内でBGMがかかっていると思っていましたが、 これはBGMではなく梅干のためなんですね!

「モーツァルトが赤ちゃんの胎教にいいと言われていることにヒントを得て始めたんですよ。水の分子が細かくなるそうで、その分、おいしくなるのではという思いで13年前からやっています」と深見さん。
お酒にもモーツァルトという話を聞きますよね。
それを梅干にも応用しているとは!










※工場内にステレオ。これが、深見さんの梅干がおいしくできる、大きな秘密の一つのようです

しかも工場内で、結構大きい音量で流れています。 目の前には、箱に入った梅干。

そういえば梅干は樽に漬ける、というイメージだったのですが、ここではお風呂のような形をした入れ物に梅がぎっしり。
ひとつの箱に200kgくらい入っている、と深見さんが教えてくれました。

「梅の大浴場みたい!」

ちなみにこの箱は「せいろ」と呼ばれています。
これを何層にも分けて積み、漬け込んでいるのでつぶれることがないそうです。
完熟梅を扱う深見さんの工場ならではの工夫ですね。

※深見さんの工場では、漬け込んだ梅干を原料に梅肉ソースや梅酢なども製品化しています。

漬ける期間は、一番長いのがフルーツ梅干で2か月、それ以外は1か月。
フルーツ梅干は塩分を非常に低く仕上げなければならないため、 じっくり長く漬け込むことで、味を均等にしているそうです。
「では、食べてみますか?」

Director’s voice [梅が実って商品になるまで。] 全国一の規模を生産規模、収穫量を誇る和歌山の梅ですが、梅を作ってそれが製品として私たちの食卓に届くまで、どのような流れなのでしょうか。
まず梅農家には、青梅を収穫する農家と、白干梅と呼ばれる一次干しまでやって出荷するところがあります。生産規模が比較的小さい農家は青梅を、規模が大きな農家は両方もしくは白干梅を出荷しているようです。
これは青梅だと収穫時期が限定され、栽培面積が大規模になると青梅として収穫できる量に限りがある、といいう事情があります。
ちなみに白干梅の出荷先は、半数近くが産地の仲買人です。
産地仲買人のもとへ行った白干梅が、深見さんなどの加工工場へ運ばれ、梅干や梅酢などの製品として出荷されていきます。





【プロフィール】 昭和15年から続く梅農家の三代目。 3年を費やして創り上げた「フルーツ梅干」で、梅干のような食品では無理だといわれていたモンドセレクションで、見事金賞を受賞。そこから8年連続で受賞を続けている。 有機栽培の梅、独特の製法など、こだわりは数知れず。

【深見梅店】
http://www.fukami.co.jp/