番組内容

里山での米づくりを次の世代へつなぐ。

今回お邪魔したのは、奈良県五條市西吉野町湯塩という大阪市の梅田から1時間半ほど南西に行ったところです。 かなり標高が高く、周りは素晴らしい景色、空気が澄んでいて、いいところです。
夜はきっと星も綺麗に見えるんでしょうね〜。

さて、集落を抜けた先に、かわいらしい建物が見えてきました。
カフェでしょうか?
その先に一面オレンジ色の柿園が広がっています。
キレイに色づいた柿がびっしり!








周囲の山々を見渡せる場所に柳澤さんの柿園が広がっています。本当に山上の別世界、といった感じです。

それにしても、柿というと平地で育っているイメージだったのですが、山の斜面で、というのは何か違ってくるのでしょうか?

園主の柳澤さんによると、作業面では平らなところが作業しやすいものの、おいしい柿を作るには傾斜がないといけないのだそうです。
主に水はけが理由だそうですが、傾斜があれば雨が降ったときに必要な水分が土に含まれ、あまったものは下に流れていくそうです。
作業性よりもおいしさを優先する、ということですね。

柳澤さんの柿園で育てられているのは、富有柿。
これから色がだんだん赤くなっていくにつれて、まだまだ大きくなっていくそう。すでにこぶし大はあるんですけどね〜。







※柳澤さんの柿園は、とても整備されていて美しく感じました。まだまだ知らない柿のこと、いろいろ伺ってみようと思います。

柳澤さんの柿園は広さ5ヘクタール、柿の木の本数でいうと約2000本があります。
育てているのは富有柿と渋柿の刀祢早生で、 お伺いした日葉、ちょうど富有柿の収穫が始まろうとする時期でした。
収穫は12月の上旬くらいまで続くそうです。

そういえば柿の木を見ていると、袋が付いている柿と付いていない柿があります。
これにはどんな違いがあるのでしょう?

「袋がかかっている柿は、夏の暑い時期に選ばれた優等生なんですよ。
“これから大きくなるであろう”という柿を選び、お盆の時期に一つずつ袋をかけていくんです」と柳澤さん。

1つの枝に1つ、というわけではないんですね〜。
ちなみに袋掛けするのは1万個ほどだそうです。
日当たりがいいこと、木の枝に樹勢(じゅせい)があること、を見極めて、柿を選ぶそうですが、まさに長年の勘ですね。

「よく見る柿の木は、1本縦に伸びていると思うんですけど、 それだと作業性が悪くなるんですね。だから苗を植えたときから毎年選定していって木の形を整えていくんです。毎年冬にやるんですが、これも技術のいる仕事です」と柳澤さんが、農園の柿の木の違いを説明してくれました。

柿の木って丈夫なイメージがあるのですが、実は枝が欠けやすいのだとか。

私たちの目の前にある柿の木は樹齢が80年という古木。
樹が古くなると地面に微生物を入れ、それがどんな変化をするか見守ったりもしているそうです。
日々研究ですね、と聞くと「お客様が食べておいしい、と思える柿を作るためにいろいろ学んでいるんです」との答が返ってきました。









※柿の木を前に話は続きます。柿の木は肥料を与えすぎると味に悪影響をもたらすので、それを微生物に調整してもらっているそう。

柳澤さんによると、先ほど袋をかけていた柿は、 柳澤果樹園自社ブランドの「霜朱宝(しものたから)」と言うそうです。
「柿って霜が降りると甘くなるとよく言われるんですけど、霜が降りて柿が朱色になるので。その栽培を何とか確立して、いろんなところで扱ってもらっています」

ただ、袋掛けした1万個が全部「霜朱宝」になるわけではないようです。

「“霜朱宝”になるには条件があるんです。
糖度は20度以上、大きさも360グラム以上の大きな柿だけが“霜朱宝”として桐箱や杉箱に入って出荷されます。
1万個のうち、300個くらいですね」









※プレミアムな「霜朱宝」になるのは、袋掛けした柿のわずか3%程度。それ以外の柿は「袋掛け栽培の柿」として、別に販売しているそうです。

しかし袋を掛けて育てているので、「霜朱宝」になっているかどうか、 袋を取るときはドキドキするでしょうね。

「収穫期の最後に収穫するんですが、収穫して袋を破るまで、 どんな実ができているか分からないのでドキドキはします。 しかし、いいものができたときの喜びは気持ちがいいものです」


Director’s voice 柳澤果樹園の「霜朱宝」は、霜が降りる時期まで実らせることで 糖度を上げるそうですが、農作物にはこのように 寒さによっておいしくなるものがあります。 野菜や果物には、寒さに当たると、 凍り付かないようにするために水分の摂取を自ら抑え、 細胞内の糖分濃度を高くして身を守ろうとするものがります。 この自己防衛本能にも似た機能で、甘くなったり味がよくなったりするそうです。 野菜の中にはほうれん草や小松菜など、一部の野菜にも同じ自己防衛本能があり、 日本ではこれを利用した「寒じめ」という、昔から続けられていた農法もあります。 お鍋に「ちぢみほうれん草」なんてのも近年有名になってきましたが、 農業は季節や気候とうまく折り合いを付けながら、 四季の味わいを作り出しているんですね。



【プロフィール】 柳澤果樹園の柳澤佳孝さん。奈良県五條市の南側、西吉野町の山の斜面で柿園を営む。富有柿の中でも特の糖度の高い「霜朱宝(しものたから)」を生産し、インターネットなどを通じて販売。農園にはカフェや農家民宿も併設し、農業を知ってもらう活動も精力的に行う。

http://www.0141kaki.com/