番組内容

ダサいと思った農業に今は一番夢中です

柿園での取材。
柳澤さんに柿農家としてのあれこれを聞いてみました。

「僕が生まれる前から家は柿農家だったので、柿農家になるためにうまれたようなものです」
という柳澤さんですが、実は就農仕立てのころ、この仕事が嫌だったのだとか。

「僕の世代は農業がちょっとダサいと言われる時代だったので、10代の頃はスーツ着ていい車乗って、と見た目ばかりを気にしていました」

それでも農家の長男として、農業大学校卒業と同時に家業を継ぎます。
しかし農業を仕事にすることで、世間を知らないまま年を取っていくことに不安を感じた柳澤さん、バーテンダーなどをやってみたこともあったそう。









※農業についてのお話しを聞いている間、柳澤さんがとても生き生きと話している様子が、とても印象的でした。


「そういう仕事をしているうちに、いろんなことを学ぶことができて、 外から農業をみるようになったんです。
そのうちに、ダサいと思っていた農業が、 これから生きていく上で大切になるんじゃないかと思えました」

親から畑をすべて任されたのち、 気がつけばどんどん農業に傾倒していったそうです。

「田舎のしがらみから抜け出したい、という時もありましたが、自分が経営者になってみると、今までうっとおしいと思っていたことがありがたいと思えるようになったし、今では農家の長男でよかったと思えています」

もうすっかり、農業の虜ですね♪











※柳澤さんの農園の柿が入る箱。表には大きく「ありがとう」と書かれています。

ところで、これまでに迷ったりしたことなどはなかったのでしょうか?

「先行きの不安ですね。自分はなんのために仕事をしているのかな、というところに不安を感じ、相手が見えないことも、これでいいのかな?と。
それを今、長い年月をかけて解決していっているところです」

ところで柿農家って、どんなことをするのでしょう?
結構謎だと思いませんか?

「柿作りは収穫以外何しているの?とよく言われますが、実は一年間びっちり仕事があります」と柳澤さん。
柿農家の一年のスタートは、まず冬場の木の剪定作業。
毎年結構な量の枝を切るそうです。

「なかなか難しくて、親から任されるようになるまで6年かかりました」どの枝をどれだけ切るのか、そこは経験が物を言う世界なんですね。

選定作業が終わったら土づくり。
柿の木に栄養をあげるために、3月くらいまでに有機肥料をまくそうです。









※柳澤さんの柿の木は、とても強く大地に根を張っています。弱ってきた木の土に微生物を入れて、土から元気にしてもらう実験も行っているそう。

肥料をまき終える頃には、すでに春の陽気。
ここから虫の退治が始まります。
「柿の木の皮の部分に害虫がいて、越冬していることもあるんです。それを水圧で飛ばしてしまうために、1本ずつ皮を剥いていきます」

とはいうものの毎年やっているわけではなく、3〜5年の間に1回。
ですよね、毎年やっていたら、柿の木は常に丸裸…。
しかし、かなりの重労働のはず。

「結構これは大変な作業なんですけど、農薬をすぐ使うのではなく、安全できれいな柿を提供するためには、農家は頑張らないと」

柳澤さんの一言一言に、柿を食べてくれる人への愛が感じられました。

やがて、春本番に柿の花が咲きます。
柿は小さい花が10日間くらいついて、 咲くとすぐに茶色くなって落ちてしまうそう。
はかないんですね。でも、満開の柿園は きっと絶景なんでしょうね〜。









※この絶景の柿園が小さい花に包まれると、まさに別世界! な様相なのではないでしょうか。一度見てみたいものですね〜


花が咲いたあとは、実ができはじめるのですが、全部柿になってしまってはダメなのだとか。

それで4月の中旬に、花のつぼみを取っていきます。
これを摘蕾(てきらい)と言うそう。

「これが終わっても、まだまだ作業はあります。
次は摘果ですね。蕾が付いている段階から考えると、1/60くらいまで落としてしまうんですよ」ということは、私たちが口にする柿は1/60の倍率を生き抜いてきた、ということなんですね!


Director’s voice 皆さんにとって柿は、どんなポジションですか? 日本の原風景にはなくてはならない存在として、 秋から冬にかけての風景には必ず登場します。 だからなのか、そんなに高価なイメージではない気がします。 ところが。 実は柿、海外では高級果物として扱われているんですよ。 日本の柿は16世紀にポルトガル人によってヨーロッパに伝わり、 やがてアメリカ大陸、そして世界へと広がっていくわけなのですが、 学名が「Diospyros kaki」(神様の食べ物という意味)だという こともあるのでしょうか、とにかく高価なフルーツです。 近年ではアジア諸国での人気も高く、 品種によってはかなり高額で取引されているものもあるそうです。



【プロフィール】 柳澤果樹園の柳澤佳孝さん。奈良県五條市の南側、西吉野町の山の斜面で柿園を営む。富有柿の中でも特の糖度の高い「霜朱宝(しものたから)」を生産し、インターネットなどを通じて販売。農園にはカフェや農家民宿も併設し、農業を知ってもらう活動も精力的に行う。

http://www.0141kaki.com/