さて、木材会社の四代目・伊東さんにはもう一つの顔があります。 それが、チェーンソーアーティストとしての活動です。 目の前にには、いろんな木彫りの作品があります。

「これはチェーンソーだけで作る彫刻です。わたしが作っているんですけど」

チェーンソーだけで、ということは最初から最後まで、 チェーンソーしか使わないってことでしょうか?

「僕はそうですね。5種類のチェーンソーを使って仕上げていきます。 排気量・パワーがそれぞれ違って、 大まかな部分は大きいもの、細かい所は小さなものでと分けて作っていきます」

そうなんだ! 1種類のチェーンソーで作り上げるわけではないんですね。 彫刻のモチーフもいろいろありますが、難易度とかもありそう…。

伊東さんのチェーンソーアート作品は、鳥や犬、人などいろいろ。 これらをすべてチェーンソーだけで作っているなんて!

「僕の作品はふくろうが多いかもしれません。
チェーンソーアートの入門編的なものがふくろうなんですよ。
ふくろうは毛並みなどの練習ができて、 難易度の高いワシなども彫れるようになるんです。
またふくろうはデフォルメして彫っても形になりやすいんですよね」

モチーフによってそんな違いがあるんですね。
しかし、そもそもなぜチェーンソーアートを?

「建築をやっていて感じたのは、木と人との繋がりは深いのに、 山と人という部分ではあまり繋がっていないんじゃないかということ。
林業を使って、山と人を近づけたいと思っていたとき、 2004年の11月にチェーンソーアートをしている人の デモンストレーションを見て、直感でこれや!って思って」

なるほど。それで誰かに指導を受けたりしたんですか?

「インターネットで、チェーンソーアートをされている方を調べたりして。
デモンストレーションをされていた、 キドコロケイジさんという方なんですけど、その方に教えてもらったりしました」

チェーンソーアートと言っても、つかうチェーンソーは複数。 大きな部分をカットする、小さな部分を刻んでいく、それぞれの作業に 適したチェーンソーというのがあるんですね。

せっかくなので、ということでチェーンソーアートの制作を 実際に見せていただくことになりました。 楽しみですね〜♪

チェーンソーアートというととても男性的なアートですが、 やはり男性の方が多いのでしょうか?

「圧倒的に多いですね。でも女の人もいて、 アメリカで活躍されている方もいますよ」

ヘッドフォンとパンツを守る前掛けみたいなもの、 それに手袋とゴーグルを身に付け、いよいよ伊東さんの チェーンソーアート、スタートです!



ブウィーンとチェーンソーが動き始めます。それを手に、伊東さんはどんどん杉の丸太を刻み始めました。すごい迫力ですね〜

丸太がどんどん姿を変えていく様子に見とれている本上ですが、 約10分後… 「できました!」 杉の木から生まれたふくろう。これを10分で作り上げるとは! すごい技です。「せっかくだから」と、いただいちゃいました。

ホント、お見事としかいいようがない技ですね。 山と人を繋げたいとおっしゃっていたように、 樹皮がついたような状態の上に彫刻が作られて山を連想しやすく、 1つのチェーンソーだけで作られるということにただただ驚きです。 ちょっと持たせていただいたのですが、 これが結構重たいんです。 それにしても一気に仕上げて、迷いがありませんでしたね。 「一気にダイナミックに彫るのが、 チェーンソーアートのいいところなんです」


<ミニコラム> 今週の風景


ふくろうは入門編だとおっしゃっていた伊東さん。 「ふくろうって完成しないんですよね。 何回彫っても同じにならないですし、 違う人が彫ったらまた違うふくろうになりますし」 ひたすら技に磨きをかけていくことが重要なのでしょうね。
来週も引き続き、<福知山>の伊東和哉さんにお話を伺います。
大人気のワークショップ、それは何でしょう。お楽しみに!

<チェンソーアーティスト> 伊東 和哉さん

福知山市にあり、国産材にこだわる伊東木材株式会社の四代目。 興味本位で始めたチェーンソーアートでは全国大会に参加するほどで、 チェーンソーアートをきっかけに、木と人だけではなく、山と人をつなげる。 手づくりマグカップのワークショップも開催。
http://www.miyamafandb.com/

■今回の訪問地

戦国武将の明智光秀が治めていたことでも知られる、京都府北西部の都市、福知山市。
城下町、商工業の街というイメージもありますが、 中心部を流れる由良川や酒呑童子の伝説が残る大江山など、 豊かな自然もしっかり残る、歴史ある地域です。