作業まではさらに新たな取り組みが。

チェーンソーアートの迫力を目の当たりにしたあと、 こんどは製材所内の工場へお邪魔しました。 キレイな四角い柱になっていたり、 板になっている木材がたくさん並んでいます。

「これは使用目的別に置いています。 土台部分になるヒノキなどですが、 乾燥の目安の1つにするため、ひいた日の日付をつけています」

すごく大きな木材もありますが、これは杉の木の建具枠の材料だそうです。 端の色が濃いのですが、保護のために、ボンドを塗っているからとのこと。



木のいい香りがする製材所は、本上の好奇心にも火をつけたようです。伊東さんにあれこれと質問の連続。

ところで伊東さんは山と人をつなぐとおっしゃっていましたが、 ほかにも何か取り組んでいることがあるのでしょうか。

「“ククサ”という、簡単にいうとマグカップがあるんですが、それを今作っています」

ククサと言うと、外国の木製カップですよね?
「そうです。フィンランドで作られているんですけど、 作って、プレゼントされた方は幸せになれるという ジンクスがあるんですよ」

ククサって確か、木をくりぬいて作ったような器。 さっそく伊東さんに、作業場へ案内してもらいました。 作業場には目の前にも、箱の中にも、ククサの原型がたくさん。 あれ?穴が2つあいているんですね〜。

これがククサの原型。

「ここでは半完成品を販売しているんです。
買った方が自ら仕上げられるように。
ナイフで削ったり、サンドペーパーだけで仕上げたりされます。
直接木に触れ合って欲しいと思っていますので、 自分で作ったものに愛着持って使っていただいて、 モノを大切にする心を持って欲しいなと」

自分で作るククサ。
世界に1つだけのものにしてもらえたら、と伊東さんは言いました。
中は磨いて、耐水処理もきっちりしてあるので、 外側だけ磨けば完成。手軽に木とふれあえますね。

1つ1つ表情が違うククサの半完成形。購入するみなさんは、どの子を選ぶか悩まれるそうです。

ちなみにククサの材料はヒノキ。 いい香りがしてリラックスしてもらえるそうです。 半完成形までは、穴を開けてカットして、大きなサンドペーパーのような 機械にかけて仕上げ。

ところで、なぜククサなのでしょう?

「奈良にいるチェーンソーアートの友達に聞いて存在を知りました。 今これは二人で制作していますが、 その相方の岩城さんって方が奧さんにククサをプレゼントしたいから、 木を扱っている私にお願いしたいと言ってくださって。 で、岩城さんが奧さんに作ったククサをプレゼントしたら、 奥さんすごく喜んでらっしゃって。 これはもっといろんな人に作る楽しさなどを、伝えたいなってなって。 岩城さんと一緒にいろいろ相談して決めていきましたね」

ククサ誕生は、一人の女性が喜んだことがきっかけ。 伊東さんはうれしそうに、話してくれました。

刃物を使わなくても、じっくりやすりをかければ 形になっていくっていう意味では、 世代を問わず作られるものですね、ククサって。

というわけで、本上も作ってみようと思います。

さて、ここからは本上、ククサを仕上げながらの取材です(笑)

「ワークショップで出すのは、9割は仕上がっているものです。 400番の番手で全体的にペーパーを当てて、 木目に対して直角にけずると、けずれます」

取材というか、仕上げのレクチャーですね…。 ところでワークショップでククサを広めているそうですが、 そこにはどんな方が来られるのでしょう?

「8~9割は女性ですね。一番小さいと4歳の子供さんとか。 でもその子供が作る姿を見て、 親御さんは自分の子供がこういうことも出来るように なったんだと気付かれたりもします。 結構みなさん上手にされていますね。 そんな中で、山の話もすると、作っている方が 自分もその一部に貢献できているのかなって思って うれしそうな顔で作ってもらっていますね」

大小長短、さまざまな木材が敷地内に積み上げられています。 ふわりと香る木の香り、いいですよ〜。 商品を開発するだけでなく、その商品を媒介に、 人と山をつなげていく。伊東さんの考えってステキだと思います!

ククサを作るワークショップって、 いま手に持っている木が、どんな木で どんな森にあるのかなって思いを馳せる時間なのでしょうね。

……、というわけで、ひとまずここで、完成を宣言したいと思います。
あ、ククサです。


<ミニコラム> 今週の風景


コロンとした形がかわいいククサ。
これを手に持っているだけで、こころは森へ。
そんなすてきな出会いが、とてもうれしい時間でした。

来週も引き続き、<福知山>の伊東和哉さんにお話を伺います。
福知山の未来形って、どんな姿でしょう。お楽しみに!

<チェンソーアーティスト> 伊東 和哉さん

福知山市にあり、国産材にこだわる伊東木材株式会社の四代目。 興味本位で始めたチェーンソーアートでは全国大会に参加するほどで、 チェーンソーアートをきっかけに、木と人だけではなく、山と人をつなげる。 手づくりマグカップのワークショップも開催。
http://www.miyamafandb.com/

■今回の訪問地

戦国武将の明智光秀が治めていたことでも知られる、京都府北西部の都市、福知山市。
城下町、商工業の街というイメージもありますが、 中心部を流れる由良川や酒呑童子の伝説が残る大江山など、 豊かな自然もしっかり残る、歴史ある地域です。