イシワタさんが福知山で一番気に入っているという 「金光寺」の境内で、さらに話は続きます。

福知山で暮らし始めてからの いろいろなお話を伺う中で思うのは、 イシワタさんご自身に えいって飛び込む体力や度胸が備わっている、ということ。

金光寺を振り返ると、木々の間から立ち上る霧。幻想的な空間だからこそ、イシワタさんも元気になるのでしょうか。

「常に必死で生きているだけなんです。 今までアートのことを考えて生きていたところ、 公務員の妻になり、どうしようってもがいて、 いろんな活動をしているだけで(笑)」

いえいえ、考えを行動に移せる、 それだけでもすごいことだと思いませんか?

そんなイシワタさんですが、 今の生活の支えになっているのは お子さんの存在だそう。

「たまに、あれ私はなんでここにいるんだろうって 思うんですけど、それは夫と結婚したからですし、 最初は市街地に住んで寂しい思いもしましたが、 子どもが生まれてからは、 もっと山奥に住んでみてもおもしろいんじゃないかって 思うようになって。 地域の愛着っていうのは、 子どもを地域の方と一緒に育てている体験の中で、 強くなっていきますよね」

現在の暮らしを本当に楽しんでいることが、イシワタさんの笑顔からもわかります。ステキですね〜。

地域と子育て。イシワタさんの幼少期にも、 そういう体験があったのでしょうか?

「いいえ、なかったんです。 わたしは新興住宅の育ちで、 小学校から私立に行っていたので、 地域との距離感は全然違いますよね。 こういうものが足りなかったなっていう体験をしていて、 今、夢のような体験をさせてもらっています。 日々びっくりすることばっかりです。 こんなにいい人がいるんだって」

自身の経験が反面教師となり、 親となった今だからこそ、 地域との関係をつくっていっている、 という感じでしょうか。 福知山で暮らす現在の自分たちについて、 豊かな暮らしをしていると思える、とイシワタさん。

イシワタさんには、 福知山でこれから発信していきたいこと、 やっていきたいことがまだあるそうです。

「“山山アートセンター”の活動を始めましたが、 このコンセプトが体感できる場所作りが当面の目標です。 いろんな人たちが共存していけるように 試行錯誤してきたので、 これを具体的な形にしていきたいですね。 人のつながり方が都会とは違うところに 私は福知山の魅力を感じています。 面白い人やものがたくさん潜伏していて、 もっともっと面白くなるんじゃないかって、 今は期待しています」

自身が活動し始めたことで見えてきた、 これからの福知山。 それを形にしていくのも、 イシワタさんの「えいっ!」という一歩。

福知山での暮らしを心の底から 楽しめるようになっているイシワタさん。 次の活動にも注目していきたいですね。

お気に入りの景色を前に、イシワタさんの思いはどんどん膨らんでいきます。話を聞いているこちらも、元気をもらえました。

取材の最後に、 リスナーの皆さんへメッセージをいただきました。

「福知山の魅力は、 人間臭い場所にあると思いますし、 いろんな人が共存できる町になってほしいとも思っています。 だからこそ私の活動に少しでも興味を持たれた方と会い、 どんなことに興味があって どんな思いを持っておられるのか、 直接聞いてみたいです。 そうして盛り上がってくる新しい福知山、 ちょっとでも気にかけていただけるとうれしいです。 8月下旬に開催したアートイベントをはじめ、 福知山を知ってもらえるきっかけも、 生まれ始めています」

イシワタさんお気に入りの場所にたたずむ金光寺不動堂。 りりしい姿で、街も人も、見守ってくれているようでした。

寂しい思いも経験し、 その中で自身と向き合い、踏み出した一歩。 一つひとつの試みが結果的に街の人たちをつなげ、 新たな試みへと活動は動き出しています。 イシワタさんが思い描く福知山の姿、 早く見てみたいですね。


<ミニコラム> 今週の風景


取材の後半、私たちを案内してくれたイシワタさん。 お気に入りの場所に近づくにつれ、 その瞳がどんどん輝きを増していくのがわかりました。 新天地での自分らしさに気付かされた場所だからでしょうか、 力強いイシワタさんの姿に、 思わず見とれてしまいました。

<イラストレーター> イシワタマリさん

ご主人の仕事がきっかけで福知山市に移住したイシワタマリさん。
当初は右も左もわからない状態でしたが、 かつてアートの勉強でスペインのとある田舎を訪れたことを思い出し、 一念発起して福知山市の深部とも言える三岳に暮らすことに。
公民館を中心に「福知山でしかできないアート」で ワークショップやミニ新聞の発行など、 これからの福知山を考えた街づくりをしている。

https://www.facebook.com/yamayama.art/

■今回の訪問地

福知山市北西部の三岳地区は、 山間部特有の深緑と清らかな水に恵まれた のどかな田舎。地区のシンボル三岳山は 昔から修験道の地としても知られてきました。

地域を巡れば今も、 古き良き風景にたくさん出合えます。