紙漉き体験も終え、 黒谷和紙協同組合へお邪魔しました。

黒谷和紙の販売コーナーもあり、 和紙でできた座布団などもあります。 紙で座布団!? と思いますが、作り方は基本的には同じ。 上にこんにゃくのりを刷毛で塗ってあげると、皮のような質感になり、 和紙が丈夫になるのだそうです。 昔からこの製法はあり、防寒着などを作っていたとか。 本当に奥が深い世界ですね〜。


色も厚みも、さまざまなものがある黒谷和紙。 現代の生活にもさらりとなじめそうですね。


ところでここまで、黒谷和紙という、 綾部が世界に誇る魅力を見せていただきましたが、 ほかにも吉野さんが思う、綾部の魅力ってありますか?

「私が思ったのは、 綾部の人たちは暖かい人たちが多い、ということですね。 よそ者をなかなか受け入れてくれない 土地柄のところもあるかもしれませんが、 黒谷では、よそ者の私たちを暖かく受け入れてくれる。 綾部の人たちの心のおおらかさ、 それが魅力だと思います」

違う場所からここに紙漉きの職人として入ってきて、 そこで研修して独立して。
職人として活躍している吉野さん、 ここで生まれ育った人とがっちり関わり合って、 生活して作品を作って、 最初は互いに遠慮したりもあったと思うのですが、 徐々に馴染んでいくものなのでしょうか?

「“来た当初はいつまで続くかなと思っていた”と 今聞くと言われこともあるんですけど、 地道にこつこつと頑張っている姿を 村の人たちは見てくれていたんですね。
夜遅くまでやっていると差し入れてくれたり、 お野菜を届けてくれたり。温かい村ですね」


黒谷の魅力を楽しそうに話す吉野さん。 綾部に来られて17年、すっかり黒谷の人、です。

それでも気持ちが折れたり、 職人として不安になることはなかったのでしょうか。

「ありましたね〜。 初めに挫折しそうになったのは、 水の冷たさとか、雪の降る環境とか、 気候だったんですけど、 それは住んでいるうちに慣れてきました。 女性は結婚とか出産とか、節目節目の行事がありますので、 そのタイミングで悩んだこともありましたけど、 周りの支えがあって、今もこうして 続けていくことができているのはありがたいな、と思っています」

ちなみに「これが楽しいからやめられない!」
というものもあるのでしょうか。

「一本の木から和紙ができあがる不思議さ、おもしろさ、ですね。 やることは同じなんですけど、 季節だったり水の温度だったり、変化があって、 地道な作業なんですけど、 その中でも山あり谷あり、自分の気持ちの変化もあり、 今日はいい紙が漉けた、いまいちだったな、というのも 楽しいのではないでしょうか。 完成形のないものなので、 自分の納得のいくまで漉きたいな、という気持ちもあります」


さまざまな色、さまざまな形がある黒谷和紙。この風合いって、見ていて本当に飽きないんです。

最後に、吉野さんが思い描くこれからの黒谷和紙、 そして綾部について聞きました。

「私が初めて黒谷に来たとき、地元の職人さんが何人かいらっしゃいました。 今でも黒谷で後を継いで紙漉きをしている家が一軒あるんですけど、 それがとても素晴らしいことだと思います。 それに加えて私たちのようなよそ者が 紙を漉きたいとやっているわけですけど、 私たちの世代で途絶えないように、 次の世代に受け継いで残っていくもの、 黒谷和紙をそんなものにしなければならないな、と思います」

だからぜひ一度、綾部の黒谷に来て、 手漉き和紙の美しさ、強さ、ほのぼのとした暖かさも感じてほしいと 吉野さんはおっしゃいました。

ひとつの植物がこんな風にして紙になるんだ、 という工程は大人でもビックリで、 そのすべてがここで見られる、 その雰囲気を現場で感じられる。 黒谷は、本当にステキな場所でした。


<ミニコラム> 今週の風景


販売コーナーでスタッフ陣の目を引いた、鯉のぼり。 もちろん黒谷和紙でできています。 このやわらかなイメージ、やさしい雰囲気、 近頃の化学繊維の鯉のぼりとはまるで違います。 これこそが日本の風土と共に生きる伝統、ですね。

黒谷和紙職人・吉野綾野さん

愛知県出身で、学生時代に見た黒谷和紙に魅了され、17年前に移住を決意。以後黒谷で紙漉き職人として活動する。日本じゅうで黒谷和紙の商品が展開され、自分のように黒谷和紙の職人を志す人が増えてくるのが夢。


■今回の訪問地

京都府の北西部に位置する綾部市。その山間の黒谷地区では、京都府の無形文化財に指定されている黒谷和紙が、今も職人の手で作り出されています。 黒谷地区は800年ほど前に紙漉きが伝わり、以後、村のほとんどの人が紙に携わる「紙漉きの村」。現在も古来からの製法で、伝統の技術を守り伝えています。

京都トピックス
【かやぶきの里一斉放水」】
設備の点検と住民の訓練、火に弱いかやぶきの民家のもらいびを防ぐために、放水銃から一斉に放水される様子は圧巻の景色です。
【開催日時 】
12月1日(木)午後1時30分から5分間
【開催場所 】
美山かやぶきの里(南丹市)
【お問い合わせ先 】
美山町観光協会
0771-75-1906

【バックナンバー】
#032 一枚の便箋に導かれ縁もゆかりもない集落へ。
#033 植物が和紙の原料に変化していく場所へ

【11月のプレゼント】

今月は、「黒谷和紙の紅型染め お札入れ」藍色・赤色を各1名にプレゼント。

丈夫で長持ちするこちらのお札入れは、 黒谷和紙協同組合か、黒谷和紙 工芸の里でお買い求めいただけます。

【応募先】
●おハガキの方は、
 〒530-8304
 MBSラジオ「本上まなみ もうひとつの京都」の係まで。
●メールアドレスは、manami@mbs1179.com
●FAX番号は、06-6809-9090



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