小さなお地蔵さんの祠を過ぎて、歩いて行きます。
「近くのおばあさんがお花を上げていて、 大事にされているんですよ」 と児玉さん。
その先でまた歩みを止め、 「これも目立たない草なんですけど、カヤツリクサと言って、 茎が三角形をしているんです。雑草の代表格ですね。 となりにある紫のものがヨメナですね。
春にはおひたしにして食べることができます」 と教えてくれました。

野花と里の人の暮らしって、つながっているんですね。 お話を聞きながら、そんなことを思いました。 そして、田んぼも畦にもいろんな花! 本当に気持ちがいいんです。
「これもよく目にされていると思います。猫じゃらしです。 これはキンエノコロと言うんです。 普通のエノコログサと秋のエノコログサがあって、 秋のエノコログサはお辞儀したみたいに曲がっているんです」
「葉っぱをちぎってもらえますか? どこをちぎっても同じ形になるんです。 矢の先のようになっているので、ヤハズソウというんです」
「これはよく庭とかで見ませんか…? これはキツネノマゴというんですけど、割とどこでも生えてくるんです。 よく見るととてもカワイイ花が咲いて、茎の先端が狐のしっぽに似ているから そんな名前になった、という説があります」
歩きながら、たくさんの野花のことを教えてくれる児玉さん。 一日一緒に歩けば、かなり詳しくなれそうです。 それに、次からは自分だけでも野花に目を向けながら 楽しく歩けそう。


見て歩くだけでなく、ときには触れながら、里の草花を知っていきます。 なんだか子供の頃に戻った気分です。

それにしても、ちょっと歩くだけでいろんな種類の草花がありますね〜。

キンエノコロを見たり、イヌタデを触ったり。
しばらく歩き、
「平らなところばかりでは飽きるので、 ちょっと小高いところへ行ってみましょう」 と児玉さん。
「この辺は本当になだらかなところが多くて、 こういうのを里山風景と呼んでいます」 と教えてくれました。

草を分けつつ、丘を登っていきます。

「これもよく見ると思いますが…
葛ですね。毛むくじゃらのマメがなっています。 葛は昔から人の生活の役に立っていて、 根っこはくず粉、風邪を引いたときに葛根湯としても使われていたし、 蔓は服を作るのに繊維を取って、葛織りというのをしていたそうです。 ものすごく人間に密着した植物ですね」

さらに奥へ行くと村の方が作った公園のような場所がありました。
紅葉を植えていて、秋になったら真っ赤に色づくので、 もみじ祭も開催されているそうです。
ドングリの木があったりもするので、 子供と来ても楽しいでしょうね〜。

「これもよく日本で見られると思うんですけど、 荒れ地ヌスビトハギといって…」

あ、くっつくやつですね!
ちょっと三角の…

「これは外来のものなのでちょっと大きいですが、 日本のやつはヌスビトハギというんです」

やっぱり子供の頃の記憶と児玉さんの話がくっついた! 里山歩きって、自分の記憶と再会する時間でもあるのかも…

落ち葉を踏んで歩く音が心地いい、森の中。 姫リンゴほどの大きさがある銀杏を見付けたり、 里山ならではの楽しみがあふれています。

足下にモグラの穴がいっぱいありました。

「モグラが通ると通気性がよくなって、土の状態がよくなるので、 土自体はよくなります。 まぁ、畑をやっている方はいやがりますけど。荒らされる!って(笑)」

これから寒くなってくるとこの辺りは雪も降るのでしょうね。

「降るときは30〜40cm積もるときもあるんですけど、 最近は温暖化であまり降らないですね。
そのかわり日本海に近いので、しぐれるというんですか、 雨が降ったりみぞれが降ったり。で、また晴れたり。
弁当忘れても傘忘れるな、と言われる気候ですね。
関東から来たときに、それがいやでしたね。
冬は朝から晴れるというのが当たり前でしたから。
あと、霧がすごいんですよ。
晴れる日ほど、由良川からの霧がかなり濃くて、 11時くらいまで晴れなかったりするんです」

「ここからがのどかで好きなところなんですよ」と児玉さんが言う方向は、 ちょっと丘になっていて、眺めがよくなっていました。 遠くの山々まで見渡せます。

少し遠くの場所を指しながら 「あそこにポコッポコッとしているのは 古墳だとも言われているんですよ」 と児玉さん。 森を抜けて歩いていると、眺めのいい道へ出ました。

足下にはまたキレイな野花。
「ここに見えているかわいいのはツリガネニンジンというんです。 春の山菜でトトキというのがあって、それはこの若芽なんですうお」
かわいい〜、なんだかちょっとホタルブクロみたいで。 里山ではおなじみの山野草ですね。
下にお地蔵さんがある一本檜を過ぎ、
「この先ちょっと行って、Uターンするんですけど、 見せたいものがあるので行きましょう」 と児玉さんに促され、歩きます。
「ここにねぇ〜、あれ、あれ??」 探す児玉さん。
「あ、あった! たぶん花屋さんとかで見たことあると思うんですけど」
キレイ! え?リンドウですか?
「そう、これは野生のリンドウで、 晴れたときにしかこんなに開かないんですよ。 これも里山を代表する植物なんですけど、 最近は里山環境も悪くなってきているので、 京都府では要注目種としています。 これはぜひ見ていただきたかったんです」

可憐な美しさにも採れてしまう野生のリンドウ。 とっても貴重な経験でした

「里山って、家があって畑があって、雑木林があって、 モザイク状にいろんなものが配置されていて機能している、 というのが特徴なんです。田んぼも雑木林の横にありますね。 それが生物多様性といって、生き物がたくさん暮らしやすいので、 里山が大切だと言われているんです。 生物が暮らしやすいということは人間も暮らしやすいということなので、 この環境を残していってほしいなぁ、 そのために私も役に立っていきたいなぁ、 と思っているんです」
そういえば草刈りでも、生き物たちの場所を残したり、 適度に日当たりがよくなるとか、 手入れがされていないと いつかダメになっちゃうと聞いたことがあります。
「里山の特徴としては、人の管理がされているというのが重要で、 ほったらかしているとすぐにダメになってしまうんです」

来週も引き続き<綾部>でネイチャーガイドをしている児玉 裕美さんと 里山を歩きます。散策も後半戦、どんな風景が待っているのでしょうか…。 お楽しみに!

<ミニコラム> 今週の風景


一本檜の下で立ち話。 「その先に茶畑もあるんですよ。綾部の名産なんです。 盆地なので、お茶の生産も盛んなんですよ」と児玉さんが指す方向に目をやると、 まるで時が止まっているかのような風景に出会いました。

児玉 裕美(こだま ひろみ)さん

上宮津・杉山ガイド部会ネイチャーガイド。結婚を機に綾部市で暮らすようになり、毎日の生活の中で鳥や花などに触れるうちに、ネイチャーガイドに興味を持つ。植物や鳥に特に詳しい。


■今回の訪問地

京都府の北西部に位置する綾部市。由良川が街の中心を流れるのどかな地域のさらに北西部に豊里西地区があります。美しく澄んだ空や里山の原風景、コウノトリガ飛来する豊かな自然に心が洗われる気がする場所です。

京都トピックス
【『京都丹波』イチ推しの食プロジェクト】
ホテルグランヴィア統括総料理長と地元の道の駅等が、京都丹波地域ならではのレシピをもとに、新メニューを共同開発しました。 「焼鮎寿司」や「亀岡牛を味わいつくす3色パン」などのメニューが、亀岡市や南丹市、京丹波町の道の駅等で販売されます。
【開催日時 】
〜平成29年3月31日(金)まで(予定)
【開催場所 】
ファーマーズマーケットたわわ朝霧(亀岡市)、 道の駅 京都新光悦村(南丹市)、 道の駅 スプリングスひよし(南丹市)、道の駅 和(京丹波町)、 京都府立丹波自然運動公園 レストラン・ラフレシール(京丹波町)
【お問い合わせ先 】
京都府南丹広域振興局農林商工部企画調整室
0771-22-0133

【バックナンバー】
#036 柔らかな陽射しの中、ワクワクする里山散策へ
#037 季節の野花に触れて里の豊かさを感じていく。
#038 自然と人の暮らしが同居する集落を歩いて行く。
#039 綾部の自然を愛する児玉さんの思い
【12月のプレゼント】

今月は、「京都 綾部産の玉露と煎茶のセット」を5人の方にプレゼント。

甘みが強く、何度も飲んだ後は茶ガラを食べることもできる玉露と、さっぱりしていて、どんな場面でも飲みやすい煎茶のセットです。
【応募先】
●おハガキの方は、
 〒530-8304
 MBSラジオ「本上まなみ もうひとつの京都」の係まで。
●メールアドレスは、manami@mbs1179.com
●FAX番号は、06-6809-9090



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