京北にやってきました。
大阪の梅田からは1時間半ほど、京都市からは1時間ほどの場所です。 今ここは、山の裾をちょっと歩いて来たんですけど、 ホントにいい空気で青空が広がっていて、とてもいいお天気。 川の流れも聞こえて来て、本当に自然豊かな場所に来ています。

「革工房Taku」と書いてある看板を見付けて、 ちょっと道を入ってみました。 雑草の上や道端には少し雪が残っています。 市内よりはだいぶ空気も冷たいですし、気温も低いんでしょうね〜。 今回訪ねる伊藤さんが見えたので、ちょっと声をかけてみましょう。


スギが並ぶ山の麓を歩いていると、 突然出てきた「革工房Taku」の看板。導かれるように、進んでみます。

この建物が工房ですか?
すごいかわいらしい入口ですね〜。
本上をニコニコしながら向かえてくれた伊藤さんですが、 開口一番、驚きのひと言が。 「ここはセルフビルドで建てたんですよ」

そうなんですか! え?大工さんですか?

「その時初めて大工はやったんですけれど、 いろいろと物作り全般、もっとスケールの大きなことをやりたいなと思って。 まだ壁も塗り途中の処があったりして現在施工中だったりもするんですけど、 気が向いたら塗ろうかな〜、なんて。 完成はいつになるのか分からないですけど」

建物が初めての作品ってことですね。
向かって左側は結構大きな建物ですけど?

伊藤さんが本上を向かえてくれたのは工房の前、 その左に母屋があって、中はつながっているそうです。

「建物は『京北の家』というデザインで、 工務店が出しているものだったそうです。 全般的に京北のスギ、ヒノキが使われていて、 木がふんだんに使われているこの建物を見て、 とても気に入って購入したんですけど、 自分の工房を作るときに、この雰囲気になるべく合わせて」
なるほど〜、だから一体感があるんですね。 入口の横には、薪がたくさん積んでありますが、 これはは薪ストーブ用。

「ようやく火の扱いにも慣れてきたので導入しました。 薪も、いろいろ京北で知り合った方々から庭の木や山の木、 家を解体したときに出る廃材をもらったりして、 お金もかからず、あとは自分のパワーでやっています」

工房の前でしばし立ち話。背後に薪ストーブ用の薪が積まれていますが、 この分量だと、一日中薪ストーブをつけて一週間くらいは持つそう。 ご帰宅の周りには薪にするための廃材のストックもありました。

ところで。伊藤さんは生まれも育ちも京北なんですか?

「ではありません。父親が転勤族だったので広島で生まれ、 それから転々として愛知県で幼少から成人するまで育ち、 関東の方へ行き、そこで自分の工房をオープンさせました。 関東で5年ほどやって、結婚と子育てを機に、 どこにしようかと家内とも考えて、 自分の実家の愛知と家内の実家の徳島の中間を取って、京都にしてみようか、と」
そうなんですね!もともと縁のある土地というわけではないんだ… 京北の地を選んだのは、なぜでしょう?

「京都に引っ越そうとインターネットで調べたら、 京都市内で絞り込んでいるんだけど、京北も右京区なので出てくるんですね。 でも画像で見ると、明らかに背景が違うし、田んぼも畑も付いているし、 地図上で見てみると、京都駅からとても遠いなぁ、と。 で、家内と相談してみたんですけど、 知らない街の田舎にいきなり行くよりは、 街のシステムを知ることも含めて、最初は街にしようよ、 と嵐山の方で1年半ほどやっていました。 2人目の子供が生まれるときに、 なんか『山に行きたいなぁ』という気持ちが強くなって来て、 2人目の子供が生まれるちょっと前に ここの物件を決めて、引っ越してきました」

2段階方式の京北移住作戦!
どうですか?こちらに移られて。

「一気に生活をすべて変えました。 なんとかなるかと思っていたんですけど、 例えばここはインターネットが繋がりにくくて 仕事面ではまずそこにつまずきました。 しかしあまり自分の仕事だけにこだわらないでもっと地域に関わろう、 と地域の仕事のお手伝いをさせてもらったり、 その中でうまいこと生活のバランスを取りつつ」

あまり気を張らず、生活のバランスを取るって 大切ですね。

「子供達はとてものどかな保育所に預けているんですけど、 地域の方達もみんな顔と名前を覚えてもらえやすいので、 市内とは人口密度もまるで違いますが、 すごく見守ってもらっている感じです。 あとはこの大自然がなんといっても魅力的ですね。 雪が降ると子供達は何も言わなくても無条件に外に出て行って雪遊びして、 夏になったら虫を追いかけて、 春になると畑で遊んで、と、自らなんでも遊びにしてしまっているので、 楽しんでいますね」

お子さんはおいくつですか?

「男の子2人で、この間6歳になったのは麓という字を書いて「ろく」、 下の子は今3歳で「山」、マウンテンですね。 二人合わせて山麓なんですけど、 最初麓の名前を付けたときは田舎暮らしをすることなんて考えていなくて、 北海道の麓郷の麓を名前にいただいて、 2人目の時には、山に住みたいから、と山にしました」

すぐ覚えてもらえますね(笑)

話は変わりますが、 今ちょっと周りには音が色々聞こえていますが、何の音ですか?

「クレー射撃の射撃場の音ですね。 わりと近畿圏の遠方からも通っている人がいるんですよ。 あとはチェーンソーの音です。 奥の道を道なりに行くと、徒歩で京都の街なかへ向かう昔の道もあります。 茶屋なんてあったんでしょうね。 そこも子供達と歩いて、パラグライダーをするところがあったりするんですけど、 そこから京北を眺めるととってもいいんですよ」

伊藤さん自身、とてもこの環境を楽しんでいる気がします。
それも身構えず、自然体で家族と共に。

伊藤さんの工房は、外からも見えます。 工房のテラスには、かつてバイクで日本一周をしたというほどバイクが好きな 伊藤さんらしく、隅々まで手が加えられたバイクもあります。 この雰囲気、一枚の絵のようですね。

さて、伊藤さんはこの工房の中で何をやっているの?
というのを今日は訪ねてみたのですが・・・

そうですね。では、工房の中へどうぞ。

来週も引き続き、京北で革工房を営む伊藤さんに話を伺います。 招いていただいた工房の中、どうなっているのでしょう…。お楽しみに!

来週も引き続き、京北で革工房を営む伊藤さんに話を伺います。 招いていただいた工房の中、どうなっているのでしょう…。お楽しみに!

<ミニコラム> 今週の風景


伊藤さんの工房の前から京都の洛中へと続く道。冬の始まりの冷えた空気を陽光が照らし、 まるで私たちを呼んでいるかのよう。神々しい一瞬に出合えました。

革職人 伊藤 拓さん

工房を構えていた神奈川県川崎市から2011年に嵐山移住、その後13年に工房を京北に移し、オーダーメイドで革製品を製作。京北在住のほかの作家と共に「里山デザイン」という制作チームも結成している。


■今回の訪問地

京都市右京区の最北に位置する京北地域。地域全体は丹波高原の中にあり、日本海と太平洋の分水嶺でもある。のどかな山里に今も受け継がれる伝統や文化、産業が残り、豊かな自然も魅力。

京都トピックス
【冬鍋・初売り】
冬野菜がたっぷりのお鍋の振る舞いや、京北地域限定生産の「京北子宝いも」を使ったアツアツのコロッケなど,心も体も温まるイベントです。
【開催日時】
1月15日(日)10時〜14時
【開催場所】
「道の駅ウッディ―京北」前 【お問い合わせ先】
道の駅ウッディ―京北
075-852-1700

【バックナンバー】
#044 作ってみてわかる革の楽しさ。
#043 自然と人の暮らしが同居する集落を歩いて行く。
#042 工房の中に入ると そこは…すごく楽しい!
#041 えいっ! という気持ちで山豊かな京北へ移り住む

【1月のプレゼント】

今月のプレゼントは、番組内でも取り上げている「革工房TAKU」の革ホルダー付きタンブラーです。ピンクかブラウンをお1人ずつにプレゼントです。 革のぬくもりに包まれたタンブラーで、ホッと心温まるひとときを過ごしませんか?

締め切りは、1月29日です。

【応募先】
●おハガキの方は、
 〒530-8304
 MBSラジオ「本上まなみ もうひとつの京都」の係まで。
●メールアドレスは、manami@mbs1179.com
●FAX番号は、06-6809-9090