ステンドグラスアーティストのプチさんに促され、 彼が自作した建物中へ入ってみました。

と、いきなり現れたのは、アリスに出てくるネコ? ほかにも立体系なステンドグラス作品が あちらこちらに、まぁたくさん!


どの作品も、なんだか温かく感じてしまうから不思議です。これがガラスから感じる波動や温度、というものなのでしょうか…。

これら立体的な作品を作るためにはまず、設計図を描きます。 しかし、最初に紙へ向かうのではなく、 ベースになる立体物を作って、それを平面にトレースし直す。 トレースした設計図には、 ひとマスひとマスに番号が振ってあります。

「ガラスが迷子にならないように、ここはきちんとしないと」 とプチさん。

それにしてもひとマスがとても細かくて、 ひとつが5ミリほどしかありません。

「大きめのマスでカクカク作ると、綿が曲面に見えてこないんです。 だから小さいマスにしているんですよ。 CGのワイヤードでもできるんですけど、 それだとおもしろくないので」

そういってプチさんが見せてくれた作品は… ドクロ!!

「この技法で最初に作ったものです」 実は立体的なステンドグラスを作るプチさんの技法は、 プチさんが考え出したオリジナル。 しかし最初に作ったとは言え、 現在のほかの作品とほとんど変わらないクオリティです。

このドクロの存在感! しかもステンドグラスだからか、神々しく感じませんか?

「そうですね、基本は一緒ですね。 技術は向上しましたけど、ほとんど同じです。 家業がステンドグラスで、そこで育ったので それまではお椀型のステンドグラスばかり見ていました。 武蔵野美術大学に進学するタイミングで東京へ行ったんです。 その頃はジャンクアートとかやっていて、 現代美術でビッグなアーティストになるぞ、と思って進学しました。 変な組み合わせが好きで、その中の一つの作品として、 ステンドグラスとポップなもの、例えばドラえもんとか、 若い感じの作品を、ということを思いついたんです。 そのときは家業を継ぐ気なんて全然なくて。 ドクロを作ったときは父親に激怒されました。 ステンドグラスはもっと格式高い物だから、 こんな高級な素材で何を遊んでいるんだ、 マンガを作るな! とね。 で、その頃にドラえもんを作ったんです。 青いドラえもんなんですけど、それを見て 父親が“なかなかいいじゃないか”と言ったんです。 時代と共に感覚も変わっていかないといけないな、と」

この道へ入ったきっかけを、語ってくれました。その時々に思いがあり、その集積が今のプチさんを形作っているんですね。

父親に反発し、しかし父親に認められたことで、 この道へ進む決意をしたプチさんなのでした。

お話しを聞きながら、ステンドグラスの工程を 少し教えてもらいました。 プチさんが作る立体作品は、 デザインで1、2か月くらい。 そこから一気に作りあげると3週間ほどだそうですが、 制作期間はその作品のピースの数によります。 立体物だからカーブがあるためです。 ガラスの厚さは3ミリ。 それを割るように切り、ピースを作っていきます。


「虹が消えるのが切ないから、消えない虹を作ったものなんです」とプチさん。それを友達に説明したときに、「切ないね」と言われたそうです。

静岡県出身で、お父さんがステンドグラスを作っていたプチさん。 学生時代は家業を継ぐ気などまるでなかった、とは言いますが、 それでも 「その頃も、色はキレイだな、とか認めてはいたんです」 とプチさん。 大学卒業後に家業を手伝うようになり、 ドラえもんで認めてもらっていたこともあり、 アートとしてのステンドグラスづくりを始めます。

こちらの作品は…ハンバーガー!? およそステンドグラスでは作らないだろうと思われる作品が、 次々に登場します。

「作家活動をする中で、大きなものを作ってイベントで発表して。 いろいろ認めてもらえたとしても、最後はアトリエの倉庫。 全然着地できてない! と思いました」

自分が着地して根を張って、 もっと時間をかけて作品を観てもらえないと ステンドグラスの本当のよさは伝わらないと思ったプチさん。 「静岡は東京のベッドタウン的な感じがあって、 だから西に憧れていたんです。 でもあまり行きすぎると静岡との連絡が大変になるな、と。 分譲した平たい土地には興味がなくて、 昔ながらの地形に寄り添ったところに憧れていたんです。 そこで自分の博物館を作りたいと」 そうして、京丹波町へ。

移住して建物づくりに着手。 「妖しいと思われたでしょうね。 でも骨を埋めるつもりで来たので、 挨拶に変わって、すぐに仲良くなれました」

移り住んだ京丹波町の山の近くは都市部ではないので、 便利なものとか、ほしい思ったものを すぐ手にとって買える環境ではありません。 それでも、自分がやりたいと思ったことができる この環境が、とにかく気に入ったそうです。

お話ししながら、ステンドグラスのガラスがたくさんある、 工房へと向かいました。 入口にもたくさん作品がありますが、その先に、 たくさんのボックスが並んでいます。 すべてガラス。色調ごとに分けられています。

壁一面にびっしりとガラスの箱! 見たこともないような模様や色のガラスがたくさん詰まっています。

最初は大きいガラスを輸入するものの、たくさん切っていると、 最終的には小さくなっていきます。 ガラスそのものはアメリカからの輸入が多いそうです。 おもしろいのは、ガラスには帯状になっていたり ドット状だったり波紋だったり、いろんな模様があること。

「カビみたいなもんなんですよね。 ガラスにも味(わい)というものがあるんですよ。 機械で完全に作っているものだと均質になってしまうのですが、 私が使っているガラスはどれも、素材から結構な作品なんですよね〜。 ここだけ使いたい、とか贅沢な気持ちも出ます」

デザイン画の通りにガラスをカットし、 それを砥石で削って正確に整えていきます。 すごく緻密な作業です。 全部のピースができあがったら、銅のテープを縁に巻き、 これをはんだで固定。 はんだはガラスにはくっつかないので、 銅の上だけにはんだが残っていきます。

模様のどこを使うか、どんな大きさにするか、 その一つ一つが作品の完成度を左右するステンドグラス。 繊細な作業の連続なんですね〜。

ちょっとガラスを切ってもらいました。切るのは、先にダイヤの石(工業用ダイヤ)で傷を付けて割っていきます。傷を付けたら、手でパキッと割ります。

次週も引き続き、京丹波町に「JAHPON LAND」を構える土屋さんに話を伺います。
いよいよ本上、ステンドグラスづくりに挑戦。お楽しみに!

<ミニコラム> 今週の風景



「裏にご案内しましょうか」。そう言うプチさんと向かった先には、 トラックのステンドグラスに描いてあったツリーハウスが見えました。 「窓にはステンドグラスをいっぱい付けて、 ステンドグラスを味わうため、色を浴びる場所、 みたいな体感装置にここをしたいんです」とプチさん。 いいですよね〜、山の色が変わるのを見ながら暮らすって。

ステンドグラスアーティスト・PUCCI(土屋隆亮)さん。

ステンドグラス工房「JAHPON LAND」(日本語でステンドグラスの楽園という意味)を主催。作品を創作する傍ら、店舗・住宅のドアや窓に取り付けるステンドグラス、看板やウェイティングボードなどのオーダーメイドステンドグラスも手がける。また子供でも参加できるステンドグラス体験教室も開催。


■今回の訪問地

京都市右京区の最北に位置する京北地域。その中心部・周山町は、上桂川の支流である弓削川が流れ、120年あまり続く酒蔵があるなど、静かな街並みが広がっています。近くには周山城跡もあり、歴史と文化が息づく町です。

京都トピックス
森の京都博テイクオフイベント『森の京都 春の祭典 〜ごちそう・あそび・くらし〜』
1年間番組でもご紹介してきた森の京都のテイクオフイベント 「もうひとつの京都音楽祭 『森』から『お茶』へ…」と題した組曲「もうひとつの京都」の合唱ステージや 歌手・馬場俊英氏によるスペシャルライブ、 ジビエなど森の恵みの特産グルメを楽しめる「森の京都ごちそうゾーン」、 ツリークライミングやクラフト体験・チェーンソーアートの「森のキッズジャングル」など、内容盛りだくさんです。

- 【開催日時】
3月20日(月・祝)10時〜16時
【開催場所】
京都府立丹波自然運動公園(京丹波町)ほか
【お問い合わせ先】
森の京都博実行委員会(京都府企画理事付)
075-414-4513

【バックナンバー】
#052 骨を埋めるつもりで来た京丹波町に感じること
#051 ガラス選びに夢中になる♪ステンドグラスづくり体験
#050 建築の中はさらに・・・パラダイス!?
#049 リアルなおとぎの国?きのこ形の建物へ

【3月のプレゼント】

今月は、「野村佃煮 佃煮6種詰め合わせ」を3人の方にプレゼント。

厳選された素材を、伝統製法で仕上げる野村佃煮。 ちりめん山椒をはじめ、しそ昆布、切りいかなど、6種の味が楽しめる 詰め合わせです。
締め切りは、3月26日です。

【応募先】
●おハガキの方は、
 〒530-8304
 MBSラジオ「本上まなみ もうひとつの京都」の係まで。
●メールアドレスは、manami@mbs1179.com
●FAX番号は、06-6809-9090



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