碾茶の香りを楽しませていただきながら、 お店の話を伺いました。

辻利兵衛本店の創業は、江戸後期の1860年。 初代が宇治の茶園を17歳で買い取ったことが始まりだそう。 辻「初代が洛中の丁稚奉公から12歳で宇治に戻り、 あんころ餅を茶園の茶摘みさんに売り歩いていたそうです。 その頃は江戸幕府に守られていた茶師たちが どんどん減ってきていました。 当時茶園が5〜6件しか残ってなかったと聞いています。 初代はそのなくなる様を見て、 “素晴らしいものはなくしたくない”という思いで、 17歳で茶園を買い取って開業したそうです。 とんでもないことやなって思いますね」


茶寮全景。茶工場を一部改装した茶寮ですが、建物は創業当時のまま。

茶寮全景。茶工場を一部改装した茶寮ですが、建物は創業当時のまま。

その初代から六代目の伸介さん。 小さい頃からお茶には触れていたそうですが 辻「実は小学校の時の文集には、 お茶屋にはなりたくないと書いていまして(笑)」

好きなサッカーばかりをやっていた若い頃。 それから紆余曲折あり、 24歳の時に先代の言葉で、お店を手伝うように。

「勉強はもちろん今も続行しつつなんですが、 当時は何を自分が表現していいのかが、 あまり分からなかったですね」

それでも知り合いから教わったり、自分で学びながら、 宇治茶の世界に入り込んでいきます。

「お茶業界に入った時は、モダンやアート的といった、 煌びやかな見せ方の方がやりたいなっていう思いがありました。 しかし宇治に帰って以降、 京都の宇治に来る人が求めているものって?と考えるようになって」

そこで気付いたのは、お客さんが求めているのは 外見じゃなかったということ。 そして宇治独特の感覚「やぼかっこいい」に行き着きます。

宇治、そして辻利兵衛のお茶を知ってもらうために真摯に学び続けている伸介さん。

「京都の文化とは、ほっこりしている、マイナス文化というか、 そぎ落とした文化だと思っています。 その中で宇治は市内よりもほっこりする。 “やぼかっこいい”という感じでしょうか。

辻利兵衛本店の考えですが、 いいお茶こそ贅沢に味わっていただきたい。 すると他府県のお茶では得られないような 味わい、つまり宇治の魅力を感じてもらえるかと」

お話しが一段落したところで、 辻さんが碾茶を淹れてくれました。

「ワラの香りが残っている茶です」

透明なグラスに入った碾茶。 お茶のキレイな色がよく見えます。

「ちょっと酸味が鼻に抜けるようなところがあると思います。
それが独特の味わいなんです。 料理で使われている味の素ってありますよね。 その3倍のアミノ酸の数値が、天然で出ているんです」

本当に濃厚です! 旨みの塊といった感じで、凝縮されたエッセンスをいただいているよう。

この碾茶、お店のメニューではだしに使ったり、 パフェにジュレでのせたりしているとか。

「ごくごく飲んでいただくお茶じゃないですが、 舌で転がして味わっていただくお茶ですね。 香りというのはお湯の方が立ちます。 しかし旨みは水やぬる湯で抽出した方が出やすいんです」

なんと手間のかかる抽出!

「この味をもっとよくして、お客さんに楽しんでほしいので、 会社の社訓にある『手間が美徳』というように、 手間のかかることをしています」

一口いただいて、色を目で見て、香りをかいで。 本当にリラックスします。

「視覚的にも癒し効果があると思うので、 見て楽しんで、香りも楽しんで、 それで空間も楽しんでもらったらと思います」

お客さんの中には、4時間くらい滞留される人もいるとか。 確かにこの空間でお茶をいただけるというのは、 贅沢なひとときになりますね〜。

何度も香りを楽しむ本上。ふくよかな香りの余韻がたまりません。「これでお茶漬けしたら最高なんですよ、上からちょっと塩をかけて(笑)」と辻さん。

辻さん、お茶の魅力にどっぷり浸っているようです(笑)

ところで今、いろんな業種で世代交代が進んでいます。 お茶の世界も?

「僕ら世代もそうです。 宇治って、いろんな所にいろんなお茶屋さんがありますよね。 なので宇治のお茶屋のはしごをして、 自分好みのお茶を見つけてもらうとか、 全体を通して宇治茶を楽しんでほしいですね。 今、青年団で京都市内の小学校などにお茶を教えにいったり、 簡単な利き茶をしたりと、 小さいころからお茶を知ってもらう活動をされています。 大切ですね。お茶は急須で淹れてというのが昔なら日常で味わえた。 それをまた家庭に急須を戻したいというのがお茶屋の思い。 若い子がお茶のペットボトルを飲んでくれて、 僕らお茶の作り手が、 もっともっとこういうお茶があるんだよって、 お茶の窓口を広げてあげることがステップアップになりますね」

楽しんでお茶を飲む、淹れる。 同じ茶葉でも淹れ方で全然違うんだね、というように 家庭で『今日のお茶は美味しく淹れられたね』 といったそういう会話が出るといいですね〜。

そんなこんなで、お待ちかねの抹茶パフェ! 本店茶寮では注文を受けてから抹茶パフェを作ります。 できたての抹茶をヨーロッパ産のクーベルチュールで溶かしたもの、 日本酒に漬け込んだ和栗をチョコレートでくるんだもの、 抹茶ソフトクリームの上からかける抹茶のソース。 さらに下には、碾茶のジュレ。

「いろんなお茶の味を楽しんでくださいませ」とお店の方に出していただいたパフェ。なんともフォトジェニックです。碾茶のジュレは一煎目しか入れないそうです。

「最初はひと口ソフトクリームをいただいてもらい、 そのあと、温かいソースをかけてお楽しみください」

ソフトクリームは乳原料からオリジナルで作ってもらっていて、 そこに濃茶(濃い抹茶)を加えているそう。

「このソースをかけて楽しんでください。 温かいものと冷たいものが口に入る感じを楽しんでもらって。 香りが鼻に抜けると思うんです。 さっきより華やかな味になりますよね」

おいしい〜。いろんなお茶の味わいが楽しめますね!

「抹茶も入れる素材によって変えているので、 お茶園ならではのパフェを楽しんでもらえると思います。 こちらは色味ベースで作っていて、 普通のお菓子屋さんより糖度も10〜15%低くなっています。 後味にお茶が香り立つよう、 甘みが立ちすぎないように作っているんです」

ひと口ごとに、広がる余韻を楽しむパフェ。実に贅沢なお茶三昧を満喫できます。

ひと口ごとに、広がる余韻を楽しむパフェ。 実に贅沢なお茶三昧を満喫できます。

次週も引き続き、宇治の茶問屋、辻利兵衛本店の辻 伸介さんに話を伺います。
お店の二階へ移動しての挽き茶体験。お楽しみに!

<ミニコラム> 今週の風景



茶寮の店内は、茶工場の佇まいを随所に残しています。 極上のカフェのような、図書館のような、不思議な空間。確かに長居してしまいます。

茶商・辻利兵衛本店六代目・辻 伸介さん

1860年(蔓延元)に茶問屋として創業し、初代が苦心して改良に成功した玉露、明治時代の茶櫃の考案など、宇治茶の代名詞としても知られる辻利兵衛。伸介さんの代になり、2015年には茶工場の一部を改装し、茶寮をオープン。宇治茶の歴史を感じられる建物と共に、本物の宇治茶を世界へ広めたいと、さまざまなメニューも提供している。
辻利兵衛本店
http://www.tsujirihei.co.jp/

■今回の訪問地

京都府南部にある宇治市は、世界遺産の平等院をはじめ、源氏物語の舞台やお茶の町として知られている。市の中心部を流れる宇治川周辺には、歴史散策スポットやお茶に関する施設が点在、訪ね歩くのが楽しい。

京都トピックス
『道の駅「お茶の京都 みなみやましろ村」オープン』
京都府南東端に位置する府内唯一の村、 南山城村に道の駅「お茶の京都 みなみやましろ村」が4月15日オープン!

南山城村は宇治茶の主産地で、 上質なお茶をふんだんに使ったドリンクやスイーツが味わえるとともに、 お茶本来の味を楽しめる体験もできます。 他にも地元の特産品も楽しめますよ。 一押し商品は「村茶」シリーズ。茶農家仕立ての村茶のリーフをはじめ、パウンドケーキ、ようかん、ペットボトル茶などラインナップが多数揃っています。

ゆったりとした駐車スペースもあり、ドライブの立ち寄りにぴったりです。
オープニングの4月15日には、宇治茶BARも設けられます。
【問い合わせ】
道の駅「お茶の京都 みなみやましろ村」
0743−93−1392

【バックナンバー】
#056 宇治に触れることでお茶に生活を取り入れる。
#055 石臼で抹茶を挽きそれをいただいてみる。
#054 辻利兵衛本店の歴史の先に「やぼかっこいい」が。
#053 歴史ある茶問屋の建物で奥深い茶の世界に触れる。

【4月のプレゼント】

今月は、番組でもご紹介している「辻利兵衛本店 お茶とお菓子のセット」を2人の方にプレゼント。

今月は、番組でもご紹介している 「辻利兵衛本店 お茶とお菓子のセット」を2人の方にプレゼント。

お茶は、香豊かな「宇治玉露」の茶葉を、 お菓子は、3種の味が楽しめる「お濃いくちラングドシャ」をご用意しました。
お茶に囲まれたティータイムを過ごしてみませんか?

なお、こちらのお菓子は「辻利兵衛本店」でも購入できます。

締め切りは、4月30日です。

【応募先】
●おハガキの方は、
 〒530-8304
 MBSラジオ「本上まなみ もうひとつの京都」の係まで。
●メールアドレスは、manami@mbs1179.com
●FAX番号は、06-6809-9090



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