さて、工房にお邪魔しました。
すごく窓がたくさんあって明るい日本家屋を工房として使われています。

「ここでお勉強をしてもらいますし、 実際に絞り染めの作業とかもテーブルの上でやるので、 大きなテーブルにしています」

確かに広間の中心には、大きなテーブルが!
それに…座布団も草木染め!?


思わず座布団を手に取る本上。かなり惹かれたようです(笑)

「これは板締め絞りという伝統的な絞り染めの技法なのですが、 私たちは現代の生活に草木染めを取り入れてもらいたいと思っていて、 それで伝統的な技法を使っていまの暮らしに合う作品を つくっています」

板締め絞りを以前体験したことがある本上でしたが、 多彩な色彩の作品は、初めてふれるもの。

「でもこれ、一つの植物ですべて染めているんですよ」

えっ? ということは染めるときに媒染を何か入れるんですね?

「そうなんです。媒染剤といって、 植物の色素は金属に反応するんです。 金属の種類によって色が変わるので、 それで染め分けているんですよ」

ステキですね〜、ちなみにこの座布団は何の植物ですか?

「これはメリケンカルカヤといって、 線路沿いなどによく生えていますよ。 昨年の10月くらいに収穫して乾燥保存しておいて、使っています。 草木染めの植物としてはとても優秀な植物なんです」
線路沿いの草=雑草、だなんて思っていた自分が恥ずかしい…。
しかしそんな草花の知識、どこで身につけるのでしょうね。
松本さんが草木染めになったきっかけを、 ちょっと聞いてみました。

高校生まで京都で過ごした松本さん。
その後大学入学で上京します。

「大学からは東京の美大で染色を専攻し、 その後、服地を扱う会社に就職したので、 高校卒業してから9年ほど東京にいました。 東京にいた時は まさか母と一緒に草木染めをするとは思っていなかったし、 するつもりもなかったんです。ずっと東京にいるものだと・・・。 でもあるきっかけで、戻ろうと思いました」

それはなんですか?

教室の隣には、生徒さんたちが草木染めで使うベースの生地が並んでいました。

「服地を扱っているときに、デザイナーさんたちと話していると 草木染めをやりたいという話をよく聞いていました。 それで母が草木染めをやっているというと、 とても興味を持ってくれて、 草木染めって価値のあるものなんだなぁと気付かされました。 6年ほど働く中で、 自分でもものづくりをしていきたいという思いも出てきて、 そんなことがいろいろ重なって帰ることにしたんです」

一番身近なことを他人の言葉によって気付かされた、 ということですね?

「そうですね〜。草木染めは自分にとって当たり前すぎたんです。 2歳くらいの時からいつでも、家に帰ると母が家で植物を炊いていて、 においが家の中に充満していて、という環境だったんですけど、 そこから離れてはじめて、やりたいな、と思えるようになりました」

子供の頃からいろんな植物が生み出す色を 見て・触れて育ってきた松本さん。 だからこそ当たり前すぎた草木染め。 東京に行ったからこそ、その魅力に気付きます。

「そうですね、ずっと一緒にいたら そういう気持ちにならなかったのかな、と思いますし、 ちょっと離れてみていろんな人の声を聞く中で 気付けたといえると思います」

色とりどりの作品が並んでいますが、この鮮やかさが草花の色?と思ってしまうステキな色に見入ってしまいます。

ところでテーブルの上にいろんな作品が並んでいますけど、 ホントに色とりどりでキレイ。 草木染めというとブラウン系というか、 そういう色のイメージがあったんですけど、 水色とか、ピンクとか、赤紫とか、いろいろあるんですね!

「草木染めというと和風の渋いイメージ、 茶色やベージュ、グレーばかりだと 思っている人も多いんですけど、 身の回りの植物で鮮やかな色が染められるんです。 それを知ってほしいという思いがあり、 意識して明るい色を使って作っています」

そして一色で染めているのではなくて、 三角の模様とかカーブの線とか、デザインされているんですね。 こういうものも、そういう染め方があるんですか?

「例えば三角の模様のものはストールなのですが、 板締め絞りでやっています。 ストールの生地を折りたたんで三角の板で挟んで染めています。 最初は三角の所が白く残るんですけど、 これはナンキンハゼで染めておいて、 白く抜けている部分に藍染めで水色を入れます。 そのあとにウメノキゴケという 桜とか梅の木の皮にベタっと付いている植物なんですが、 それをたくさん集めて、ピンクや赤紫に、 濃度を変えながら染めています。 あんな見た目の草なのに、 1か月くらいかけて色を抽出するんですけど、 そうするとだんだん赤紫色の濃い液体が出てくるので、 それを使うんですよ」

聞けば聞くほど、草花の色が実際の植物からは想像できない色ということに気付かされます。おもしろい!

ウメノキゴケでの染色は、 日本では伝統的にされていたやり方ではなく、 ヨーロッパでは昔からやっていたもののようです。 しかし松本さんのお母さんは昔から、実践していたそう
「ほかのも広げてみてください。 素材も草木染めでは重要で、 同じ植物の染液を使っても素材によって発色が違ってくるので、 シルク100%とか、素材もこだわっています。 草木染めでは基本的に天然繊維しか染まらないんです。 自分の作品をつくるときはウールかシルクが多いですね。 あとはモヘヤとかカシミヤとか。 ポリエステルやナイロンはほとんど染まらないんです」
布ならなんでもいい、というわけではないんですね。
不思議だなぁ〜。
自然のもの同士の方が、相性がいいということですね。

桜で染めた作品を見せてもらいました。

「桜の染色はよくお花ですか?と聞かれますが、 お花ではなく桜の枝で染めるんです。 時期もとても大切で、 花が咲いてしまうとなかなかキレイなピンクに染まらず、 1月から3月くらいのつぼみをつけ始める頃のものが 一番キレイに染まるんです」
まるで木が色を蓄えているようですね〜。

「そうなんでしょうね〜。
葉が出る頃の枝を使うとオレンジに染まったことがあって、 同じ木でも時期によって違うんですよ。
月桂樹も常緑樹なので見た目は同じですが、 夏頃だと濃い黄色に染まったり、 紅葉の10月11月になると赤っぽいベージュ系に染まったり。
その変化もすごくおもしろいですね。

すごいですね! おもしろいなぁ。

見てください、この鮮やかなピンク!これが桜の枝から煮出した色だとは思えませんよね〜。

そんな感心続きの本上に松本さんがひと言。

「工房でぜひ草木染めの体験を していただきたいと思うのですが…」

ぜひぜひ!よろしくお願いします!

次週も引き続き、井手町で「野の花工房」を営む草木染め作家・松本陽菜さんに話を伺います。 松本さんの草木染めは、どんな作品なのでしょう…。お楽しみに!

<ミニコラム> 今週の風景



工房にお邪魔してまず目に付いたのは、窓辺の野花でした。 草木染めの布が敷かれていて、その色合いが野花を引き立てています。 これだけで、場を柔らかな雰囲気にしてくれていました。 。

草木染め作家・松本陽菜(はるな)さん

草木染め作家の母、兄と共に井手町で「四季の草木染め 野の花工房」を営む。井手町周辺の草花を使った草木染めを教室で教えているほか、自身のブランド「from GARDEN botanical colors」でも、作品を発表している。自然の草花由来とは思えない、鮮やかな色彩が魅力。
■野の花工房
http://kyoto-nonohana.jp/

■from GARDEN botanical colors
http://www.fromgarden.jp/


■今回の訪問地

京都府と奈良県の坂に位置する井手町は、かつて古道が走り、交通の要所として栄えた町。古い歌に詠まれていた六玉川(むたまがわ)の一つ、井手の玉川沿いに柞山吹など、四季を通してたくさんの花が咲く豊かな風景も、多くの人を魅了している。

京都トピックス
京都×東京ティーパーティー
宇治茶とその文化の魅力を体感できるイベントです。 お茶の京都を多くの方に知ってもらうため、京都と東京の2会場で開催します。

東京会場は、丸の内ハウスで5月15日から21日までの開催。 宇治茶の煎茶・玉露を味わえる「宇治茶BAR」やトークショーなど、 奥深い宇治茶とその文化の魅力を体感できるイベントとなっています。
京都会場は、宇治市の黄檗山萬福寺で5月20日(土)と21日(日)開催。
「宇治茶BAR」を味わい楽しんでいただけることはもちろん、 「全国煎茶道大会」との同時開催です。

開催日時:5月20日(土)・21日(日)9:00〜15:00
(東京会場は15日(土)〜21日(日)11:00〜)

開催場所:京都会場 黄檗山萬福寺(宇治市)
東京会場 丸の内ハウス



【バックナンバー】
#061 井手町だから発信していけること。
#060 えっ?と驚く短時間で草木染の作品が完成
#059 草花から鮮やかな色!?そのポテンシャルに驚く。
#058 野花咲く豊かな自然とともにある工房へ。

【6月のプレゼント】

今月は、番組でもご紹介している「ののはな工房 草木染バッグとポーチの3点セット」を1人の方にプレゼント。

ちょっとしたお出かけや、サブバックとしても便利な メリケンカルヤマで染めたコットンのバッグと、 上品な色合いが素敵な、桜で染めた丹後ちりめんのポーチ (大・小セット)です。

締め切りは、5月28日です。

【応募先】
●おハガキの方は、
 〒530-8304
 MBSラジオ「本上まなみ もうひとつの京都」の係まで。
●メールアドレスは、manami@mbs1179.com
●FAX番号は、06-6809-9090



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