おいしい玉露をいただいたところで、その玉露について、お話しをうかがいました。そういえば新茶の時期と言うか、茶摘みの時期のニュースが京都では必ずと言っていいほど流れますよね?

「はい。4月後半とか5月になると流れますね」

お茶摘み始まったんだな〜という風に見ていたんですれども、今年のお茶の出来と言うのはいかがなんでしょうか。

「今年はねえ、非常に難しい年になりまして、京都府全体で2月・3月にほとんど雨が降らなかったんです。特に3月はほぼ1日しか降ってなかったんですかね〜。お茶は春に肥料をあげ、肥料をいっぱい吸っておいしい玉露ができるのですが、その時期に雨が降らなかったもんですから」

じゃあちゃんと根に栄養がいかなかったということですか?

「いかなかったんですよ。山下さんもどこんな年はなかった、今までで初めてやって言うんですよ。70年お茶作って来て初めてやと。そのくらいや今年は難しい年。お茶は木につく葉っぱですから、水を探して根が深く生えていきます。すごく水を探していくのですけど、いかんせん水がなかった関係で、肥料のやり方が悪かったって言うことがあり、少し淡白かな、とは思っています」

ちなみにここ最近で「この年はよかった」と言うのは?

「2年前の2015年ですね。15年は非常においしいお茶が出来ました。その年に匠と言う、山下が作ったお茶の商品が日本茶AWARDという、飲んでおいしいお茶の日本一を決めるコンテストで日本茶大賞をいただきました。最終審査は、 上位20種類のお茶を一般の400人くらいに飲んでいただいて、それの投票で決めるのですが、本当に一般の人が審査する審査で大賞をいただきましたので、その時はやっぱりいい年やったのかなと思います。 私ももう、このお茶の仕事をして25年。それに小さい頃から見ていますし、飲んで来てもいますが、やっぱり毎年変わりますし、その年々の個性がありますので、お茶は非常におもしろいと思いますね」

やっぱり、自然のものというところが大きいんでしょうか。

「そうですねぇ。ただ玉露というのは自然だけで出来るものじゃないんです。作り手の個性といいますか技量が一番試されるのが玉露かな、と思っています」

そうなんですか! お抹茶とかではなく、玉露なんですね。


玉露について、ひとつひとつ教えていただきました。

「玉露は抑制というか、新芽が出てから覆いをして芽が伸びたい時に伸ばさないようにして育てています。約40日間それを伸ばさないようにしていて、その間お茶の葉っぱがどれだけ力があるかで、40日間覆いをしても育てられる訳です。それを見極めながらやっていかないといけません。成長したいのに成長させない訳ですから、それをどういうことをしていくとかが、すごく大切になってきます。1年に1回茶葉を取るために、お茶を収穫した翌月くらいから、一年かけて親の木を育てているので、そういう意味では人の力が大きいのかなと思います。煎茶とかは日が当たるところで育て、水と光とそれから温度がしっかり合えば出来るので自然の力が大きいと思いますけど、玉露はやっぱり人の力で作っているのかな、と」

玉露というのは1年に一度だけ収穫するんですか?

「基本的にはそうなんですよ。手摘みと言われる手で摘むお茶を、京田辺ではほとんどの茶園がやっています。

しごき摘みと呼ばれているそうですね。

「よくご存知ですね。葉っぱだけ取っていくのですが、そういう摘み方というのは全国でも珍しいと思います」

すごい手間がかかりますよね。茎ごと取る訳じゃないんですもんね。

「だから摘み子さんの技量も必要になってきます。そして京田辺の玉露として育てているんですよ。ただしどんなお茶でもそれをしたから京田辺玉露になるかと言うとそんなことはなく、やっぱり1年間どう育てるかがこのお茶の凄さなんです。ぜひ飲んでいただきたいと思うので、淹れさせていただきますね」

話の途中で田宮さんに玉露を淹れてもらいながら、話は続きます。

「煎茶の葉などの場合、若いうちに摘むのがいいと言われています。しかし玉露は40日間育てなければならず、例えば20日間くらいしか覆いをしていないものと40日間覆いをしているものとでは茶葉の大きさが違ってきます。40日かけて育てるから葉が大きくなっているんですね。 一芯二葉がいいお茶だと言われているんですけど、玉露の場合は四葉か五葉まで大きくしないとおいしさが溜まっていかないんですよ。旨味をゆっくりとお茶にあげるために包囲し、育てるのを抑えているんです。茶葉は細くてツルツルしているのがいいと言われるんですけど、玉露の場合はそうじゃないんですよね」

ここで、玉露の淹れ方を少し。

「まず、40度から50度くらいまでお湯を冷まします。玉露はゆっくりゆっくり育てているので、ゆっくりといれてあげたいお茶なんです。熱いお湯を入れると茶葉が早く開いてしまうじゃないですか。そうならないためにお湯をぬるくする。それが玉露の一番おいしい淹れ方ですね」

器にお湯を移しながら、少しずつ冷ましていきます。この所作もなんだか心が落ち着いていいですね〜。

そういってお湯を湯冷ましに取って、さらにお茶碗にも取って冷まします。 お湯の量からするとかなり茶葉の量が多いように思うのですが、目安は?

「そうですね。茶葉はだいたい8グラムから10グラムやと思います。お湯をひたひたに入れるくらいで濃厚に味わってもらえるお茶になりますので、多めですね。そして玉露の茶器というのは、本当はもっと小さい茶器。うちの方はちょっと違う形で、提案させていただいています。玉露が一番おいしく出せるように、との想いからなのですが。この茶器は絞り切りと言って、網などが何も付いてなくて、お茶を最後まで絞り切るように、と作らせていただいています。優しく絞れるように、少し反らせているんですよ」

確かに、田宮さんの手にある茶器は少々平たい気がします。これは京都の清水焼で特別に作っていただいているものだそうです。ステキですね〜。平茶碗みたいな形と言えばいいでしょうか。それに薄い蓋が付き、急須になっています。

本来は蓋をして出すそうですが、蓋なしで出すと、茶葉が膨らんでいく様がよく分かります。2分くらいかけて、じっくり茶葉にお湯が染みこんでいきます。

この最後の一滴が旨味の塊になります。

本当に贅沢。ほんのちょっとの量に全部凝縮されているんですね。5煎くらいまではおいしく味わえるそうです。 さっそくいただいてみたのですが、甘〜いふくよかな香りがして、とてもしいです。旨み成分の塊ですね〜。

ほかにはない甘さがふわりと口の中に広がっていきます。

「わずか2分でこれだけの味が出る、これが京田辺玉露の特徴かと思います」

3月にロンドンで玉露を提供してきたそうですが、そこでも「アメイジング!」と言われたとか。

「世界には紅茶や烏龍茶などいろんなお茶がありますが、旨味を出すは日本のお茶しかできません。それだけ農家の方が一生懸命作られたものなのです」

田辺玉露は、作り手の思いが旨みとなって出てくるんですね〜。
「今飲んでもらったお茶とかお茶のスイーツを提供しているお茶の喫茶店もやっているんですよ。京田辺の駅の近くにある『舞妓ティーブティック』という喫茶なのですが、ぜひそちらの方に行っていただいて、玉露そばを食べていただいたらと思うのですが…」
わ〜、楽しみ♪ さっそく連れて行ってください!

次週も引き続き、京田辺市で「舞妓の茶本舗」を営む3代目の田宮正康さんに話を伺います。玉露そばの味わいは…?。お楽しみに!

<ミニコラム> 今週の風景



お茶の旨みの余韻がいつまでも口の中に残る田辺玉露。この淹れ方をするからこの味、なのでしょうが、名人である山下さんによると「俺の作るお茶はどんないれ方してもうまい」、だそうです(笑)。 言い切れるのがカッコイイ! でもその通りなのでしょうね、きっと。

舞妓の茶本舗3代目・田宮正康さん

宇治茶の名匠と言われた山下壽一氏の玉露をはじめ、京田辺産の薫り高い緑茶や抹茶、ほうじ茶を扱う茶舗。玉露「匠」は日本茶AWARD2015で最高賞の日本茶大賞を受賞。日本茶をより多くの方に知ってもらうため、JR田辺駅前に緑茶専門の喫茶室「MAIKO茶(ティー)ブティック」も営む。

■舞妓の茶本舗
http://www.maiko.ne.jp/


■今回の訪問地

京都府と奈良県の県境に近い京田辺市は、自然豊かな環境に加え、京都、奈良、大阪のベッドタウンとしても注目される地域。良質な宇治茶の産地としても知られている。一休宗純ゆかりの地でもある。

京都トピックス
この夏、海の京都で日本海を満喫しませんか!
京都の北部、日本海に面する「海の京都」には、 夏ならではの旬の食材を満喫できるスポットがもりだくさんです!

岩ガキや白いか、レンコダイなど、 この時期、「海の京都」で獲れる、美味しい旬の食材が楽しめるお店を 「海の京都 旬の食材提供店」として紹介しておりますので、 是非、ご家族で行ってみてください!

詳しくは、「海の京都旬の食材提供店」で検索してみてください。


【バックナンバー】
#075 国内最高峰の品質を誇る田辺玉露を味わいに
#076 旨みの余韻がいつまでも続く田辺玉露をじっくり味わう
#077 近くにあれば毎日通いそうな京田辺満喫のカフェ
#078 お茶をより身近に感じてもらえるために。

【9月のプレゼント】

今月は、今回本上さんが訪れました、舞妓の茶 本舗さんの「こだわり玉露5種類 飲みくらべセット」を4人の方にプレゼントいたします。

本当においしい玉露を探しているという方に 味わっていただきたい飲み比べセットです。 舞妓の茶 本舗の高級玉露5種類を8グラムずつパックした商品です。

8グラムでおそよ3~5人で楽しめる分量となっております。

【応募先】
●おハガキの方は、
 〒530-8304
 MBSラジオ「本上まなみ もうひとつの京都」の係まで。
●メールアドレスは、manami@mbs1179.com
●FAX番号は、06-6809-9090


※締め切りは10月1日(日)までとなっています。是非ご応募ください!

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