今回訪問したのは大山崎町。大阪市の梅田からは40分、京都市内からも30分ほどの場所で、のどかな住宅街が広がっています。目の前を幼稚園バスが通ったりして…。電気屋さんとかお布団屋さんとかも並んでいますが、その中にある、一軒のレンガ造りの素敵な建物の前にやってきました。迎えてくれたのは、中村さんご夫妻。

奥さんのあゆみさんは宇治がご出身とのことですが、ご主人の佳太さんは横浜のご出身。つまり大山崎にはなんの関係もないお二人。6年ほど前に大山崎町へ移住してきたそうですが、このレンガ造りの建物で、なんとコーヒーの焙煎をされています。

「大山崎COFFEE ROASTERSという名前で、夫婦で焙煎場をしています」

でも、営業日数が…

「そうです。木曜日と土曜日の10時から15時までの間だけ、お店として開けています」

へ〜! それ以外の日はどうしているんですか?

「あとは通販の分とか、京都を中心にカフェとかでコーヒー豆を使ってもらっているお店があるので、そういうところ用に豆の焙煎をして、直接配達に回っていたりするので、お店として開けているのは週に2日だけになっています」

…、というわけで、さっそくお店の中に入れてもらうことに。



会ってまもなくだというのに、終始ニッコニコしているお二人になんだか引き寄せられました。





そもそもお二人は、大山崎にはどういったきっかけで来られたんですか?

「僕らは2010年の末くらいに結婚したんですけれども、当時は2人とも東京で働いていて、結婚直後に震災があったり、いろいろな節目がかさなったので、ちょっと静かな処に移住して何か好きなことを2人でやろうかって思ったんです。それで全国を旅行がてら周って、自分達が暮らしたい街を探したんですが、その時出会ったのが大山崎だったんです。彼女がこの街に来たことがあったので、それで1度訪れてみて、山の綺麗な感じとか、静かな街の感じが気に入って、じゃあ大山崎に暮らそうと決意しました」



あゆみさんは、訪れたことはあったけど住んだことはなかった?

「住んだことはないですね〜。ここって大阪と京都の境目の街で、JRとか阪急の電車に乗った時にいつも見える景色がすごく良くて、そこだけ“ぽこっ”と何もない空間が広がっているんですよね。その雰囲気がすごく良くて、降りたことなかったんですが、思い出して、ちょっと行こうっていって、2人で降り立って、もうここにしようって決めたのが始まりです」

すごい!じゃあもうここだねって2人で思ったんですね。

「そうですね、本当にインスピレーションだけで決めました。知り合いも特にいないので、駅に降り立った雰囲気と、その日半日くらい街を歩いたんですけど、その時の感じで決めました」

直感、ってやつですね。
そもそも東京ではコーヒーに関するお仕事をされていたのでしょうかとても気になるので聞いてみたところ、
「いえ全く。普通の会社員でした」と佳太さん。

え!?

「それぞれ普通の会社員をしていて、コーヒーは普通の人よりちょっと好きな人くらいの感じでした」

コーヒーが好きだけど、それを仕事にっていうのはなかなかないですね〜。
そんなお話をお店に入ってすぐ始めてしまったのですが、その店内はシンプルな空間。カウンター越しに話をしているお二人のうしろにあるのが焙煎機?
カウンターがあって、ドリップができるような道具と、コーヒーを挽く機械があって、それでおしまい。ということは、喫茶的なスペースはない?

「そうですね、喫茶スペースはないですし、喫茶営業もしていなくて、週に2日にコーヒー豆の販売だけをしているんですけれども、この入れる道具は試飲という形で飲んでいただいて、気にいったものがあればコーヒー豆を選んでもらうんです。お時間あれば1時間でも2時間でもコーヒーを飲んで行かれる方もいらっしゃいます」

じゃあお話をしながらお客様の好みを探りつつ?

「そうなんです。ちなみにお客様同士が仲なったりされて、私たちあんまり関係なく、突然あっちで友達になっていたり、空間を広く自由に取ってあるので、私たちが多分知らない出会いが起きていたりするので、すごくおもしろいんですよ」



シンプルだけど、必要な物だけで構成されている美しい空間。空気が張り詰めそうな気がしますが、そんなことはなく、お二人との楽しい話で、とてもアットホームな雰囲気です。





阪急電車の駅から歩いて8分、JRからだと10分くらいの距離。大通りからちょっと入るので、ここのお店を知ってる人じゃないとたどり着けない秘密の感じがする焙煎所。そんなところでは、コーヒーを通じた楽しい人付き合いが生まれているんですね。
ところで、コーヒー豆の販売することへのこだわりってあるんですか?

「焙煎してからの鮮度っていうのをすごく気にしていまして、コーヒーを焼いてから3日以内のものだけを販売しています。というのも、焙煎して4日目・5日目が一番おいしい時期になるんですが、その一番おいしい時期を逃さずに味わっていただくために、3日目以内のものを販売しているということと、豆を挽かずに豆の状態のまま販売しているので、挽くものを持っている方ではないとご自宅で楽しんでいただくことはできないんですけれども、挽きたての香りをどうしても味わっていただきたくて、わがままを言わせていただいています」

なるほど〜。壁にはガラスのキャニスタがたくさん並んでいますが、種類がいくつかあってということなんですね?

「そうですね、10種くらいはあるんですが、その中から全部ではないんですが、半分以上の数は焼いて用意して選んでもらって、ドリップして味見したうえで選んでもらえるようにしています。同じ種類の豆もあるのですが、焙煎日が違うとまた別の瓶に入れて日付がわかるように管理しています」

なんだかいきなり深い話になってきましたが…、焙煎具合もいろいろ変えているということなのでしょうか。

「そうですね、深煎り中心の店とか浅煎り中心の店とかあるんですけど、僕らは特にそこにこだわりはなくって、その豆にあった焙煎度合いを見極めて、その豆にあったおいしさを出しているという形です。なので幅広い方に楽しんでいただけるかなと思います」

ちなみに産地のブレンドとかはされるんですか?

「ブレンドはしていなくて、全てシングルでしています。その豆の持っている個性っていうのを追求するのが今はおもしろくて、特にブレンドはしなくて、そこだけで味を出すのを楽しんでいます」



次週も引き続き、「大山崎 COFFEE ROASTERS」の中村佳太さん、まゆみさんにお話しを伺います。まずはコーヒーを淹れていただいて…。 お楽しみに!



<ミニコラム> 今週の風景



ご夫婦に促されて中へ入ろうとした時、「あ、かわいい。給食のおぼんみたい」と思わず声を出してしまったもの。まさに給食のトレーを使ったお店の看板でした。

大山崎 COFFEE ROASTERS

中村佳太さん、まゆみさん 東京での会社員時代に最先端のスペシャルティコーヒーに触れたことがきっかけでその魅力にはまったお二人。焙煎所の
を決意し、1年ほど場所をさがした結果、大山崎に移住。2013年「大山崎 COFFEE ROASTERS」をスタートさせ、週2回の店頭のほか、オンライン販売を行う。
http://oyamazakicoffee.strikingly.com/
■今回の訪問地

北には天下分け目の天王山、南に淀川が流れる自然豊かな大山崎町。交通の要所として発展してきた町だが、近年は大阪・京都どちらへのアクセスも便利で住環境もいいと注目されている。クリエイターの移住も多く、個性的なショップが増えている。

京都トピックス
お茶の京都テイクオフパーティ
1年間にわたる「お茶の京都博」を締めくくるイベント、 「お茶の京都博ファイナル・テイクオフパーティ」のご案内です。

武者小路千家・藪内家による呈茶や宇治茶BARなど、 お茶の京都のめぐみを存分に味わうコーナーだけでなく、 山城地域の特産物などを販売するお茶の京都マルシェや 子供向けワークショップブースなど、 ご家族で楽しめるコーナーもありますので、是非お越し下さい。

メイン会場は、JR奈良線「棚倉駅」から徒歩5分の アスピアやましろです。 日時は3月10日(土)の午前11時から夕方4時までです。

詳しくは下記のページをチェックしてみてください。
http://ochahaku.kyoto/event/mainevent.php?eid=74

【バックナンバー】
#104 この街での暮らしがとても楽しい。
#103 焙煎、そして淹れ方。味の違いはほんの少しの違い。
#102 挽く、淹れる、飲む。 それぞれに違う香り。
#101 縁もゆかりもない街で焙煎工房を営む夫婦。

【3月のプレゼント】

3月のプレゼントのお知らせです。 今月、私が訪れた大山崎町。 こちらは、歴史の大舞台「天王山」のふもとにある地域です。 そんな大山崎町では、「いざ天王山!」のフレーズとともに様々なPRを行っています。

さて、今月のプレゼントは、そんな大山崎町の 「いざ天王山!」特製旅行バッグとタオルです。
この2点セットを、3人の方にプレゼントします。

締め切りは、3月25日です。

【応募先】
●おハガキの方は、
 〒530-8304
 MBSラジオ「本上まなみ もうひとつの京都」の係まで。
●メールアドレスは、manami@mbs1179.com
●FAX番号は、06-6809-9090



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