「ドリップの体験をしてみませんか?」
佳太さんがそう言ってくれました。教えてください! いつも自己流という本上。願ってもない機会です。せっかくなので、先ほど淹れてもらったエクアドルとは違うもので、佳太さんにオススメを選んでもらいます。

「入れやすいのは深煎りのフルシティローストで、しっかり膨らんでくれます。難しいものだと浅煎りの豆で膨らみが悪く、淹れ方によってブレが出やすいので酸味がすごく出たりします」

じゃあせっかくなので浅煎りの豆に挑戦してみていいですか? 
選んだのは、ブルンジの鉄観音茶のような、と先ほど話していたお茶っぽいコーヒーの豆。あえて難しい方を選んでみました(笑)

「チャレンジャーですね(笑)。30グラムほど豆を計ったので、入れる量はだいたい360ccから400ccくらい。10グラムで120〜130ccっていうのが標準的な濃度なんですが、それくらいで今日は淹れていただこうと思います。浅煎りの豆は香りがすごくいいんですよ。特にこの豆はコーヒーじゃないような香りがします。ちょっとお茶っぽさがすでに出ていますね〜」

佳太さんに豆の特徴を聞きながら、いよいよ実践です。

「最初に蒸らしですね。真ん中にお湯を落として、それから1回転か2回転くらい、あんまり端にはかけないように落としていただいて。30グラムの豆を挽いたので、だいたい30ccくらいのお湯をかけていただいて」。

ん〜難しそうですね…。



佳太さんのレクチャーを受けながら、淹れてみます。普段からコーヒーは淹れているものの、なかなかに難しい…



「真ん中からくる〜っとお湯をいかけてください。もしここでお湯が当たってない場所があれば、傾けてしまって全体にお湯が行き渡るように調整しても大丈夫です。30〜40秒くらい経つと行き渡るので、次は真ん中だけにゆっくり落としてください。そうするとポタポタ落ちていたコーヒーが線になって落ちてくるようになりますね。
そしたら“のの字”を書くように、真ん中から落としてぐるっと回って真ん中に戻ってくるように。一回真ん中にもどってきたら止めます。このポタポタという音を聞きながらかけ続けて、だいたい3分以内に落とせたらいい感じかなという感じです。
今回は浅煎りの豆で淹れているので、モコモコとした感じは少なく、ひたひたしてしまうんですが、めげずにかけていきます。
で、少し落ちるのを待っていただいたら、ドリッパーを外して、これでOKです」

時間的には少しオーバーしてしまったんですが、佳太さんにほめてもらえました。実は同じ豆をまゆみさんも淹れていて、同じ豆がどういう風に違うのか、飲み比べてみたいと思います。

まゆみさんが淹れたものは、ひと口飲んだだけでコーヒー?と思うような、すごく繊細な味わい。一方本上が淹れたコーヒーは、少し酸味を感じる、濃厚な味になりました。

「焼き方とかによってはもっと酸味を際立たせることもできるんですが、マイルドに焼いて、ほとんど苦味とかコクがなくてすごくフルーティーでお茶とかを思わせるようなコーヒーですね。私が今入れたものはだいたい2分半くらいで入れたので、あっさり軽く入っていると思います」とまゆみさん。

「時間にして1分くらいの差があるので、それだけ時間がかかるとこれくらいの味の差は出てくるかなと思います。どちらの方がってことはなく、どちらもおいしいコーヒーなんですが、同じ豆でもこうやって味を変えることができます。なので、メニュー表に書いてある表現なんかも、淹れ方によって違う味を引き出せたりすると、また違う表現になって、僕らが淹れるとこういう感じだけど、お客様が家で淹れたら違う風味が出た、というのも楽しいですね」



ドリッパーを見つめる目が真剣そのもの!





コーヒーがものすごく繊細な飲み物だということをあらためて感じました。焙煎度合いでいうと3段階くらい差があるそうで、その違いはほんの数分の焙煎時間の差だそう。

「世界的に言われる焙煎の8段階っていうのがあります。コーヒーが焼かれていくうちにいろんな成分が変化していくんですが、最初はあまり変わらないんです。しかし最後の方は10秒20秒で味が変わっていきます。焙煎していくと最後の方は200度近くなってくるので、どんどん味が変化して、どこで出すとこの味になるっていうのを見極めるのが難しいですね」



同じ豆でも、淹れ方でこんなに違うとは! を実感中。





コーヒーの味の違いは、本当に少しの焙煎時間の差なんですね。「大山崎COFFE ROASTERS」では、この豆でこの味ですって出しているものが、次にきたら違う味になっているとがっかりされる人もいるため、“変えない”というのが難しいそう。その感覚を研ぎ澄ませて置くためには、何が大事なのでしょう。続けていくことが大事なのでしょうか?

「ずっとやっていて、数秒単位の香りの違いっていうのを焙煎機のそばで嗅いだり、見たりするのですが、経験していくと、その違いがわかってくるというか…。もちろんデータをとって、何分何度とかも常に見てはいるんですが、季節とか、梅雨の時期だったりで変わるので、常に微調整しながらやっています」

実験のようでおもしろいですね〜。





次週も引き続き、「大山崎 COFFEE ROASTERS」の中村佳太さん、まゆみさんにお話しを伺います。大山崎へ移り住んだ、お二人の思いとは…。 お楽しみに!




<ミニコラム> 今週の風景



佳太さんが豆を挽くために、ミルへコーヒー豆を入れていきます。その所作から、豆を本当に愛おしそうに扱っているのが分かり、思わず静かに見つめてしまいました。

大山崎 COFFEE ROASTERS

中村佳太さん、まゆみさん 東京での会社員時代に最先端のスペシャルティコーヒーに触れたことがきっかけでその魅力にはまったお二人。焙煎所の
を決意し、1年ほど場所をさがした結果、大山崎に移住。2013年「大山崎 COFFEE ROASTERS」をスタートさせ、週2回の店頭のほか、オンライン販売を行う。
http://oyamazakicoffee.strikingly.com/
■今回の訪問地

北には天下分け目の天王山、南に淀川が流れる自然豊かな大山崎町。交通の要所として発展してきた町だが、近年は大阪・京都どちらへのアクセスも便利で住環境もいいと注目されている。クリエイターの移住も多く、個性的なショップが増えている。

京都トピックス
堂本(どうもと)印象(いんしょう)美術館 リニューアルオープン特別企画展
昭和の京都を代表する日本画家 堂本印象。

生涯に渡り様々に作風を変化させながらも、 常に世界的な評価を受け続けた芸術家です。

そんな印象が、自らの作品を展示するためにつくりあげた 京都市北区にある「堂本印象美術館」が、庭園や交流スペースを改装し、 3月21日(水祝)にリニューアルオープンします。

その記念企画展となる「堂本印象 創造への挑戦」。 この企画展では、大正時代の若き日の出世作「調(ちょう)鞠図(きくず)」や 最高裁判所のために描いた幅11メートルの巨大額絵「豊(ほう)雲(うん)」をはじめ、 初期から晩年の作品48点が展示されます。

開催期間は6月10日(日)まで、休館日の月曜日を除く、 朝の9時半から夕方5時まで、毎週金曜日は夜7時半まで開館しています。

なお、会期中は一部展示の入れ替えがありますのでご注意ください。
詳しくは「堂本印象美術館」で検索してみてください。


【バックナンバー】
#104 この街での暮らしがとても楽しい。
#103 焙煎、そして淹れ方。味の違いはほんの少しの違い。
#102 挽く、淹れる、飲む。 それぞれに違う香り。
#101 縁もゆかりもない街で焙煎工房を営む夫婦。

【3月のプレゼント】

3月のプレゼントのお知らせです。 今月、私が訪れた大山崎町。 こちらは、歴史の大舞台「天王山」のふもとにある地域です。 そんな大山崎町では、「いざ天王山!」のフレーズとともに様々なPRを行っています。

さて、今月のプレゼントは、そんな大山崎町の 「いざ天王山!」特製旅行バッグとタオルです。
この2点セットを、3人の方にプレゼントします。

締め切りは、3月25日です。

【応募先】
●おハガキの方は、
 〒530-8304
 MBSラジオ「本上まなみ もうひとつの京都」の係まで。
●メールアドレスは、manami@mbs1179.com
●FAX番号は、06-6809-9090



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